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★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2016-12-16 11:02:39 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~内田光子の弾き振りによるモーツァルト:ピアノ協奏曲第17番/第25番~

光子内田

モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番/第25番

ピアノ・指揮:内田光子

管弦楽:クリーブランド管弦楽団

CD:ユニバーサルミュージック UCCD1434

 内田光子(1948年生まれ)は、静岡県熱海市出身(現在は英国籍)。1961年からオーストリアのウィーン音楽院で学ぶ。その後、渡英。1971年、英国ウィグモア・ホールでロンドン・デビュー。「モーツァルト:ピアノ・ソナタ連続演奏会」が批評家から絶賛を浴び、一躍、その名を知られる。1984年イギリス室内管弦楽団を弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲の全曲演奏会で成功を収める。1970年「ショパン国際ピアノコンクール」第2位、1973年ルツェルン音楽祭主催「クララ・ハスキル・コンクール」第2位、1975年「リーズ国際ピアノ・コンクール」第2位。2008年「BBCディスク大賞」受賞。2009年DBE(大英帝国勲章第2位)を授与されエリザベス女王よりデイムの称号を授かる。2011年第53回「グラミー賞」最優秀インストゥルメンタル・ソリスト演奏賞受賞。このCDは、2年ぶりとなるシリーズ第5弾。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2016-12-15 08:43:23 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~没後20年 武満徹の映画音楽~

武満徹:「フォリオス」より 第1曲
      不良少年(羽仁進監督)
      伊豆の踊子(恩地日出夫監督)
      どですかでん(黒澤明監督)
      日本の青春(小林正樹監督)
      太平洋ひとりぼっち(市川崑監督)
      Tribute to Toru
      ホゼー・トレス(勅使河原宏監督)
      狂った果実(中平康監督)
      最後の審判(堀川弘通監督)
      他人の顔(勅使河原宏監督)
      写楽(篠田正浩監督)

出演:渡辺香津美(ギター)
    coba(アコーディオン)
     鈴木大介(ギター)
     ヤヒロトモヒロ(パーカッション)

スペシャルゲスト:カルメン・マキ

会場:Bunkamuraオーチャードホール

日時:2016年12月21日(水) 午後7時

 「武満徹の映画音楽」の最初の公演は2008年2月、米国ケネディ・センターで開催された「日本」がテーマの音楽祭。この音楽祭のプロデューサーから連絡をもらい“タケミツの映画音楽を紹介したい。ただし日本から呼べるミュージシャンは4人くらい”と言われた。アコーディオン、パーカッション、ギター×2の4人。それから8年の間に八ヶ岳、松本、ニューヨーク、オレンジカウンティ、北京、上海、神戸で再演が続き、2016年12月、ついに東京での公演が実現する。

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◇クラシック音楽◇新譜DVD情報

2016-12-13 07:28:51 | 新譜DVD情報

 

<新譜DVD情報>

 

~ファウストとハイティンク指揮ベルリン・フィル2015年「バーデン=バーデン・イースター音楽祭」のライヴ~


ベートーヴェン: ヴァイオリン協奏曲
                    交響曲第6番ヘ長調「田園」

ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

指揮:ベルナルド・ハイティンク

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

収録:2015年バーデン=バーデン・イースター音楽祭(ライヴ)

DVD:キングインターナショナル(EURO ARTS) KKC9164(Blu-ray)

 ヴァイオリンのイザベル・ファウスト(1972年生まれ)は、ドイツ出身。1987年「レオポルド・モーツァルト・コンクール」で優勝。1993年「パガニーニ国際ヴァイオリン・コンクール」で優勝。1997年バルトークのソナタのデビュー録音でグラモフォン賞「ヤング・アーティスト・オ ブ・ザ・イヤー」を受賞。現在、ヴァイオリン演奏家として、世界各地で活躍中。2004年から、ベルリン芸術大学ヴァイオリン専攻科の教授を務めている。使用楽器はストラディヴァリウス「スリーピング・ビューティ(1704年製)」

 指揮のベルナルド・ハイティンク(1929年生まれ)は、オランダ・アムステルダム出身。アムステルダムの音楽学校で学び、地元のオーケストラのヴァイオリン奏者。1957年オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団首席指揮者に就任。以後、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を歴任。2004年ボストン交響楽団の名誉指揮者となっている。2002年~2004年シュターツカペレ・ドレスデン音楽総監督・首席指揮者。2006年からはシカゴ交響楽団の首席指揮者を務めている。

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2016-12-13 07:28:31 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~バリリ四重奏団の遺産―東京ライヴ1957~

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第4番 ハ短調 作品18-4(1957年12月16日)

         音楽評論家 山根銀二氏の解説(音声)

ハイドン(R.ホーフシュテッター作):弦楽四重奏曲 第17番 ヘ長調 作品3-5「セレナード」(1957年12月11日)

         音楽評論家 山根銀二氏の解説(音声)

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 作品135(1957年12月11日)

         ワルター・バリリ氏の日本の音楽ファンへのメッセージ(音声)

弦楽四重奏:バリリ四重奏団
            
            ワルター・バリリ(第1ヴァイオリン)、オットー・シュトラッサー(第2ヴァイオリン)、
            ルドルフ・シュトレンク(ヴィオラ)、エマヌエル・ブラベッツ(チェロ)

録音:1957年12月16日、12月11日、ラジオ東京ホール(ライヴ録音)

番組プロデューサー:門馬直美

音源提供:TBSラジオ&コミュニケーションズヒストリカル

 バリリ四重奏団は、1945年に、ウィーン・フィルの若きコンサート・マスター、ワルター・バリリを第1ヴァイオリンに結成された。第2ヴァイオリンのオットー・シュトラッサーは、ウィーン・フィルの第2ヴァイオリンの首席、ヴィオラのルドルフ・シュトレンク、チェロのエマヌエル・ブラベッツもウィーン・フィルの各パートの首席奏者を務めていた。言わばウィーン・フィルのミニチュア版の弦楽四重奏団とでも言えようか。旋律の輪郭を明確に奏で、そのウィーン情緒をたっぷり含んだ演奏は、当時日本でも絶大な人気を誇っていた。日本に唯一来た時に公開録音された音源を基に、2011年に発売されたのがこのCDである。バリリ四重奏団は、1957年10月15日にウィーンを出発し、アメリカ、カナダ、各地で演奏会を開いた後、12月10日に羽田に到着。日本滞在は約10日ほどで、東京(産経ホール、3回)、名古屋(CBCホール)、大阪(朝日会館)、福岡(電気ホール)、横浜(神奈川県立音楽堂)で演奏会を開催し、この間、テレビ放映が1回、ラジオ放送が3回行われた。このCDは、1957年12月11日と16日のラジオ東京での公演をライヴ録音したもの。その時の番組プロデューサーが、後に音楽評論家として活躍する門馬直美、音楽解説(音声)が当時人気の音楽評論家の山根銀二。その後、バリリ四重奏団は解散し、個人の演奏活動からも引退したワルター・バリリであったが、たまたま1995年に講演と公開講座のため来日した。この時にTBSの放送録音のマスターテープを聴き、CD化を承諾、そして日本のファンのためにメッセージも録音したのである。そして、1957年12月11日放送時の音楽評論家の山根銀二の解説(音声)を加えて、誕生したのがCD「バリリ四重奏団の遺産―東京ライヴ1957」なのである。なお、ワルター・バリリは「ウィーン・フィルとともに~ワルター・バリリ回想録~」(ワルター・バリリ著/岡本和子訳/音楽之友社刊)を著したが、この中でバリリ四重奏団としてのただ一度の来日(1957年)の際の日本の聴衆の熱狂ぶりも記述している。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2016-12-12 10:20:15 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~今注目のイタリア人若手指揮者 フランチェスコ・イヴァン・チャンパ指揮新日本フィルの「第九」~

ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」

指揮:フランチェスコ・イヴァン・チャンパ

管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
 
ソプラノ:中村 恵理
アルト:手嶋 眞佐子
テノール:吉田 浩之
バリトン:岡 昭宏

合唱指揮:栗山文昭

合唱:栗友会合唱団

会場:すみだトリフォニーホール

日時:2016年12月15日(木)  午後7時

 指揮のフランチェスコ・イヴァン・チャンパは、1982年イタリア・カンパーニャ州アヴェリーノ生まれ。ローマのサンタ・チェチリア音楽院でオーケストラの指揮を学ぶ。現在、イタリアの若手指揮者としては、ミケーレ・マリオッティ、ダニエーレ・ルスティオーニ、アンドレア・バッティストーニなどが注目されているが、フランチェスコ・イヴァン・チャンパもその一角を占める。

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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2016-12-09 11:17:08 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~アンコールで弾く“トルコ行進曲ジャズ”が評判のファジル・サイの「モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集」~

ファジル・サイ

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集

ピアノ:ファジル・サイ

CD:avex CLASSICS AVCL25905~10(6枚組)

 ピアノのファジル・サイ(1970年生まれ)は、トルコ・アンカラ出身。アンカラ国立音楽学院で学ぶ。17歳でデュッセルドルフのシューマン音楽院に留学。1992年から1995年までベルリン音楽院で学ぶ。1994年「ニューヨーク・ヤング・コンサート・アーティスト国際オーディション」で優勝し、一躍脚光を浴びる。アンコールで「トルコ行進曲ジャズ」を弾くファジル・サイの2年ぶりのソロ・アルバムは「モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集」。

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2016-12-08 10:00:06 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~中村紘子 メモリアル・コンサート~

モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K310(300d)
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番「葬送」
ラフマニノフ:組曲第2番から「ロマンス」「タランテラ」
チャイコフスキー:ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」


ピアノ:上原彩子、横山幸雄、河村尚子
ヴァイオリン:漆原啓子
チェロ:堤剛

会場:サントリーホール

日時:2016年12月11日(日) 午後2時

 2016年7月に逝去したピアニストの中村紘子を讃え、中村のリサイタルが予定されていた12月11日に、ゆかりの演奏家たちが集い、メモリアル・コンサートが開催される。演奏曲目は、亡くなったその日に楽譜が中村の自宅のピアノに置かれていたモーツァルトのピアノ・ソナタ第8番(演奏:上原彩子)、中村が生涯愛した作曲家ショパンのピアノ・ソナタ第2番「葬送」 (演奏:横山幸雄)、ラフマニノフの組曲第2番から「ロマンス」「タランテラ」(演奏:横山幸雄、上原彩子)そして故人を讃えるのに相応しいチャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」(演奏:河村尚子、漆原啓子、堤剛)。

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◇クラシック音楽◇NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー

2016-12-06 08:08:35 | NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー

 

~マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団とチェロのヨーヨー・マの共演~

 

R・シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」
                   
     チェロ:ヨーヨー・マ
     ビオラ:ウェン・シャオ・ツェン
     指揮:マリス・ヤンソンス
     管弦楽:バイエルン放送交響楽団
     
                              
マスネ:歌劇「ドン・キホーテ」から間奏曲第2番「ドゥルシネア姫の悲しみ」(アンコール)
                         
     チェロ:ヨーヨー・マ
     指揮:マリス・ヤンソンス
     管弦楽:バイエルン放送交響楽団         
                              
エリソンド:ラテンアメリカ舞曲から「ブエノスアイレスの秋」(アンコール)   
                       
     チェロ:ヨーヨー・マ
     チェロ:マキシミリアン・ホルヌング
                              
ドボルザーク:交響曲第8番
     
     指揮:マリス・ヤンソンス
     管弦楽:バイエルン放送交響楽団         
                              
収録:2016年1月29日、ドイツ・ミュンヘン フィルハーモニー    
                  
提供:バイエルン放送協会

放送:2016年12月2日(金) 午後7:30~午後9:10

 今夜のNHK‐FM「ベストオブクラシック」は、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団とチェロのヨーヨー・マの共演である。当代きっての人気者同士の演奏会であることは、聴衆の熱烈な拍手を聴けば十二分に裏付けられる。マリス・ヤンソン(1943年生まれ)は、ラトビア出身の指揮者。父はレニングラード・フィルの名指揮者であったアルヴィド・ヤンソンス(1914年―1984年)。レニングラード音楽院で学んだ後、ウィーン国立音楽アカデミーに留学し、スワロフスキーやエスターライヒャー、カラヤンに師事。1971年「カラヤン国際指揮者コンクール」で第2位、同年レニングラード・フィルを指揮してプロ・デビューを果たす。1973年からレニングラード・フィルの副指揮者を務める。1977年レニングラード・フィルとともに初来日。1979年~2000年オスロ・フィルの首席指揮者を務める。2003年バイエルン放送交響楽団の首席指揮者に就任し、現在に至っている。さらに2004年~2015年ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者も務めた。2006年、2012年、2016年の元日にウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの指揮を務めたので日本でもお馴染みの指揮者の一人であろう。要するに、マリス・ヤンソンスは、現役の指揮者の中でも、一際高い人気を保っている指揮者なのである。

 バイエルン放送交響楽団は、バイエルン州ミュンヘンを本拠地とするバイエルン放送専属のオーケストラ。設立は第二次世界大戦後の1949年で、初代首席指揮者にはバイエルン出身のオイゲン・ヨッフム(1949年―1960年)。1960年ヨッフムがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団に転出すると、後任にチェコ出身のラファエル・クーベリック(1961年―1978年)が就任。同楽団はこの時代に急成長を遂げ、“ドイツを代表するオーケストラ”の一つに数え上げられる。その後、コリン・デイヴィス(1982年―1992年)、ロリン・マゼール(1993年―2002年)が首席指揮者を務め、2003年からマリス・ヤンソンスが首席指揮者を務めている。ヨーヨー・マ(1955年生まれ)は、中国系アメリカ人の世界的チェリスト。生まれはフランス・パリで7歳の時からアメリカ・ニューヨークに住んでいる。1976年ハーバード大学を卒業後、ジュリアード音楽院でレナード・ローズに師事。1982年バッハ:無伴奏チェロ組曲を録音するなど世界的に名声を確立する。2009年オバマ大統領就任式典において演奏したことでも分かる通り、現在、アメリカを代表するチェリストとして活躍。自宅沿いの道路には「ヨーヨー・マ・ストリート」と名付けられているというほど。2010年には世界的チェロ奏者としてオバマ大統領より「大統領自由勲章」を授与されている。

 最初の曲は、R・シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」。この曲は、副題として「大管弦楽のための騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲」が付けられており、セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」に基づいて書かれた作品。独奏チェロと独奏ヴィオラが活躍することでも知られ、それぞれ主人公のドン・キホーテと従者のサンチョ・パンサの役を担っている。R・シュトラウスによって書かれた7曲の交響詩のうち、6番目の作品として1897年12月に完成。全体は、序奏、主題、第1変奏~第10変奏、終曲からなっている。「序奏」は、ラ・マンチャの村に住む男が騎士道の本を読んで妄想にふけり、自分が騎士ドン・キホーテであると思い込んでいく様子を表す。次の「主題」は、 ドン・キホーテが従者サンチョ・パンサを引き連れ、冒険に出る様子が描かれ、ドン・キホーテの主題が独奏チェロ、サンチョ・パンサの主題が独奏ヴィオラで奏される。続く10の「変奏曲」では、数々の冒険物語が展開され、最後の「終曲」では、ドン・キホーテが故郷の村で静かに自分の生涯を回想して、チェロによって彼の死が奏される。この曲でのマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団の演奏は、明快で、誰が聴いても分かりやすく、ユーモアたっぷりに演奏を進める。管弦楽が色彩感たっぷりに表現され、リスナーはオーケストラの音色の鮮やかさに思わず引き込まれてしまう。この辺の感覚はドイツのオーケストラというよりは、何かアメリカのオーケストラのそれに近いようだ。マリス・ヤンソンスの人気の秘密の一端を見たようにも感じた。

 次の曲は、ドボルザーク:交響曲第8番。この交響曲第8番は、ドボルザークにとって第9番「新世界より」と同様に重要な作品。第9番「新世界より」は、アメリカ滞在中にアメリカの音楽から影響を受けて書かれた交響曲であるのに対し、交響曲第8番は、チェコの作曲家としてボヘミアの明るい田園風景を思わせるような作品に仕上がっており、第9番「新世界より」や第7番と共にドボルザークの人気の交響曲だ。全体は4つの楽章からなり、1889年8月~11月にボヘミアで作曲された。この曲でのマリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団は、全体としてはゆっくりとしたテンポで奏でられ、実にコクのある味わい深い演奏内容を聴かせる。畳み掛けるような迫力の演奏を聴かせたかと思うと、田園風景が目の前に広がっているようなロマンが匂い立つような優雅さも持ち合わせているのである。分厚いオーケストラの響きが聴いていて心底心地良い。地に足がしっかりと付いている演奏内容であり、スケールの大きいドボルザーク:交響曲第8番を久しぶりに聴くことができた。マリス・ヤンソンスは、曲の真髄を分かりやすく表現することにかけては、当代随一の指揮者と言えるのではないか。聴衆の熱狂ぶりがこのことを裏書していた。マリス・ヤンソンスにはカラヤンの残像が垣間見れる。(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2016-12-05 10:20:38 | コンサート情報

 

<コンサート情報>

 

~ポップス界を代表する作詞家・松本隆が口語日本語訳詞した「美しき水車小屋の娘」~

シューベルト:アヴェ・マリア(スコット原詩、松本隆日本語詞)
         4つの即興曲集 Op.90 D899より第2番第3番
                  歌曲集「美しき水車小屋の娘」(スコット原詩、松本隆日本語詞)

テノール:福井敬

ピアノ:横山幸雄

会場:浜離宮朝日ホール
                             
日時:2016年12月6日(火) 午後1時30分

 シューベルトの純粋で儚い粉ひき職人の恋物語の歌曲集「美しき水車小屋の娘」を、ポップス界を代表する作詞家・松本隆が口語日本語訳詞。福井敬と横山幸雄のトップ・アーティスト2人の共演。

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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2016-12-02 10:45:09 | 新譜CD情報

 

<新譜CD情報>

 

~服部百音、17歳のデビュー盤~

音服部百

ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番
ワックスマン:カルメン・ファンタジー

ヴァイオリン:服部百音

CD:エイベックス・クラシックス AVCL‐25904

 ヴァイオリンの服部百音は1999年生まれ(17歳)。6歳で桐朋学園附属子供のための音楽教室に入学。2009年「ヴィエニアフスキー・リピンスキ国際ヴァイオリン・コンクール」ジュニア部門で史上最年少第1位及び特別賞を受賞。2013年ブルガリアの「ヤング・ヴィルトゥオーゾ国際ヴァイオリン・コンクール」ジュニア部門でグランプリ、特別賞を受賞。 同年ロシアの「ノヴォシビルスク国際ヴァイオリン・コンクール」に飛び級でシニアの部を受け、最年少グランプリを受賞、並びに審査員特別賞、新曲賞を受賞。2015年スイスの「ボリス・ゴールドシュタイン国際ヴァイオリン・コンクール」グランプリを受賞。現在、ザハール・ブロン・アカデミー(スイス)に在籍。東京音楽大学附属高等学校特別特待奨学生。

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