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野生の母ザルが子に歯磨き指導 タイで確認=京都大学霊長類研究所

2009年03月11日 | 生きもの色々
 人の髪の毛をデンタルフロス(歯間磨き)のように使うことを覚えたタイの野生ザルの群れで、母親が子どもと向き合いながら大げさな身ぶりで歯磨きのやり方を「教育」していることを、京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)の正高信男まさたか・のぶお教授らが突き止め、米科学誌に十日発表した。

 同研究所によると、親が子に道具の使い方を教えるのを野生のサルで確認したのは初めて。

 チンパンジーやニホンザルの群れで、シロアリを巣から草で釣り上げたり、イモを海水で洗ったりする行動が広がった例は知られているが、一般的には子が親のやり方を単純にまねていると考えられてきた。

 こうした文化的な行動の広まりに、親の積極的な働きかけがあったことを示す成果。正高教授は「人に近い動物なので教育の起源を解明する手がかりになるかもしれない」と話している。

 グループは昨年二月から約一カ月、タイ中部の寺院跡近くにすむカニクイザルの群れ約二百五十匹を観察。群れでは十年前から、落ちている人の髪の毛を両手に持って歯の間を掃除する行動が見られるようになり、百匹近くに広まったという。

 幼い子ザルがいる母ザル七匹に注目し、髪を口に出し入れする回数や、歯の間をこする時間を計測。子ザルが目の前で見ている場合は、見ていない場合に比べて回数が二倍に増えた。時間もたっぷりかけて磨き、しぐさが大げさになる傾向も確認できた。

 「歯磨きしている母ザルのしぐさを、じっと見つめている子ザルの姿に大変驚いた」と正高教授。「今後は群れの中での歯磨き行動の広まりを追跡調査し、教育による効果がどの程度なのかを見極めたい」としている。

【写真説明】人の髪の毛を歯間磨きのように使い、子どもに歯磨きを見せる母ザル(京都大霊長類研究所・正高信男教授提供)

[中国新聞 2009年03月11日]
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200903110083.html


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