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アディポネクチン:善玉ホルモンに悪役の顔 動物実験で解明、脳内で食欲増進作用=東京大学

2007年07月12日 | 代謝
 脂肪燃焼や血糖値低下を促す善玉ホルモンのアディポネクチンには、食欲の増進や脂肪の蓄積を促す“悪玉”の働きもあることを、東京大などの研究チームが動物実験で突き止め、10日付の米科学誌「セル・メタボリズム」に発表した。アディポネクチンは血液中でいくつも結び付き、複合体となる。悪玉となるのは小型の、善玉となるのは大型の複合体という。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や糖尿病対策につながる成果として注目されそうだ。【大場あい】

 アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される。筋肉や肝臓では脂肪の燃焼を促し、血糖値を下げるインスリンの効きを助ける。肥満すると分泌量が減り、脂肪が燃えにくくなる。脳内にも存在するが、そこでの働きはよく分かっていなかった。

 研究チームの門脇孝・東大教授(糖尿病・代謝内科学)らは、マウスで働きを詳しく調べた。

 アディポネクチンを注射したマウスの脳の視床下部を調べると、食欲を高める酵素が増えていた。アディポネクチンを投与したマウスは、実際に食べる餌の量が増える一方で、エネルギー消費量は減り、体重増加を招く状態になっていた。

 また、脳内で働くアディポネクチンは、結合数が3~6個と少ない低分子型複合体のアディポネクチンだと分かった。

 門脇教授は「アディポネクチンは、エネルギーを効率よく蓄え、飢餓に備える倹約遺伝子として働く。肥満で血中濃度が減るのは高分子型で、食欲を高めずに肥満や糖尿病を改善するには、高分子型だけを増やす薬などの開発が必要だ」と話す。

[毎日新聞 / 2007年07月11日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070711ddm012040049000c.html


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