ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

乳がん抑制するタンパク質 新治療薬の開発に期待=筑波大学

2009年02月09日 | 癌、腫瘍
 筑波大先端学際領域研究センターの柳沢純教授らのグループは「CHIP」と呼ばれるタンパク質が乳がんの増殖と転移を抑制していることを突き止め、8日付の英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に発表した。

 柳沢教授は「このタンパク質の量を増やしたり活性化させたりする技術を開発すれば、乳がんの転移を防ぐ新しい治療薬の開発につながる」と期待している。


 CHIPはユビキチンリガーゼと呼ばれる酵素の仲間。これまで特定のタンパク質の分解を促進する機能は知られていた。グループは患者の乳がん組織の中でCHIPが少ないほど、がんが悪化することを確認。ヒトの乳がん細胞内のCHIPの量を増減させてマウスに移植する実験で、CHIPの量を増やした乳がん細胞は腫瘍(しゅよう)の形成も転移も大幅に抑制されることを突き止めた。

[msn産経ニュース 2009年02月09日]
http://sankei.jp.msn.com/science/science/090209/scn0902090915000-n1.htm

骨の破壊を薬で抑制、新治療法に期待=大阪大学、アメリカ国立衛生学研究所

2009年02月09日 | 創薬
 古い骨を破壊する「破骨細胞」が骨の表面にくっつくのを薬剤で抑えると、骨粗しょう症の症状を緩和できることを、大阪大や米国のチームがマウス実験で突き止め、8日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 破骨細胞は古い骨が新しい骨に置き換わるサイクルの一端を担うが、働き過ぎると骨密度の低下や関節リウマチを引き起こす。高齢化に伴い国内には1000万人を超える骨粗しょう症患者がいるとみられ、阪大の石井優准教授は「新たな治療法の開発につながりそうだ」と話している。

 チームは、マウスの骨の内部を特殊顕微鏡で観察。血中の脂質の一種が、骨に付いた破骨細胞を引き離す役割を果たしているのを発見した。より強力に破骨細胞を骨から引き離す薬剤を骨粗しょう症のマウスに投与すると、骨の破壊は投与しない場合の4割程度にとどまった。

[共同通信47NEWS 2009年02月09日]
http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009020801000374.html

「乳がん転移を抑制」たんぱく質発見=筑波大学

2009年02月09日 | 癌、腫瘍
細胞に含まれる「CHIP」というたんぱく質が、乳がんの増殖や転移を強く抑制することを、筑波大の研究チームが突き止めた。乳がんの転移に関連するたんぱく質が見つかるのは初めて。

 9日英科学誌ネイチャー・セルバイオロジー電子版に掲載された。

 乳がんの死因の9割は、他の臓器への転移。これまで乳がんの増殖を防ぐ、抗エストロゲン剤やハーセプチンといった抗がん剤が幅広く使われているが、転移を防ぐ治療法はない。

 研究チームは、細胞内で不要なたんぱく質に標識をつける役割を持つたんぱく質の一種「CHIP」に着目。この標識で別のたんぱく質が認識し、分解するが、乳がん患者を調べたところ、悪性度が高い乳がんほど、CHIPの量が減少していることを発見した。

 人間の乳がん細胞のCHIPの量を減らして、マウスに移植したところ、がん細胞は大きな塊を作り、盛んに他臓器に転移した。対照的に、CHIPの量を増加させた乳がんだと、乳がんの増殖が抑制され、転移率はCHIPが少ないがんの1割程度に激減した。

 チームの柳沢純教授は「CHIPは乳がんの転移や悪化を防ぐ働きがある。これを活性化する分子を見つければ、乳がんの転移を防ぐ効果的な新薬開発につながる」と話している。

[読売新聞 2009年02月09日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090209-OYT1T00429.htm