ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

心臓移植:摘出後72時間保存し移植…ラットで成功=神奈川大学

2006年11月21日 | ラット
首の部分に他のラットの心臓を移植されたラット=関教授提供 ラットから摘出した心臓を従来の記録より24時間長い72時間保存し、他のラットへ移植して10週間拍動させることに、関邦博・神奈川大教授(環境生理学)らの研究グループが成功した。東京都内で行われる日本臓器保存生物医学会で24日、発表する。

 関教授らは、臓器を浸す液として、他のどんな物質とも化合しないパーフルオロカーボン(PFC)液を使用。ラットから摘出した心臓に生理食塩水に近い保存液を注入した上で、PFC液中に浸した。さらに水中ポンプのような装置を使い、二酸化炭素10%、酸素90%の気体を液中の心臓に毎秒35ミリリットル吹き付けた。

 この心臓を72時間後に取り出して別のラットの首の部分に移植すると、10週間後にも心電図で拍動を確認することができたという。

 ラットの心臓では、神戸大が95年に発表した48時間保存後に移植し、6週間生存させたケースが最長記録だったという。人間の心臓の場合、摘出から移植して血流が再開されるまでの時間は4時間が限度とされている。

 関教授は「二酸化炭素を吹き付けることで、臓器の細胞の代謝を低下させて休眠状態にしたため、長時間保存ができたと考えられる。人間の臓器の場合はさらに研究が必要だが、応用も可能ではないか」と話している。【大場あい】

(写真は首の部分に他のラットの心臓を移植されたラット=関教授提供)

[毎日新聞/2006年11月21日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061121k0000e040023000c.html