輝く未来へナイスシュート!

子どもたちは、無限の可能性を秘めています。その子どもたちのために少しでもお手伝いをしたい!

吃音についての理解を!

2016-07-06 20:49:36 | 特別支援

外来で吃音リハビリ

(2016年7月5日) 【中日新聞】【朝刊】

 言葉がつっかえ、滑らかに話せない吃音(きつおん)に悩む人たちのために愛知県や長野県の病院が「言葉のリハビリ」に取り組んでいる。原因が十分に解明されておらず、対応できる医療機関が少ない中、全国でも珍しい専門の言語聴覚士や外来をおき、滑らかに話す力を伸ばす方法を個別に指導。同時に学校や職場など、吃音がある人の周囲にも正しい知識を知らせ、安心して話せる環境づくりにも力を入れている。 (山本真嗣)

 「あひるがあるく、いっしょにかえる…」

 愛知県武豊町の杉石病院。非常勤の言語聴覚士、羽佐田竜二さん(42)が、吃音のある小学5年の男児と発話の練習に励んでいた。

 吃音がある人は言葉が詰まって言えない傾向があるが、速度を落とすと言いやすくなる。話すリズムに合わせて指でなぞるとゆっくりと発声しやすくなる板様の補助具を使い、テキストを3〜4分で読む。一度も詰まらずに読み上げると、男児がにっこり笑った。

 男児の吃音が出始めたのは3歳のとき。「マ、マ、マ、ママ」「きょ、きょ、きょ、きょうね」。最初は本人も気にしていなかったが、保育園で友達にまねされるようになり、話そうとしても言葉が出なくなった。かかりつけの小児科に相談し、杉石病院を紹介された。

 同病院では5年前から羽佐田さんが吃音の専門でリハビリ指導を開始。内科などを受診した吃音の子どもを週2回、個別指導している。

 羽佐田さんの方法は吃音を「治す」のではなく、吃音の出ない話し方を身に付けること。羽佐田さん自身も子どものころから吃音に苦しんできた。有効とされるリハビリ法を試し、自ら滑らかに話す方法を体得。その技術を伝えている。

 症状が改善しないケースもあるが「自分で話し方をコントロールできれば、自信につながる」。

 長野県東御市の東御市民病院は2年前に吃音専門の「ことばの外来」を開設。自身も吃音がある結城敬院長が問診した後、言語聴覚士の餅田亜希子さん(48)が悩みの相談に乗ったり、話す練習をしたりしている。

 餅田さんによると、吃音は本人が周囲の反応を気にして話せなくなったり、症状が悪化したりするケースが多い。このため、まず家族に吃音について正しく知るガイダンスを行い、学校の教員や保育所の保育士らに「発言を最後まで聞く」「話し方でなく中身に耳を傾ける」などと接し方を書いた手紙を送ったり、電話で説明したりして本人が話しやすい環境をつくる。

 2年前から外来に通う長野県の小学2年の男児の母親(39)は餅田さんと相談し、入学時に担任から同級生に吃音を説明してもらい、話し方をからかったりしないように理解を求めた。学年便りにも同様の内容を書いて配布。男児は今も症状はあるものの、話すことを怖がらなくなったという。

 餅田さんは「吃音は症状よりも、本人がどもることを恥ずかしいと思って自己肯定感が低くなることが最大の問題。どもってもいいから、安心して話せる環境と社会の理解が必要」と話す。

 吃音に詳しい国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)研究所の森浩一・感覚機能系障害研究部長(59)によると、吃音に十分対応できる言語聴覚士は全国でも少ない。3年前に発足した日本吃音・流暢(りゅうちょう)性障害学会(金沢市)が吃音の講習会を開くなど、人材育成に力を入れている。

 また、本年度から森さんらでつくる国の研究班が幼児の吃音の発生率を調べ、言語聴覚士によるリハビリのガイドライン作りに着手する予定。

 一方、吃音を治療の対象と考えるべきではないという意見も。自身も吃音がある日本吃音臨床研究会(大阪府寝屋川市)会長の伊藤伸二さんは「どんなにどもっても否定的にとらえず、その自分を認め、『吃音とともに生きる』姿勢が大切」と話す。

 吃音 言葉が円滑に出なかったり、同じ音を繰り返したりする。発達障害の一つとされ、脳の発話中枢と運動中枢の神経の接続が何らかの理由で不十分になっている可能性が指摘されている。大半が2〜4歳の幼少期に発症。多くは自然に治る。成人の1%に症状が残るとする海外の調査もある。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿