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先日よりお伝えしております、金春流能楽師の山井綱雄さんとの史上始まって以来多分初めての、能と西洋音楽とのコラボは、大変ご好評のうちに、無事に2公演が終わりました。
お恥ずかしながら日本の伝統芸能に無学な私でしたが、そんなことは全く問題を感じさせない気さくな山井さんと一日目の夜、会の成功を称えあい、話は楽しく、またためになるお話を沢山しました。
ステージはそれぞれのソロがあり、またコラボもありの一時間でした。
まずは能の「井筒」「船弁慶」という演目。
「地謡い」という独特の発声から始まり、非常にゆっくりとした動きの舞を見せて頂きました。あ、いや、本当は舞台袖に待機していたので、幕の間からチラ見しか出来ませんでした。
そのあと、こちらはバッハの無伴奏の第一番プレリュードから始まり、「おくりびと」、「風のガーデン」よりショパン「ノクターン」。またカサドの無伴奏ソナタの1楽章でした。
そののちに、問題のコラボですが、コダーイの2楽章から入りました。山井さんは、この音楽を「天女の悲しみ」と表現されたようです。
すり足でのゆっくりとした動きでステージへ上がられ、音楽が追分け風の流れになれば、合わせて舞を。途中で僕曰く決闘のシーンのところでは激しい動きもされてました。途中で謡いも入ってチェロと絡みがありの、1人の演奏の部分がありの、最後は謡いで閉めに。そこからカサドの3楽章は衣装直しとあてがわれましたので、究極のショートカットで最後のフィニッシュ。
その後は、僕も調弦直しがありましたので、少し間を取り、仕切り直ししてからはバッハの「G線上のアリア」に乗り、天に舞い上がったように舞いをされました。
この時の感想をご来場のお一人の方が、「あのとき、本当に天女が浮いて行っているように思えたわよ。」と興奮気味におっしゃっていたのが印象的でした。
実はこのとき、音楽の終わりと舞の閉めを合わせられていたのです。しかし、そのあとどうするかの打ち合わせをしていませんでした。
直感的に音楽は終わりでも、能は続きがある、と思えたので一切の動きを極力抑え、息を懲らして目線も低いまま舞台から消えられるまで固まっていました。
このことについては、1日目の公演のあとお話した時、「能は、舞台に出るまでと、舞台から帰る時と決まりがあって、黄泉の世界から現れ、また黄泉の世界に帰っていく、という流れを見せるところが必要なのです」と。
ですから、直感はどうやらまんざらでもなかったということでした。
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