チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

ブルックナーでつい夢の中に・・・

2018年02月26日 19時15分52秒 | コンサート

東京アマデウス管弦楽団の演奏会があった。ブルックナーの交響曲第4番「ロマンチック」がメイン。

前プロにウェーバーの「オイリアンテ」、2曲目がベートーヴェンの「交響曲第8番」。
オイリアンテとロマンチックは市原フィルで乗せてもらった事があるので楽しみ。

 ベートーヴェン8番を演奏会で聴くのは初めてだった。
有名な7番とも9番とも何だか感じが違うけど、やっぱりベートーヴェンだった。
おそらく東京アマデウスの音色が全体でベートーヴェンに合致しているのではないか。
何度も感心していたのは、木管楽器の融合した音色が素晴らしいこと。
Ob,Fl,Clの3つが合わさり澄み切った音色を響かせてくれる。
いや木管ばかりではない、Tp,Hrも 弦だってベートーヴェンしてるんだよな~。
アマデウスはドイツ音楽を中心に演奏してきたという楽団。

こうした音色はなかなかアマチュアでは出ない。

 

 前半は最前列で “音が頭上から降ってくる” ようだったので、休憩後は会場後部席に移ってみた。

やはり前方と後ろでは違うんだね。
前だと弦楽器の音に包まれる感じはいいんだけど、なんだか音のレンジが広くてまとまらない。
後方から聞くとオーケストラとしての演奏が一かたまりになって前方から届けられる感じ。
曲を全体として鑑賞するには真ん中より後ろの方がいいようだ。

 聞きたかった「ロマンチック」が始まった。
静かに広がる さざ波の様な弦のトレモロの中から、何者かが立ち上がるようにホルンソロが始まる。

「すばらしい!」

Hr奏者にとっても、オケ全員にとっても緊張する箇所を突破した。
このHr奏者は名手だ。その後もHrが素晴らしい音色でオケをリードし、支えていった。

 第1楽章で改め感じた事。
ブルックナーはアメリカハリウッドの映画音楽に相当な影響を与えているのではないか。
激しいところや荘厳な感じのところは、大スクリーンのスペクタクルものに取り入れられているし、
弦の優しいメロディーは、恋人同士のロマンスを感じさせる。
ブルックナーの時代に映画は無かったはずだけど、マーラーやラフマニノフを経由して伝わったのかな~・・・

2楽章に入りVnの助走に続いて、チェロがandanteの静かなメロディーを奏で始めた。
一度高まり 静まると思わせて また高まって また静まる。こうして揺られたあと、
もう一段の高みへとA線を駆け上ってハイトーンのC音に至る。

綺麗だ。

そのあとホルンやトランペットの静かな「相づち」があって、今度はビオラが同じメロディーを奏で始める。

 「ブルックナー休止」と言われる全休止と 静かな再開が とても味わい深い。
アンダンテで そぞろ歩くよなテンポが心地いい。
JAZZでは「ウォーキングベース」は4ビートなんだけど、オケの「ウォーキングベース」は
コントラバスの2ビート。オケの背後で”歩み続ける”その一歩一歩がなんだかとても嬉しい。

ブルックナーは繰り返しが多い気がするけど、単なる繰り返しではなく、
オケの各所が絶妙に役割交代をしながら、リフレーンしていく。

でもこの心地良い繰り返しに居眠りしない人がいるんだろうか・・・

「晴れ着の若い女性が、縄で縛られて、姥捨て山のようなさびれた窪地に引き立てられゆく。
『お前はこのまま飢え死にするか、その前に鳥にその身をついばまれるがよい』と打ち捨てられた。
 上空から髪の毛をかすめたカラスに 左目をつつかれた ぎゃー!・・・」

その瞬間、オケが高鳴り、気づいたら音楽ホールに座っていた。
なんだ夢だったのか・・・ブルックナーに不吉なメッセージは含まれてたかな~

すると、オケは全休止し、静かなピッチカートでまた歩き出した。
バイオリン属のピッチカート、コントラバスの歩み、こりゃ心地良くてたまらん。
永遠に繰り返してほしいものだ・・・

「針金でできた大きな鳥かごの様な映像が現れ、そこからきらめく光が解き放たれて・・」
気が付くと、金管のコラールが大音響で始まっていた。
また落ちたのね。

こうして第2楽章は終曲へ向かっていった。
すばらしい2楽章を創ってくれたブルックナーと、東京アマデウスに感謝。

無論その後3楽章も、4楽章も素晴らしかったけど、2楽章の「夢幻」の世界が印象に残った。
こういう演奏会もあっていいか。

それだけ東京アマデウスの音色が美しく 心地よかったということだよね。

 

 


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