チェロ五十代からの手習い

57才でチェロに初めて触れ、発見やら驚きを書いてきました。今では前期高齢者ですが気楽に書いてゆこうと思います。

プロレッスン 鉛筆を持つことで小さな前進に

2007年08月09日 21時37分50秒 | レッスン
 プロオケの先生のレッスンの3回目。練習に入る前に、アマオケの譜面を見て、さわりを少し弾いて見せてくれた。それから弓によって音が異なることも教えていただいた。僕の10万円代の弓、先生所有のカーボン製で1万ちょっとの弓、そして先生が使用しているプロ仕様の弓。
 微妙な違いだけど全然違う。先生の弓だけが、ソリッドというか、くっきりとしたまとまった音が飛び出してくる。僕の弓は「けっこう音が芯まで届くのに時間がかかりますね」とのこと。
 音が楽器の芯から出てくることかな・・先生はいつも楽器と対話しているようだ。少し弾いてボディーを十分鳴らした後「これでずいぶん鳴るようになったでしょ」という。芯・・音にも芯の音と、表面をなぜただけの音があるのだと思う。

 今の練習は、G線の開放弦を、ただひたすらダウンで弾ききるだけ。「これができればチェロの60%は出来たことになるから」と何度も何度も繰り返す。アップの返しはダウンが出来てからでいいそうだ。
 同じ楽器でもG線開放弦を同じ弓で先生が弾くと、全然豊かさがちがう。ドーっと滝のような太い音が連続してあふれ出してくる。僕が弾くと小川のように、ときに途切れ途切れになったり、何しろ安定しない
 要するに、どこかに、無駄な力、力みが入っていて「楽器は押し付けるような演奏をするとすぐ反応する」らしい。全ての力を抜いて、ひたすら弦と糸とが噛み合った状態からスタートして、その状態を維持する。決して弦に対して圧力を加えないこと・・何度も何度もやってはみるものの、「力を抜く」ことができない。

 悪戦苦闘したものの、これで次には前進できるという確証が得られぬまま、あっという間に2時間近く経ってしまった。どうも行きつ戻りつして、前回前々回の状態より悪くなっているような、重苦しい気分になってきた。
 そのとき、先生はとうとう鉛筆をもってきた。「これを弓の代わりに持ってみて」。先生ももう一本の鉛筆を持って比べたところ、「あっ親指の向きが違う!」と気づいた。

 これまでチェロの教則本も、ゴーシュさんのHPからも、沢山の情報を得ていたが、アマオケに入って力ずくで演奏に加わっているうちに、親指が伸びきってしまい、あるいはなんとか速いパッセージに追いつかんとして爪を立てたり、めちゃめちゃ力みかえった持ち方になっていたんだと思う。その挙句、腕や親指の痛さをカバーしようと、脱力しすぎたり・・

 右手の中に小さくたたまれた親指の形状は、なかなか外からは発見できない。先生はひたすら音を聞き分けて「力が入っている」「角度が変わった」と指摘してくれていた。
 最後は、鉛筆を持つ状態にして、初めて気づいた「小さな間違い」。しかしその小さな間違いが身体全体、演奏全体の大きな間違いに繋がってりまう恐ろしさ。

 ちょっとだけ、次に繋がるヒントを得てレッスンを終了。諦めず、しょうもない初心者にとことん、あの手この手で付き添っていただける先生を持てて幸せだ。
基本の基本、小さな違いにこそ土台であることは、全ての世界で共通していると感じる。
コメント
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