
図表:日刊スポーツより
朝ドラ「あんぱん」は太平洋戦争末期。主人公の柳井嵩は中国大陸で餓死寸前。のぶは7月の高地空襲で逃げ惑う。そして8月15日の敗戦…
嵩が中国に出征するとき、八木上等兵に問うた。
「自分はなんとしてでも生きて帰りたいです。教えて下さい。自分のような者が生き残るにはどうしたら…」
「弱いものが戦場で生き残るには…卑怯者になることだ。仲間が殺られても仇(かたき)をとろうなんて思うな」
中国で、嵩の幼馴染、田川岩男が、かわいがっていた中国人少年リン・シュエリャンに銃で撃たれた。死の直前、田川はリンを庇った。
「リンはようやった。これで…えいがや」
田川は出征前に結婚し、戦地で「子どもが生まれた」との知らせを聞いていた。
連隊は1年前、ゲリラ討伐を命じられリンの家族が住む村が攻撃目標になった。リンの両親は日本兵に射殺された。母親はリンの体に覆いかぶさった状態で死亡。リンの両親を撃ったのは岩男だった。リンは岩男の顔を覚えていたし、岩男もまたリンが自分が殺した村人の子どもであることを知っていたらしい。
「僕は、お父さんの形見の銃で、仇をとったんだ」
いわゆるかたき討ちですね。
かたき討ちは、江戸時代に公認されていた私刑。士分の者が父母や兄等を殺害された場合、その犯人を殺しても殺人罪に問われませんでした。士分以外でも「大目に見られ」、かたき討ちは果たした子どもは「孝子」として賞賛されました。武家の当主が殺された場合、その子どもがかたき討ちをしなければ、家名の継承が許されなかったそうです。
この放送があった日、日本時間11時から行われたドジャース対パドレス戦は、大荒れでした。
ドジャースとパドレスはナショナルリーグ同地区のライバル球団。昨年の地区シリーズでは、ドジャースが3勝2敗でパドレスを下し、リーグ優勝決定シリーズ、ワールドシリーズに進みました。パドレスにとってドジャースは因縁の相手です。
今シーズンも上位を争っており、今回の4連戦でドジャースが3連勝。4戦目は山本が登板してスイープを狙います。
しかし、この日は試合前から不穏な空気が漂っていました。
第1戦から3戦までに、両軍5つの死球(デッドボール)があり、中には「報復」と見られるものも。
第2戦では、大谷が死球を受けた後、ロバーツ監督が猛抗議をして退場になった場面も。
第3戦では、ドジャースのパヘスがこのシリーズ2つ目の死球を受けます。
そして第4戦、7回にドジャースのトリビーノ投手がパドレスのジョンソンに死球を与え、パドレスの主力選手タティスには、すっぽ抜けたボールが顔面付近に。
さらに8回にドジャースの若手投手が同じタティスに死球を与えると、両軍選手が飛び出してもみ合う展開。両軍監督はともに退場になりました。
そして9回、パドレスのクローザー、スアレスが160キロの剛速球を大谷の右肩にぶつけ、二度目の乱闘かと思われましたが、当の大谷が自軍ベンチをなだめ、乱闘は避けられました。この試合はすでに「警告試合」になっており、死球を与えたスアレスは一発退場。
ここで、ブルペンで何の準備もしていなかった松井裕樹投手が急遽駆り出されてマウンドに。満塁のピンチで1点を失いましたが、最後の打者を三振に切って取り、ゲームセット。
MLBには、「自軍の主軸が死球を受ければ、相手チームの中心打者にぶつけ返さなければならない」という不文律があるんだそうです。そして、投手がこれを拒否すると、チームから重いペナルティーを科される…
スアレスが大谷にぶつけたのは、この不文律に従ったものでしょう。投手復帰を目指して大変な努力をしている大谷の右腕に怪我がなかったらしいのは、本当によかったです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます