スペインの昼休みは長い。いわゆるシエスタ(午睡)です。
伝統的には,正午から午後四時まで,長大な昼休みがあり,人々は帰宅して昼食をとり,昼寝をし,(場合によっては夫婦生活を営み),再び勤務に復帰する…。あまりにも特異な習慣なので,周辺諸国からの非難が高まり,近年ではその習慣を見直す企業も増えているとのこと。
わが社の場合,昼休みは午後2時から4時のうち,1時間を交代でとる。時間は短いですが,時刻は遅い。
ホテルは朝食がつきです。一階の小さなレストランでとるのですが,これが貧しい。コーヒーとパン(トースト,クロワッサン,デニッシュのうち一つを選択)のみ。
(そうか,コンチネンタル・ブレックファストだった…)
これで午後2時までは,お腹がもちません。初日の昼は午後1時を過ぎた頃からお腹が鳴り始めました。それで,次の日からはホテルの朝食を終えたあと,3人で付近の散歩を兼ねて,カフェでもう一食とることを日課にしていました。
私は生ハムやサーモンのはさまったサンドイッチ。日系ペルー人が選んだのは,チュロスです。チュロスは,棒状の揚げパンで,ディズニーランドなんかで売られているものは,周りに砂糖がついていますが,スペインのカフェで出るものは,砂糖なし。カフェ・コン・レチェ(カフェオレ)などに浸して食べます。
「ああ,なつかしい…」
彼は,中学2年生のときに日本に移民に来て以来,祖国ペルーに帰っていない。スペインに来るのも初めてです。
「よく,子どものときに食べたんですよ」
と言いつつ随喜の涙を流していました。私も少しちぎって食べさせてもらいましたが,味がなくて,脂っぽいだけで,あんまり旨いもんじゃありませんね。
朝食の貧しさと対照的に昼食の量は膨大です。
私たちは出張中,二軒のレストランにかわりばんこに行きましたが,どちらもサブとメインの料理を選ぶシステム。
初 日:豆煮込み/ステーキ&フライドポテト
二日目:マッシュルーム炒め/白身魚(カマス?)のムニエル&フライドポテト
三日目:グリーンサラダ/パエリア
サブとメインのそれぞれが,日本なら優に一食を構成する量です。グリーンサラダなど,よく居酒屋で出る3~4人でちょうどいいぐらいの大皿がドーンと出て,これが一人分というから驚きます。
さらに,デザートとして,プディング/ケーキ/フルーツ/コーヒーの中から一つ選ぶ。フルーツはリンゴやオレンジが丸ごと出て,自分で皮を剥いて食べます。ケーキ,プディング,フルーツとコーヒーが並列でデザートとされているのがちょっと不思議。私はたいていコーヒーを選びました。
これで10ユーロ(約1500円)。昼食としては高いですが,量と比較すれば割安です。
午後2時~3時にこれだけの量を食べると,夜はお腹が空かない。レストランがだいたい夜9時にオープンするのもうなずけます。
私たちは,夜はたいていバール(BAR)でビールと簡単なタパスで済ませていました。タパスとは,バールで出される簡単なおつまみで,パンの上にさまざまな食材が載っている場合が多い。ビールを頼むと無料で一つ出てきて,足りなければ別のタパスを注文する。店ごとに特色のあるタパスが出るので,バールをハシゴするのが楽しい。
そのうちの一つにモルスィージャというものがありました。これが韓国のスンデそっくりなのです。要するに血のソーセージですが,サラミソーセージのように固くなく,中にお米がまぜてあり,食感といい味といい,スンデを思わせます。
私たちは,できるだけ庶民的で,混んでいて,雰囲気のいい店を選んで入りました。テーブルにつく場合もあれば,スタンドの場合もある。2~3軒のバールを回るとお腹も気持ちも満足できます。
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