昨年のクリスマス,韓国で「スカートめくり」をするときに,「アイスケーキ」と叫ぶということをご紹介しました(→リンク)。
この理由について,韓国のタンジ日報に分析記事が載っていたので翻訳してみます。(→リンク)
参考にタンジ日報とは,韓国の反体制的おふざけネット新聞で,ときには韓国の国定教科書批判などの硬派(だがユーモラスな)記事を掲載することもあります(→リンク)。
なぜアイスケーキと呼ぶか
ユンボキ姉さんがアメリカから帰国し、国内で初めてミニスカートを披露した1967年。この年以降、国内のすべての男性が突然,風の吹く日を首を長くして待ち始めた。こんな言葉もあるではないか。「風の吹く日は「水の良い」狎鴎亭洞に行かなければ!」。 歩道橋の下に陣取るデバガメたちが本格的に量産されたのもこの年からだ。
しかし,消極的に見物するだけでは飽き足らず、児童層を中心にスカートをめくり始める蕩児的遊戯文化がこの地に根づいたのは,おおよそ1970年代半ばのことである。
80年代初頭説もあるが、スカートの長さがひざ上10センチになると軽犯罪として罰し、男性の男心を蹂躙する反人権的処置が吹き荒れた朴正熙時代,既にして「アイスケーキ」が流行したというのが論理的な定説である。
70年代の子供たちのスカートめくり行為は、スカートの長さに対する無念な童心が行動化された反朴正熙抗争の個人的な具現と言えるが、例によって巨大談論の歴史は、これらの個人的でありながらゲリラ的な抗争を記憶にとどめない。遺憾なことである。
では,このあたりで本能的に生じる疑問を一つ。スカートをめくりながら男児が得意気に叫んだ雄叫びの言葉がなぜよりによって「アイスケーキ」だったのか…。
いったいスカートをめくる行為とアイスケーキの間にいかなる有意的相関関係があって、模範的発音である「アイスケイク」でもなく、「ケーキ」などというのだ(※)。むしろ所期の目的を達成したという意味で、「ヤッター!」と叫んでもよさそうなのに,いったいなぜ…。
特定の対象もしくは行為が命名されている現象の基底には、その対象もしくは行為に対するイデオロギーが溶けこんでいるものだ。したがって、この世界のすべての名前は,ありふれたものが一つとしてない。着用中のスカートの裾の瞬間上昇を図る行為がアイスケーキと呼ばれることについても,明白な理由がある。ああ、意識がかすむ…。
※ 韓国で,「CAKE」の標準的発音は,「ケーキ」ではなく「ケイク」
露出による清涼感上昇の側面
スカートをめくるとき,スカートのすそがはためきながら,その周りに対流現象が引き起こされ、これにより生じる気圧差、すなわち風のためにアイスケーキ実行者は涼しさを感じ、この感覚は氷菓類を食べるときに感じる清涼感と類似していることに由来するという見方である。
あるいは,スカートが急速にまくれ上がるとスカート内の気温分布が乱れ、やはり対流現象が発生、露出被害者がより多くの涼しさを感じるから,とも主張できよう。しかしこれは、なすすべなく他意によって,ひざから始まり太股を経て、その上の部位まで白昼公然と露出しなければならない被アイスケーキ者の心情を、ただの一度も顧みない乱暴な説にすぎない。
代価性響応賄賂指称の側面
普段からあこがれていた女の子のスカートをめくることを,同年代の友人に頼み、その代価として、主にアイスクリームを提供したことから由来したという説。
このため、請託を受けた友人は、ターゲットのスカートをめくるという任務を完了する瞬間,「これでアイスクリームを味わうことができる!」という瞬間的歓喜を驚嘆調に吐露することで,その喜びを周囲に誇示したという。「アイスケーキ」という雄叫びはすなわち,次に出てくると予想される「食べられる!」を果敢に省略することで,当時の児童たちの卓越した言語経済性を垣間見ることができる。
急速顔面冷却の側面
アイスケーキをされた女児が羞恥心,憤怒の気持ちで顔がくしゃくしゃになったとき,その顔の形状を氷菓類の冷たさと固さになぞらえた隠喩に由来すると見ることもできる。この仮説は、スカートをめくる行為が,実はスカートの中を盗み見てやろうという男児の明示的もしくは含意的性的欲求から由来したものではないかということに対し反証する重要な手がかりとして多く引用される。
どうして。
女児の羞恥心に満ちた顔から、一種の優越感や勝利感を満喫しようという,男児特有の気持ち,もしくはそれを超えて支配欲の所産とまで解釈することができるからだ。
スカートの中の神秘主義孕胎の側面
その昔、クーラーボックスのふたを開けるとき,モクモクと立ち上るドライアイスの炭酸ガス、そのスモッグ性の煙は、ある種の神秘感に加えワクワクする期待を呼び起こしたものだ。このような神秘感とワクワク感は、あこがれの女児のスカートの中はどんなふうになっているかという神秘感ないしは期待と類似していることから,アイスケーキという名前が付与されたと見る見方である。
第二次性徴が表れる前後の年代に応じた単線的性的ファンタジーが効果的に投影されているという点で有意味な視点と言えよう。
発音による快感誘導の側面
音声学的にみたとき、軟口蓋すなわち喉に近い口蓋を強く閉鎖した状態で発音するのが/kh/である。この/kh/は母音と組み合わさって強力な破裂音になるが、これを連鎖的に発音することで随伴される一種,豪快でありながら何かを「やらかした」という感じを得ようとして,この名称を使用したと見る見方。
つまり、スカートをめくる行為から来る一時的快感を倍加させるための有効適切な効果音として「ケイク」のかわりに「ケーキ」という語彙を選択する知恵を発揮することにより、副次的快楽を追求したという,たいへんに論理整然たる類推が可能である。
このあと,なぜ男児は「アイスケーキ」をするか,という考察が続くのですが,省略します。
しかし、この言葉は結構、日本のネットでも出てきてますね。映画の影響かな?