犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

塩辛は液体か!?

2007-03-14 00:11:21 | 日々の暮らし(韓国~2007.7)
 二泊三日の東京出張。

 短い出張だから、ノートPCを持っていくまでもないし,着替えも家にあるやつを着ればいいからと,小振りのボストンバッグ一つで,ふらりと家を出ました。

 家族から頼まれていたのは唐辛子入りイカの塩辛だけ。以前,空港で買って懲りたことがあるので(→リンク),最近は会社近くの水産会社の直営売店で買うことにしています。500グラムの徳用サイズが7500ウォン

 3月に入って初めての出張。

 搭乗手続を済ませ,手荷物検査に進む道々,ポスターがベタベタ貼ってある。

「3月1日から手荷物検査が厳しくなります。液体の持ち込みはできません」

 ふーん,テロ対策か。厳しくやってもらったほうが安心だよね。どうせ関係ないし。
 自分の番が回ってきて,手荷物がひっかかった。

「ちょっと開けていいですか」と係のアガシ。

「はい,どうぞ」

 化粧品のポーチが引っ張りだされ,中からオーデコロンの小瓶と練り歯磨きとオロナイン軟膏が取り出される。

「これ,ジッパー付きのビニール袋に入れてください」
(おやおや,厳密だなあ。)

「これもお客さんのですか?」

 ボストンバッグとは別に持っていたビニール袋を指す。

「はい,そうですけど」

「中は何ですか」

「オジンオチョッカル(いかの塩辛)です」

「あっ,これ,持ち込めませんよ」

「えっ,なんでですか」

「読みませんでしたか。100ccを越える液体は持ち込めなくなったんです」

「だって,塩辛ですよ,シ・オ・カ・ラ」

「いえ,こういう水分を含むものは液体扱いなんです」


 塩辛が液体!? そんなバカな! じゃ,おめー,飲んでみろよ。


「ついこないだも同じものを持ち込みましたけど」

「3月1日からなんですよ」

「はあ。…今回だけ見逃してくださいよ」

「それはできません」

 揉めているのを見て,アジョシがやってくる。

「お客さん,規則なんですから従ってください」
(規則って,どこからどうみてもただの塩辛じゃないか。どうやってテロを起こすんだよ!)

「中の免税店でも売ってるでしょ,塩辛」

「あれは,梱包のしかたが違うんです」

「じゃ,どうすればいいんですか」

「荷物として預ければ持っていけます」

「だって,このかばん,鍵がかからないし無理ですよ」

「そしたら捨てていただかなければなりません」

「冗談じゃありませんよ。家族はこの塩辛を楽しみにしているんです」
(とは言いませんでしたけど)

「これだけ,別に梱包して預けたらどうですか。向こうほうに,梱包コーナーがありますよ。3000ウォンぐらいかかりますが」
(3000ウォン! 安く買った意味がないじゃないか!)

「わかりました,預けます」
(アジョシ、若い係員に,ついてやってやれ,と命令)

 JALの窓口に行くと,似たようなお客さんの梱包をやっている。

「すいません,これもお願いします」

 窓口のJALのグランドホステス,500グラムの小さな塩辛のビンを,たいそう大げさなダンボールで梱包してくれる。
 付き添いのアジョシは,手持ち無沙汰そうに眺めている。

「クロンサラミマンチョ?(こーゆー人,多いでしょ?)」

「ネー」

「パッパジョンネヨ(忙しくなっちゃいましたね)」

「ハルスオプチョ,モー(しょうがないですよ)」

 梱包のできあがり。3000ウォンはとられないですみました。

「コマウォヨ」

 アガシは感じよかったし,もめたわりには,最後は気持ちよく収めることができました。

 そして,中の免税店で400グラム2万8000ウォン(約5倍!)の塩辛を目にしたとき,私の満足感はいやましに高まったのでした。

 みなさん,イカの塩辛はくれぐれも機内に持ち込まないように。

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