犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ごはん食べた?

2024-08-01 00:15:04 | 朝ドラ

 朝ドラ「虎に翼」で、在日朝鮮人の裁判が進行中です。

 在日朝鮮人の兄弟が経営するスマートボール場が火事になり、兄が放火の疑いをかけられているのです。少し前に、火災保険をかけていたことから、詐欺の容疑もあります。

 本人たちは否認していますが、検察は状況証拠から追及します。

 そして、公判で新たな証拠が出てきました。

 拘置所から弟に送った、兄の手紙が弟の家から押収されたのです。

 そこには、

「私が中を完全に燃やしてしまったせいで心配をかけただろう」

という文言があり、これが放火を自分で認めたものだというのですね。

 ところで、この手紙、次のように始まっています。

広洙 きちんとご飯は食べているか
広洙 밥은 제대로 먹고 있느냐


 弟が食うのに困っていないかを、気遣っている言葉ですね。

 私が30年ほど前に韓国で暮らしていたとき、同じような表現をよく耳にしました。

 パンモゴッソ? 밥 먹었어?

 ご飯食べた?


 昼食後こう言われて、

「食べました。今日は、ノルブでプデチゲ(部隊鍋)を」リンク

なんて答えると、相手の韓国人は憫笑してくれます。

(別に何を食べたか知りたいわけじゃないんだけど…)

 実はこれ、「ただの挨拶」なんですね。

 朝鮮時代の貧しかったころの名残で、「ご飯を食べたか?」は、「ちゃんと暮らしているか?」「元気か?」というような意味。

 現代でも習慣的に使われますが、男性に多いような気がします。女性から言われたことはありません。

 電話を切るときの挨拶で、「トゥロガセヨ 들어가세요」なんていうのもありました。

 トゥロガセヨは、直訳すると、お入りください、お帰り下さい

(ここ、家なんですけど、どこに帰るの?)

 昔は家に電話がなく、特別な場所(郵便局?)に行って電話をかけるのが普通だった。

 それで、電話を切るときに、「(家に)お帰りください」と言ったということです。

 今や、家に固定電話さえなく、スマホで通話する時代。この表現を使う人はほとんどいないでしょう。

 ところで、朝ドラの裁判で証拠として提出された手紙は、どうも日本語訳が間違っているらしい、ということがわかりました。

 寅子がどんな判決を下すか、楽しみです。

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