犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国飲み屋事情~キーセン

2006-11-05 10:21:46 | 飲む

 お待たせしました!!(えっ,誰も待ってなかった?)

 今回はキーセンです,キーセン

 キーセンは漢字で妓生と書いて,日本では芸者に当たる言葉。キーセンのいる飲み屋は韓国語では「ヨジョン(料亭)」といいます。

 かつて韓国が貧しかった時代,外貨獲得のため国策としてキーセン観光が奨励されていました。別に日本人だけを対象にした施設ではないと思うのですが,日本からキーセン目当ての男性旅行客が大挙して押し寄せ,良識ある韓国人の目を顰めさせていた時代があったそうです。
 月日は流れ,しだいにキーセン観光は下火になりました。私が韓国に赴任した,今から10年前,当時「韓流」などというものはありませんでしたが,すでにエステ,買い物,食い物目当ての女性旅行客が日本人旅行客の過半を占めていました。
 でも,依然として「キーセンツアー」というものも存在していたようですね。空港に,それらしき男だけの団体さんをちらほら見かけました。

 今,伝統的なキーセンはほとんど絶滅状態

 私は,仕事柄ほとんど接待とは無縁なもので,10年間で2回しか行ったことがありません。
 だから,あんまりよく知らないんですね。期待させてごめんなさい。

 私の数少ない経験を,記憶の糸をたどりながらと書いてみようと思います。

 場所は仁寺洞。美術品,陶磁器,骨董品が並ぶ,観光スポットの一つですが,その路地裏の奥まったところに,立派な韓式建物がありました。
 料亭が普通のルームサロン,ビジネスクラブと違うのは,建物が韓国式でオンドル部屋だということ,アガシが韓服(チマチョゴリ)を着て出てくるということでしょうか。それから,料理もある程度充実していて,韓定食のフルコースに近いものが出てくる(質はそれほど高くない)。

 店には何人かのママ(年配)がいるらしく,ママはそれぞれ配下にアガシを相当数抱えている。

 われわれがオンドル部屋に入ってまずはママさんに挨拶。

 しばらくして,アガシが呼ばれてきた。男性一人につき,アガシが一人,パートナーとしてつくんですね。気に入ったアガシを選び,気に入らなければチェンジできるということですが,そんな失礼な,人権を蹂躙するようなことはとてもできないので,またそのときは私がいちばんの若輩ということで,最後に残ったアガシが私の隣に座りました。

 料理も並んで,宴会シジャク(始作=開始)。

 自分で料理をとって食べようとすると,隣のアガシが制止する。箸で口まで運んでくれます。

 そーか,昔の両班はこんな生活をしていたのか。

 慣れてないもんだから,なんか落ち着かない。初めてウォシュレットを使ったときのような(入れると出すで,正反対ですが)……。

 部屋にカラオケ設備はないのですが,オプションでバンド(といってもギターをもったオジサンが一人)を呼ぶことができます。で,チマチョゴリ姿のアガシといっしょに歌ったり,踊ったりするわけです。
 韓国人なら,大いに盛り上がって,くんずほぐれつの乱痴気騒ぎになるそうですが,そこはわれわれ日本の紳士。はしたない真似などせず,いたって平常心を保ちながら飲みました。
 それでも1時間後にはバンドを入れ,歌いたい人は歌う。

 私はせっせと韓国語会話の練習に勤しんでおりました。
 私のパートナーのアガシ,本当か嘘か,19歳。江原道の片田舎から出てきたそうです。家が貧しいから,私が働いて弟の学費を出すって。

 おーっ,昔の小説で読んだことある!

 こんな美談を90年代後半になって聞けるとは。

 なんやかや,それなりに楽しく飲みながら,2時間半程度でお開きに。

 値段は一人あたり25万ウォン。 かなり高い。

 普通ならここまでが前半戦で,二次(イチャ)という名の本番(?)があるということですが,われわれは接待でもなく,自腹で来たので,懐具合とも相談しながらそのまま解散しました。

 非常に中途半端な体験報告で
すいません

 ある日本人は,「料亭(ヨジョン)」が高級な韓式食堂だと思って女性同伴で行ったらしい。

「料亭に女性連れで来るなんて,食堂にお弁当を持ってくるようなもんだ」

と嫌味を言われたとか。

 本来,料亭はお弁当を「お持ち帰り」するところだそうだ。ただ,韓国には弁当を「生」で食べる悪しき習慣があって,食中毒にかかることもしばしば。B型肝炎とか,淋病とか…(なんのこっちゃ)。

〈関連記事〉
韓国の飲み屋事情(CAFE)
韓国の飲み屋事情(BAR)
韓国の飲み屋事情(駐在員クラブ)
韓国の飲み屋事情(HOF)
韓国の飲み屋事情~秘密バー


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国風呂事情~隠さない文化 | トップ | 病身(ビョンシン) »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは。 (misuk)
2006-11-05 21:13:09
deepな・・お話です。他所ではちょっと聞けませんね。
私はそのスタイルがもったいないので、日本が高級
な芸者遊びを女性歓迎にしたように男女関わらず高
級接待のお店にすればいいなぁと思いましたよ。
そしたら私も行きたいな。
返信する
貴重な体験談だと思います (玉露@ソウル改め玉露@東京でございます)
2006-11-05 23:04:06
こんばんは。お久しぶりです。
日本に完全帰国して、はや2ヶ月半となりました。
ソウルにいる間にキーセンを見てみたいと思いつつ、果たせないまま日本に戻ってしまいました。
ちなみに行かれた場所はインサドンキルから楽園商街の方へ抜ける道の途中ですよね? 夜になるとあの通りに高級車が並ぶんですよね~。

私もmisukさんの意見に同感です。京都で舞妓さんと遊ぶような感じにして、女性も行けるようにしたらいいと思います。
返信する
コメント カムサハムニダ (犬鍋)
2006-11-06 08:13:11
misukさん

いいアイデアですね。女性もいけるキーセンハウスを作ったら,落ち目の韓流が上向くかも。


玉露さん

>インサドンキルから楽園商街の方

楽園って楽器商街の? もしそうなら方向が逆のようです。
何軒かありましたから,別のところかも。

京都の料亭には行ったことがありませんが,本当に芸のできる舞妓さん芸妓さんは,今もいるんでしょうか。韓国のキーセンは,基本的に「芸」はできません。

キーセンについては以前調べたことがあるので、リクエストがあれば連載します。
返信する

コメントを投稿

飲む」カテゴリの最新記事