真露が日系企業？

　人気焼酎「チャミスル」を販売する真露が日系企業だという虚偽情報で，法廷闘争に発展しているようです。

2006/11/22朝鮮日報
「真露を飲むと日本に外貨流出」！？
韓国焼酎メーカー真露、ライバル企業相手取り損害賠償訴訟

　韓国ソジュ（韓国の焼酎）メーカーの真露と斗山。新製品をめぐる両社の争いが、法廷闘争にまで発展している。

　真露は斗山のソジュ製品の広報担当者が「真露は日本系の企業」という偽の事実を広め、イメージを傷つけ、売り上げ低下の被害を負わせたとし、ソウル中央地裁に100億ウォン（12億6000万円）の損害賠償訴訟を起こした。

　21 日のソウル中央地裁の発表によると、真露は斗山のソジュ製品「チョウムチョロム（初めてのようにの意）」の広告代理店のプロモファクトリーとイベント会社S社の広報担当者を相手取って起こした訴訟で、「この会社に所属しているコンパニオンたちが、今年2月から食堂や飲み屋を回りながら斗山の製品を広報する際、“真露の持ち分50％以上は日本企業のもの。真露のチャミスルを飲めば、日本に外貨が流出することになる”というような偽の事実を広めた」と主張した。

　真露側は「このような行為が国民企業としての真露の肯定的イメージを棄損し、反日感情と連携して会社の社会的価値を下げたのはもちろんチャミスル製品の販売業務も妨害した」と主張した。

　1997年に倒産して以来、法廷管理（日本の会社更生法に当たる）を経てハイトビールのコンソーシアムに買収された真露は、9月にこのような偽の事実を広めたイベント会社S社の広報担当者二人を、名誉毀損と業務妨害でソウル中央地検に告訴している。


　この虚偽情報，根も葉もないものではなく，昨年，真露が身売りされたとき，日本企業が名乗りをあげたのは事実。キリンビールとアサヒビールがそれぞれ韓国のメーカーと組んで，買収に乗り出しました。でも，まもなくキリンビールは離脱，ロッテと組んだアサヒはいいところまでいったものの，最終的にはハイトビールが買収の優先権を取得。

　よくわからないのは，ある企業が「日系」だとされるとなぜダメージを受けるのかということ。真露が日系だとしたら，みな飲むのを控えるんでしょうか。

「コーラを飲むと外貨が流出するから三ツ矢サイダーを飲め」
と言われたって、日本人にはピンとこないでしょう。

　これに限らず，どの業界も，日本の企業と関係がある（技術提携など）ということはできるかぎり隠そうとする。これを「ジャパンマスキング（日本隠し）」と言います。

　産経の黒田さんの最近の著作にも引用紹介されていましたが，林廣茂『幻の三中井百貨店』にこのジャパンマスキングの例がいろいろ紹介されています。
　たとえば，ライオンからコンパクト洗剤の技術ライセンスを受けたＣＪ（第一製糖），三菱自動車に技術提供を受けた現代自動車などは，日本から支援を受けた事実をひた隠しにしている。
　デパートもほとんどが日本のデパートの支援を受けているそうです。ロッテデパートは高島屋，現代デパートは大丸，新世界は三越。

　実は，真露の買収優先権を得たハイトビールは，サッポロビールから黒ラベルの技術がプラントとともに移転されて，いまやナンバーワンの「ハイト」になったんですね。これも，韓国内では伏せられています。

　これほどまでに日本企業のイメージが悪いというのは，日本人として悲しくなります。