睡眠不足も物とせず、ふさおまきは夫婦で街歩きへでかけます。
マンダリンのような立派なホテルで、ドアマンに「マーライオンはどう行けばいいの」と
聞きつつ、決してタクシーを呼ばないのはなんとなく気がひけるのですが、
徒歩15分といいますから、少しでも歩いたほうが待ちの様子もわかるでしょう。
そんなわけで歩き出そうとしたら、ドアマンが一生懸命あることを繰り返し語って、
注意を促します。キーワードはフラッシュ。
聞いていたときは良くわからなかったその言葉の意を確認したのは、
歩き始めてすぐのことです。
ビルとビルの間を渡ろうとした信号の押しボタンの下には、
「青信号がフラッシュしたら、決して歩き始めてはならない」
つまり、仔細罰則が多いといわれるこの国で、点滅信号で横断を始めるのは
レッドカードということのようです。
しかもですね、青に変わって2~3秒もせずにフラッシュが始まったりして。
今日はそれ以降、信号と見ると走るようになりました。
ビルを抜けるとすぐにベイサイド、さすがに淡路島の大きさといわれる島国です。
湾の向こうにビル群が立ち並ぶ風景は、いまさらながらに20世紀に人が成し遂げた
工業的発展の力を感じます。
で、マーライオン。
1972年にできたというこの海水を吐き続ける、
ライオンと魚の合いの子は、意味は良くわかりませんが、
シンガポールをシンガポールらしく見せる風景的位置を占めていることを
知りました。大海原に雄雄しく力を出し続ける偉大なる国・シンガポール!
桟橋を回りこみながら、他の観光客と同じように、吐水をかぶるようなポーズなどで
写真を撮っていたら、雨が降り出しました。
ずっと黒雲が気になっていたので、しっかり傘は用意しています。
それに、街中を歩いていて気がつくのですが、ほとんどのビルや店の軒先は、
歩行者があるく歩道を確保して、ひさしが伸びているため、交差点をわたるとき以外は
ほとんど傘を使わなくてすむので、降り出したからといってさほど濡れ鼠を嫌うほどとは
なりません。
私にはどこを歩いているのかわからなくなりつつ、
ビジネス街を歩いていると、ちょうど昼近くになり、多くの会社員がランチに外へ
繰り出してきました。
いやいや、さすがというほど、男は白いシャツもしわ一つ無く背筋を伸ばして歩き、
女はワンピースをぴったりと着こなしたスリムで足長い人々があるき、
国際都市の力を思い知ります。
ほんとにみんな、格好いいんですよね。
私たちは中華街をめざします。
昼ごはんはマックスウェル フードコートに決め、
超楽しみだった、海南飯にありつきました。
フードコートは、公式屋台村といったつくりなのですが、
大体どの店も一間程度の間口で、まごうことなきオープンキッチンで、
次々に料理が出来上がっていくのがなんとも気持ちが湧き立ちます。
定食は4.5ドル、茹でた鳥とそのスープで炊いたジャスミンライス、
そして鶏がらスープに、青菜炒めがつきました。もちろん◎。
お腹がいっぱいになったらまた
街歩き開始。緑が多いのが楽しく、さすがに熱帯と思わせる、
うっそうと葉を茂らせる大木や、幹に着生植物をつけた木々が
いくつも目に飛び込んできます。
裏割のような緑道は中華街ショッピング街の裏にあたります。
京都式に長屋がうなぎの寝床になっているのがわかりました。
なかなか可愛いフランス模様とオリエンタルが融合した小物やさんも訪問。
味香園というスイーツ屋さんでは、これも待望のマンゴー スノウアイスも
いただきました。
マンゴージューを凍らせたものを削っているのでしょう、
氷ひとかけひとかけに優しい感触と味がしみこんで、カキ氷とはちがった
アイス冷物を見つけました。
もう一つおもしろかったのは、お寺をいくつも見たことでしょうか。
ちょうど盂蘭盆で、どこもお供え物をたんと並べ、読経の声が響きわたり、
私たちも、境内に入ってお祈りをしたりしていました。
そうそう、地下鉄にも乗ってみました。
タクシー料金が安いのでそちらでもいいのですが、
なんとなく外国の都市を歩くなら、多くの人が利用している物や場所を
捕らえたほうが、親近感が深まります。
ちょっと疲れたので、マンダリンに戻ってお風呂で体をあたためます。
そして18時過ぎに再出発。
伝統のラッフルズホテルを見に行きまして、100年超の優良企業が今も元気に
営業する様子を見て、感銘をうけるところも多々ありました。
薄暮の庭では、ディナーも始まっています。
私たちは、もう少し庶民的な店へ行きましょうということで、
マリーナスクエアのフードコートに向かいました。
で、いただいたのがXO醤がたっぷり入った焼きそばと、
豚肉の饅頭、そしてペーパーチキンという聞き覚えの無い料理です。
薄紙で包んであげた鳥は、かりかりな上に、
紙で跳ね返された肉汁が皮にかかって、味の深みを増しています。
紙をはがすときに手がべとべとになりますが、それも楽しみの一つ。
デザートのエッグタルトと、大きなカップに入った中国茶を加えて、
15ドル、1000円もかかりません。
楽しいお食事を終えて、帰ってきたら21時近くになってしまったのです。