徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

細かいことかもしれませんが…

 引用記事を書いた記者さんが(意図的に?)書き忘れたか見落としている部分がありますので、記しておきます。

本報告書の調査は、株式会社日本航空インターナショナル所属JA8083他7件の航空事故に関し、航空・鉄道事故調査委員会設置法及び国際民間航空条約第13附属書に従い、航空・鉄道事故調査委員会により、航空事故の原因を究明し、事故の防止に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない

 航空・鉄道事故調査委員会
 委員長 佐藤淳造



乱気流でコーヒー浴び男児大やけど、日航対応に問題 (読売新聞) - goo ニュース
 昨年9月、乱気流に巻き込まれた鹿児島発伊丹行きの日本航空機で、乗客の男児が機内サービスのホットコーヒーを浴びて大やけどを負った。
 この事故について、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は30日、調査報告書を公表、乗員がけがの程度を軽く見て救急車を手配しないなど日航側の対応に問題があったと指摘した。

 パイロットについても、「気象レーダーを適切に使用していれば乱気流を避けられた」と批判。トラブル続きの日航に対し、厳しい言葉が並ぶ異例の内容となった。

 事故があったのは昨年9月23日。日航2408便(MD90型機、乗客174人)が離陸から約30分後の午後3時5分ごろ、高知県沖で雲の中を飛行中に、乱気流に巻き込まれた。

 当時は客室乗務員が機体後方で機内サービスの飲み物を配っており、激しい揺れでカートに載せていたポットが転倒。ポットのふたが外れ、母親に抱かれて座っていた男児(1歳10か月)が大量のホットコーヒーを浴びた。男児は腹から右足にかけて赤く腫れ、尻などの皮がむけた。

 客室乗務員は傷に保冷剤を当てる応急処置はしたが、「一刻を争うほどではない」と判断。機長も、「皮がめくれているとの連絡は受けたが、大事には至っていない」として、無線で地上職員にクリーニング券を用意するよう指示したが、救急車の手配は行わず、緊急着陸しなかった。

 着陸後に引き継いだ地上職員も空港近くの病院を紹介しただけで、男児は空港近くの病院で一般の患者扱いで受診していた。男児は翌日に改めて専門医の診察を受けたところ、全治1か月の重傷と診断された。

 男児の母親は事故調に対し、「客室乗務員に救急車の手配を依頼したら、『ちゃんとやっています』と言われた」と証言。しかし、「降りてからすぐ病院に連れて行きたいと言うと、子供の状況も確認せずに『タクシーで行ってください』と言われた」という。

 事故調は、乗客がやけどを負った際の対応マニュアルが客室乗務員の間で周知徹底されていないと指摘。「幼児がやけどをしたことを考えれば、軽傷だったとしても、後になって予見していない症状が現れる恐れがある」として、日航側の対応は不適切とした。

 一方、乱気流に巻き込まれたのは、副操縦士がコックピットの気象レーダーを十分に確認せず、進行方向にあった発達中の強い積乱雲を未然に発見できなかったためと指摘。同じ飛行ルートを、事故の前後30分間に計20機が飛行していたが、いずれも直前で積乱雲に気づき、回り道をして避けていたことを明らかにした。

 日本航空の話「やけど事故を重く受け止めて再発防止措置を講じてきたが、事故調の指摘を受け、今後さらに内容を検証し、必要な対策を講じたい」

2005年 9月30日 (金) 14:35


上の記事で該当するであろう部分が事故調査報告書の「3.事実を認定した理由」でどのように書かれているのか、対比してみます。

(記事)
高知県沖で雲の中を飛行中に、乱気流に巻き込まれた。
(事故調査報告書)
~略~
同機は、積乱雲に遭遇したものと推定される。
~略~
この間、同機は、活発な乱気流の中を飛行し、揺さぶられ機体が激しく動揺したものと推定される。
~略~
降下中の気圧高度約21,000ftで積乱雲に遭遇し機体が大きく動揺したものと推定される。

(記事)
パイロットについても、「気象レーダーを適切に使用していれば乱気流を避けられた」と批判
(事故調査報告書)
~略~
機上気象レーダーで前方のエコーの状況を捕捉していなかったものと考えられる。
~略~
雲のエコー分布の全体を短時間に探知できなかったものと推定される。
これらのことから、運航乗務員は、降下中機上気象レーダーの運用を適切に行い得なかったため、未然に積乱雲を回避できなかったものと推定される。
いずれにしても、2.11.1及び2.11.2に記述したように、飛行中において悪天域を事前に的確に把握し、タービュランスを回避するためには、同レーダーを積極的に活用し、適切に操作することが極めて重要である。

※何度も事故調査報告書を読み返しましたが、何処にも「乱気流を避けられた」との記述はありませんし、パイロットに対する批判も見当たりません。

(記事)
事故調は、乗客がやけどを負った際の対応マニュアルが客室乗務員の間で周知徹底されていないと指摘
(事故調査報告書)
~略~
このようなことから、同社は、すべてのCAに対し、負傷者が発生した場合の負傷状況を的確に判断させるために、CAへの配布用CAMに記述された火傷に関する項目の周知徹底を図る必要がある。
また、同機に搭載されていた搭載用のCAMについては、配布用改訂版の配布後の平成16年8月1日付けで発行したにもかかわらず火傷に関する項目が附加されていなかったことから、最新版へ更新されたCAMを搭載する必要がある。

※周知徹底を図る必要がある、と述べていますが、周知徹底されていないとの指摘は見当たりません。

最後に「3.事実を認定した理由」を読むにあたって重要となる用語について記しておきます。
事故調査報告書には“解析の結果を表す用語は、次のとおりとする。”と明記されています。

1.断定できる場合・・・「認められる」
2.断定できないが、ほぼ間違いない場合・・・「推定される」
3.可能性が高い場合・・・「考えられる」
4.可能性がある場合・・・「可能性が考えられる」

ちなみに、当該報告書の「3.事実を認定した理由」および「4.原因」において、“認められる”の表現は一箇所もありません。
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Airbus A321 与圧トラブル

 2系統とも「ほぼ同時に」あるいは「相次いで」トラブルが発生し、INOP となるのは珍しいですね。

7月23日には、JAL1439 便(羽田~徳島)の Airbus A300-600R (JA8559) で与圧系統のトラブルが発生し、そのときは同様に Oxygen Mask を Deploy し 緊急降下を行なって徳島空港に緊急着陸しています。
JAL1439 便の場合、離陸時点において2系統ある与圧システムのうちの1系統は Down していたのですが MEL は満たしているとのことで飛んだうえでのトラブルでした。

が、今回の場合、報道を見る限りでは大分出発時点では異常がみられなかった与圧システムが、1系統だけではなく2系統ともにトラブルに陥ったようです。

JAL1439/23JUL 同様に急減圧ではなくて、Cabin Altitude が徐々に高くなったため、 Oxygen Mask を Deploy し、FL370 から 10000feet まで降下して Emergency を宣言したようです。共同通信のみが“緊急降下”というフレーズを使っていますが、他のニュース・ソースをみると、それが Cabin 急減圧のときに行なわれるかなり大きな降下率で降りたかどうかは不明です。が、当該便の Cockpit Crew の対応は適切であったと考えられます。

2系統ともに不具合となったことから「重大インシデント」として事故調がのりだすようです。

A321 は A320 の胴体をストレッチしたタイプで、全日空では1998年から7機導入されました。全日空の A321 のデータはこちらで紹介されています。
A320 が166席なのに対し、A321 は195席とストレッチされた胴体を活かし、29席の座席が増えています。
(A321 導入当初は8席のスーパーシートが設定されていましたが、2000年に廃止、今はモノクラスとして運航されています)

また、全日空の A320 と A321 とでは搭載されているエンジンが異なります。A320 には CFM インターナショナル(米ジェネラル・エレクトリック社と仏スネクマ社の共同)の CFM56 というエンジンを搭載していますが、A321 は IAE: International Aero Engin 社(国際共同で設立:日本のメーカーも開発・生産に参加している)の最初のエンジンである V2500 を搭載しています。

与圧システムは、エンジンから取り込まれた圧縮空気を機内に供給する仕組みとなっていますので、このエンジンの違いが起因していたりして....。下種な推測はやめましょう。

事故調にはしっかりと原因調査を行なってもらいたいものです。


機内気圧低下で緊急着陸 全日空、けが人なし (共同通信) - goo ニュース
 29日午後6時50分ごろ、伊勢湾上空約1万1000メートルを飛行中の大分発羽田行き全日空198便エアバスA321(乗客乗員172人)で、機内の気圧を保つ装置(与圧装置)の異常を示す表示が出て、実際に気圧が低下した。機長は客室内に酸素マスクを出し、高度約2500メートルまで緊急降下させた。

その後、同機は徐々に高度を下げ、午後7時33分に羽田空港に緊急着陸した。全日空によると、けが人はいなかった。1人が胸の痛みを訴え病院で診察を受けたが、異常はなく帰宅した。

同機は午後6時すぎに大分空港を出発後、2系統ある与圧装置の両方で異常を示す表示が出たため、管制機関に緊急着陸を要請した。酸素マスクが自動的に出るような急激な減圧はなく、耳の痛みなどを訴える乗客はいなかったという。

2005年 9月29日 (木) 22:10
機内の気圧低下、全日空機が羽田に緊急着陸 (読売新聞) - goo ニュース
 29日午後7時ごろ、伊勢湾上空を飛行中だった大分発羽田行き全日空198便(エアバス321型機、乗客166人)が、高度約1万メートルで機内の気圧が低下していることを示す計器表示が出た。
 機長は管制官に対して緊急事態を宣言し、手動で客室内の酸素マスクを作動させて約2500メートルまで降下、同7時30分すぎに羽田空港に着陸した。

 2つある空調装置がほぼ同時に壊れ、機内の気圧が保てなくなったらしい。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は事故につながりかねない「重大インシデント」に該当するとして、調査に乗り出した。

 旅行で同便に乗っていた横浜市の大学生、池田綾子さん(22)は、「酸素マスクがいきなり降りてきて怖かったが、着陸した時はホッとした」と話していた。

2005年 9月29日 (木) 23:23
大分発の全日空機が羽田に緊急着陸 客室内の減圧表示 (朝日新聞) - goo ニュース
 29日午後6時50分ごろ、伊勢湾上空を飛行していた大分発羽田行きの全日空198便(エアバスA321型、乗客乗員計172人)で、客室内の空調システムの故障を示す計器表示が出た。その後、客室内の気圧低下を示す表示が出たため、同便は同7時半すぎに緊急事態を宣言し、管制上の優先権を得て羽田空港に着陸した。到着後、乗客1人が「胸が痛い」などと訴えて診察を受けたが異常はなかった。

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は同日、航空事故に準じる航空重大インシデントに該当するとして、調査官を派遣して調査することを決めた。

 全日空によると、同便には2系統の空調システムがあり、相次いで故障表示が出た。その後すぐに客室内の減圧表示があったという。当時、上空約1万メートルを飛行中だったため、機長が乗客用の酸素マスクを落下させ、安全高度の約3000メートルまで降下した上で緊急事態を宣言したという。

 全日空は、空調システムの故障で客室内に送り込む空気が足りなくなり、気圧が下がった可能性が高いとみて機体の調査を進めている。

2005年 9月29日 (木) 23:41
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