徒然なるままに、一旅客の戯言(たわごと)
*** reminiscences ***
PAXのひとりごと
since 17 JAN 2005


(since 17 AUG 2005)

ジェネアビ( General Aviation ) の発展を阻害するべからず

 日本では General Aviation (個人所有の航空機による航空活動)が活発とは言えません。

「自家用操縦士」のライセンス(単発と双発とは限定事項として別もの扱いとなる)取得者の数は増えてきているのですが、いかんせん、国内ではジェネアビ( General Aviation のこと)を取り巻く環境、例えば費用負担・空港・空域・気象・地形など、に恵まれているとは言えません。

海外でライセンスを取得し、日本のそれに書き換えをしても、頻繁に空を飛んでいる自家用パイロットは極々少数ではないでしょうか。航空機の所有・維持管理、飛行に要する費用負担がネックになっています。

「自家用操縦士」はエアラインの機長が所持する「定期運送用操縦士」と同じく国家資格です。勿論、資格取得要件や資格維持要件には、自家用と事業用での大きな違いはあるのですが。

「機長」として航空機を操縦するにあたっての基本的事項は航空法に定められており、ジェネアビだからと言っていい加減で良いものではありません。当然、操縦する時点において有効な航空身体検査証明がなければなりません。

ジェネアビであっても、ひとたびライセンスを取得し、「機長」として操縦席にけば、PIC: Pilot In Command として Flight Plan にサインしている訳です。
多少の個人差はあるにせよ、空を飛ぶものとしての自己管理や各種学習は怠りなく行なっていることでしょう。

ただ前述したように、日本のジェネアビを取り巻く環境の特殊性から、技量維持のために、そう頻繁に実機を操ることが難しいのが現状です。引用記事の機長も、事故に至る前30日間の飛行時間は僅か40分でした。
ライセンスを取得した1975年12月末からの総飛行時間が1074時間ですから、単純計算で年間40時間に満たない飛行時間であった訳ですが、それでも月に3時間程度の飛行時間となるので、日本のジェネアビ環境を考えると、飛んでいる部類に入るのではないかと想像します(個人差が大きいのでしょうが、ジェネアビの平均的な月間飛行時間は現時点では解りませんので、あくまで想像です)。

蛇足ですが、エアライン・パイロットの場合、これまた個人差がありますが、月間の飛行時間は60~80時間くらいです。月間の上限が80時間に設定されていますので、逆にそれ以上は飛べません。

さて、このビーチクラフトE33(通称:ボナンザ)の事故については、事故調が本年の7月29日に調査報告書を出しています。

当該報告書の最初には
“~国際民間航空条約第13附属書に従い、航空・鉄道事故調査委員会により、航空事故の原因を究明し、事故の防止に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。”
(太字・下線部は小生)と記してはあるものの、内容は事実認定と当該機長と同乗者からの聞き取り、事実認定に至った理由、原因を綴ったものであり、再発防止に向けた“建議”らしきものはありません。
ちょっと気のきいた中高生なら、夏休みのレポートとして書けるのではないか、と目を疑うばかり、航空・鉄道事故調査委員会という組織の名で発行した報告書としては稚拙なものです。
これは、現在の事故調の組織体系と、調査担当者の資質に依存する部分が大きいと思われますが、同じ事故調が事故の大小に係わらず警察に遠慮しながら出てきて調査するのですから、その程度は容易に想像できるでしょう。

ブログ「Cassiopeia Sweet Days」の筆者が、実機操縦経験をもとに記事を書かれていますが、その中には筋道の通った問題提起と安全へ向けた提案(建議)が書かれています。
本来、事故調がこのようなことを糸口にもっともっと突っ込んでゆかなければならないのに。自分たちが報告書にそんなこと書いたら、通達を出すであろう航空局のお役目を奪ってしまうとでも考えているのでしょうか。

そして、やっぱり出てきましたねぇ、浪花の公僕さん。カンタスには歯が立たないと諦めたのかどうかは定かでありませんが、今度はジェネアビの機長を相手に抜きました、伝家の宝刀“業務上過失傷害”。今回は“航空法違反”も付けていますが、こちらについてはノーコメントとさせていただきます。

総選挙の最中、公選法絡みのお仕事でお忙しいのでは?



小型機墜落で機長書類送検 4人重軽傷、容疑を否認 (共同通信) - goo ニュース
 昨年11月、大阪市平野区の大和川河川敷に小型機が墜落、男性4人が重軽傷を負った事故で、大阪府警捜査1課などは2日、業務上過失傷害と航空法違反などの疑いで、操縦していた大阪府堺市の警備業橋本義博機長(61)を書類送検した。

橋本機長は「ちゃんと操縦していた。エンジンがおかしかった」と容疑を否認している。

調べでは、橋本機長は昨年11月27日午後2時半ごろ、南紀白浜空港(和歌山県白浜町)を離陸。八尾空港(大阪府八尾市)に着陸するため車輪を出す操作をしたが、確認ランプが点灯せず低空飛行した。

その際、スロットルレバーを最大出力まで操作しなかったなどのミスで機体は上昇せず、午後3時15分ごろ、河川敷に墜落。同乗者3人に重軽傷を負わせた疑い。

2005年 9月 2日 (金) 17:06

BONANZA_Photo
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