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斬新な映像ワールド、映画「GOEMON」

先日、僕の好きなパスタの「五右衛門」を取り上げたが、五右衛門繋がりということで、今度は映画版五右衛門の話を少々。

ちょっと前になってしまったが、8月の米国出張の際に、JALの機内で映画「GOEMON」を見た。これは紀里谷和明による監督作品で、「CASSHERN」以来5年ぶりの監督作品である。紀里谷和明はあの宇多田ヒカルの元夫としてすっかりお馴染み。彼の作品を見たことがある人は知っていると思うが、最新のCGをふんだんに用いた彼の映像は、他に類を見ない、未来的で独特な世界観をスピード感溢れる演出で表現している点が実に特徴的だ。その斬新な映像と灰汁の強さ故に、彼の作品を敬遠したり、あまり好まない人も多いと思うし、正直僕も最初”ちょっと映像が斬新過ぎて、やり過ぎ感があるなあ”と感じていたので、あまり彼の映画を見ることに気が進まなかったが、今回機内で見えるということで、一度見て見ようと思った。しかし、実際に「GOEMON」を見てみて、彼の作品に対する印象は大きく変わった。この映画はなかなかの傑作であり、自分の中では今年お勧めしたい1本となった。



ここ数年、時代劇を題材にした日本映画は実に多く、今年だけでも「Ballad 名もなき恋のうた」、「カムイ外伝」、「十三人の刺客」、「TAJOMARU」など多くの作品が時代劇だ。「レッドクリフ」など海外の作品も入れると、如何に多いかがわかる。それぞれ映画の質は様々で、海外で通用しそうなものもあれば、かなりお粗末な作品もあろうかと思うが、他の作品とは明らかに異なるタッチで描かれているという点で紀里谷和明の「GOEMON」は異彩を放っている。

「GOEMON」はあの石川五右衛門を主人公にした時代劇/SFアドベンチャー的な映画なのだが、豊臣秀吉、織田信長、徳川家康、明智光秀、石田光成など戦国時代、安土桃山時代を彩るお馴染みの戦国武将が登場し、更には茶々こと豊臣秀吉の側室淀君、千利休、服部半蔵、また真田十勇士の一人として有名な架空の忍者、霧隠才蔵や猿飛佐助も登場し、実に彩り豊か。つまり、時代劇としながらも、時代考察はある程度無視しながら独自の解釈による世界観を創造している点でも斬新な作品だ。逆にここまでエンターテインメントに徹している点で、理屈抜きに面白い作品であると言える。

またその斬新な映像は圧巻。特に悪魔の要塞のような大阪城のデザインをはじめ、見事な色とデザインの着物や屋敷の内装、そして息もつかせぬ戦闘シーンはCGとわかりながらもその斬新なカメラアングルやスピード感は独特で有り、実に見事な出来栄えだ。



主演陣は実に豪華である。主役の石川五右衛門役には江口洋介。五右衛門役を実にカッコ良く演じており、はまり役である。そして服部半蔵の下で忍者として一緒に修行した幼馴染の霧隠才蔵役には大沢たかお。霧隠才蔵の子供時代を佐藤健。こちらもなかなかカッコいい配役で、成長してライバル関係となる定めと苦悩を見事に演じているが、五右衛門と対決シーンは迫力満点である。そして五右衛門が幼い頃から仕え、密に慕っていた淀君役には広末涼子で、子供時代を福田麻由子。豊臣秀吉には奥田瑛二。千利休に大御所の平幹二朗、徳川家康に伊武雅刀、織田信長に中村橋之助、石田光成に要潤、猿飛佐助にゴリ、そして明智光秀にはなんと紀里谷監督自らが扮している。現代でいうホステスみたいなチョイ役には佐藤江梨子と戸田恵梨香、他にも玉山鉄二、チェ・ホンマン、ウド鈴木など多くの俳優やタレントが出演しているのである。



紀里谷監督は現在仕事の舞台をLAに移しており、この映画も世界公開を意識して作られているらしいが、時代劇をベースにしながらも理屈抜きのエンターテインメント性を追求した作品に仕上がっており、海外での評価にも注目したいものである。

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