僕は波瑠の大ファンなので、先日たまたま波瑠が主演していたドラマや映画などを調べていたところ、ネットで、彼女が昔出ていた、『駅弁ひとり旅~東北編~』という単発ドラマのDVDを発見したので、早速購入して観賞した。これは2012年にBSジャパンにて全6話放送されたテレビドラマなのだが、DVDは全3巻でそれぞれ2話ずつ収録。その内の第2巻の第3話、第4話に、まだ本格ブレイク前の2012年の波瑠が出演しているのだ。元々は『漫画アクション』という雑誌に連載されていた駅弁をテーマにした料理・グルメマンガらしい。100万部を突破している人気マンガのようだ。
それにしても、このドラマなかなか面白い。原作マンガでは主人公がもう少し駅弁好きのイカツイおっさんなのだが、ドラマの方は岡田善徳主演。そしてドラマでは東北編を取り上げており、全6話を通して東北を巡る旅を描いている。2012年に制作されたこともあり、東日本大震災からの復興支援という側面があったようだ。
ドラマはある意味ドラマと旅行番組・グルメ取材の間を取ったようなユニークなコンセプトで、電車に乗って移動しながら、途中でやたらと駅弁を食べまくる。旅行先でレストランなどに入ることもなく(笑)、1日3食以上ひたすら駅弁を食べる。そして途中で地元の御団子などの和スウィーツなども買ったりするのだ。
主役はある意味駅弁なので、様々な駅で購入出来る駅弁の数々もかなり詳しく解説してくれる為、思わず食べたくなってしまう。後は岡田善徳がひたすら独り言でグルメレポートをしながらその駅弁を美味しそうに食べる。それを我々は観るという、なかなかシュールな企画だ。ある意味大ヒットした『孤独のグルメ』の原型をここに見たような気がした。グルメ番組と少し違うのは、駅弁だけを食べているわけではなく、その合間に地元の観光スポットなども巡ったりするので、プチ旅行番組的な楽しさもあるのがいい。そして駅弁を通して鉄道での旅が楽しめるので、世の中の鉄ちゃんたちも鉄道を満喫出来る良いドラマだと言える。
しかし、このドラマには思わず笑ってしまうことが幾つかあるのだ。まず、『駅弁ひとり旅』というタイトルながら、主人公の岡田善徳が毎回道すがらあまり普通はあり得ない美女との一期一会の“出会い”があり、一緒に駅弁旅に同行することとなる。よって、全然“ひとり旅”では無いのだ(笑)。しかも、元々物語のコンセプトとして、東京で駅弁屋を営む主人公が、長年良く働いてきたご褒美として、妻から一人旅を許可して貰ったという設定で、第一話では駅のホームで旅に出る主人公が妻に見送られるところから始まるが、いきなり宇都宮に向かう途中、若い女子大生と意気投合し、一緒に仙台まで行くことに。しかも、初日の夜は一人になりたくないという彼女と一緒に温泉宿に2人で泊るハプニングがあり、思わずワンチャンに期待が膨らむ不謹慎な主人公だったが、結局一線を超えることなく、肩すかしに終わるというオチが(笑)。
波瑠は第3話、第4話のヒロインとして同行することになるのだが、職業設定としてはグルメライター。たまたま慌てて駅で電車に向かっていた主人公が、波瑠のキャリーケースにぶつかって転んでしまい、結局2人は同じ電車に乗り合わせることになり、そのまま駅弁旅ご一緒してもいいですか?という展開になる。何とも展開が安易過ぎるのと、第1話、第2話の女子大生の時のようなワクワク感もなく、淡々とただ一緒に行動を共にし、駅弁を食べるだけ。そして仕上げに頂けなかったのが、第4話の途中で、波瑠は上司からの電話でいきなり東京に呼び戻されることになり、あっさりと同行ツアーが強制終了(笑)。ちょっとこれは展開が淡泊過ぎた。
それでも収穫だったのは、まだ初々しいブレイク前の波瑠を堪能出来ること。大きな目と圧倒的な顔の造形美は既にこの頃から完成していたということを思い知らされる。その意味では、波瑠の良いレアドラマ映像を観賞することが出来たという思いだ。