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芦川いづみ祭り!第4弾 『君は恋人』

1967年に公開された日活映画、『君は恋人』をようやく観賞した。これは芦川いづみの引退前年に出演した作品で、彼女のキャリアの中ではまさに終盤の出演作と言える。



この映画、主演は浜田光夫と和泉雅子だが、ちょっとユニークな映画となっている。実は、前年の1966年に浜田光夫は目を負傷してしまい、一時は失明の危機、俳優継続も危ぶまれた状況だった。しかし、手術をして視力も奇跡的に取り戻し、約7カ月で見事な復活を果たしたのだ。この『君は恋人』は、そんな浜田光夫の復帰を祝う“お祭り映画”として企画された作品なのである。



そんなお祭りに相応しく、日活の名俳優が特別出演としてチョイ役で勢揃いしているのが驚きだ。石原裕次郎、松原智恵子、宍戸錠、高橋英樹、渡哲也、二谷英明、浅丘ルリ子、吉永小百合、葉山良二、小林旭、山内賢、川地民夫、小高雄二、山本陽子、太田雅子(後の梶芽衣子)、岡田真澄、そして芦川いづみ。往年の日活スターがまさに勢揃いしているという豪華な作品だ。



更に日活俳優だけではない。当時人気の高かった歌手たちも多く出演しており、音楽もふんだんに盛り込んだ作品となっている。浜田光夫も主題歌の『君は恋人』を歌っているが、他にも初代ジャニーズ(あのあおい輝彦もメンバーであった)、ザ・スパイダーズ(境正章、井上順)、舟木一夫、荒木一郎、坂本九と、まさにオールスターキャストなのだ。ここまで豪華な日活映画はなかなか他に無いだろう。



物語自体は、浜田光夫がケガから復帰し、映画の撮影に入るという“映画 in 映画“の設定で始まる。しかし、次第に物語は浜田光夫がお金持ちになりたい為に、ヤクザの仲間に巻き込まれていく展開となるが、そんな彼のことを好きになり、何とか助けようとする女性を和泉雅子が演じる。また、浜田光夫が探している初恋の人が吉永小百合演じる女性だったりするので、豪華な俳優陣が関わっていく。吉永小百合のウェディングドレス姿が楽しめるし、和泉雅子はまさにピークの可愛らしさである。



お祭り映画ということで、ただ単に豪華な俳優陣がいっぱい出るドタバタ映画かと思ってこの映画を観てみたが、意外にも思ったよりはストーリーもしっかりしており、充分に楽しめたし、ザ・スパイダーズが歌って、境正章、井上順などもかなりの面白さを発揮していたので、当時の音楽的な流行や日本文化なども知ることが出来て、とても楽しい。ジャニーズも4人でダンスなども披露しており、まさにジャニーズの原点が確認出来るという意味で、貴重な歴史映像とも言える。浜田光夫の歌もなかなか悪くない。1967年当時は、日活のアクション映画がやや下火になっていた時期で、浜田光夫と吉永小百合や和泉雅子の共演によるラブストーリーが大人気となっていた。そんな中で、石原裕次郎や小林旭とは違うスマートと、母性本能をくすぐる浜田光夫が大人気となっていたのだ。



僕の大好きな芦川いづみは、かなり終盤にようやく病院のナース役で、医師役の二谷英明と一緒に登場する。出演時間も1分程度とかなり短く、またセリフもちょっとあるだけで、相当なチョイ役なのは残念だが、やっぱり芦川いづみは美しいし、ナース姿を観ることが出来るのもラッキーである。



『君は恋人』のラストシーンは、渋谷公会堂をバックに、浜田光夫、和泉雅子が手を繋いで走っているところでハッピーエンドとなる。



そして、『君は恋人』のDVDには特典映像として、浜田光夫が撮影所に復帰した際、多くの俳優仲間に出迎えて歓迎される映像が収録されている。ここには芦川いづみも映っており、かなり貴重な映像となっているので、思わず興奮してしまった。



“芦川いづみ作品”と呼ぶにはちょっと苦しいかもしれない。完全に浜田光夫映画である。でも、日活オールスターキャストの超お祭り映画として、純粋に当時の活気を満喫出来る、とても楽しい映画であった。

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