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芦川いづみ祭り2022 第10弾!『男と男の生きる街』

先日、石原裕次郎と芦川いづみの共演作、『男と男の生きる街』を初めて鑑賞した。これは1962年に公開された日活カラー映画で、裕次郎-いづみ黄金時代の終盤に公開された作品である。先日ご紹介した映画、『青い街の狼』と同じ年に公開されているが、この作品も俳優としての格から芦川いづみが裕次郎に次いで出演陣の中で2番目にリストアップされているものの、実際の役柄的には4番手くらいの扱いだ。

改めてよくよく当時の芦川いづみ出演作を見てみると、彼女が華々しく裕次郎の相手役などをやっていたピークは1960-61年くらいだと思う。この2年間には、『あじさいの歌』、『喧嘩太郎』、『あした晴れるか』、『あいつと私』、『堂堂たる人生』など、最もキラキラした芦川いづみの代表作品と呼べる作品が次々に公開された時期で、まさに黄金期である。しかし、1962年に公開された『憎いあンちくしょう』によって、時の流れが大きく変わっていく。それまで上品なお嬢様役で理想のヒロイン像として長く君臨していた芦川いづみの前に、浅丘ルリ子という、ちょっと小悪魔的で自由奔放な女性が登場し、この年から次第に世の中が理想とする女性像自体に変化が生じ出したのだ。この年を境に、次第に裕次郎-いづみ時代は終焉を迎え、裕次郎-ルリ子時代へと移行していったのである。芦川いづみのファンとしてはとても残念な流れだが、世の中のトレンドとは時に残酷なものである。

『男と男の生きる街』は、そんな時代の境目となった1962年公開映画ではあるが、芦川いづみ出演作は全て観たいと思っているが、本作はまだ観ていなかったこと、裕次郎の映画は基本的に一定の面白さがあるので、まずはチェックすることにしたのだ。

裕次郎が演じるのは毎朝新聞社の記者、岩崎。実は岩崎の父は刑事だったが、過去の事件で現在警部補の北川のミスで凶弾に倒れて亡くなってしまい、あと一歩のところで影の組織を取り逃がしてしまうという辛い経験があった。そのしこりを抱えたまま、とある殺人事件で再び岩崎に巻き込まれていき、北川とのわだかまりを残したまま、張り合いながら事件を追っていく。基本的には、岩崎と北川が麻薬取引をしている裏の犯罪組織を追い詰めて行く刑事物語となっており、これはこれで純粋に面白いストーリーとなっており、裕次郎の魅力も満載の映画となっている。

そして、芦川いづみはと言えば、殺人事件で亡くなってしまう男性の妹。まずは前半に、被害者の家族に聞き込みに家を訪れた際に和装姿のいづみが登場する(和装の芦川いづみ、何とも美しい!)。ここで10分程度の登場シーン。その後は中盤に墓参りのシーンがあり、そこでも比較的印象深く裕次郎と共演するシーンがあり、これまた10分弱程度。しかし、映画全編で芦川いづみが登場するシーンはこの程度なのだ。

他に登場する女性の中で、どちらかというと物語の本筋に絡んでいる重要な役柄という意味では、犯罪組織のボスの愛人で、亡くなった朝倉という男の恋人だった冴子役の渡辺美佐子の方が目立っており、ラストまで登場シーンが多い。また、南田洋子が、裕次郎の姉役として登場しており、北川に結婚を申し込まれる役を演じており、こちらも物語上はそれなりにインパクトのある役どころだ。

そんなわけで、芦川いづみの登場シーンは決して多いとは言えないものの、不思議と彼女が登場するだけで、映画がパッと華やかになるし、当時の知名度からすれば、みんな彼女の登場を楽しみにしていた筈であり、どんな役でも隠しきれないその美しさは、独特なオーラを放っていた。和装姿が美しい芦川いづみ、涙を浮かべる芦川いづみなどを楽しむことが出来るという意味で、芦川いづみファンとしても観賞に値する映画であったし、純粋に石原裕次郎映画として面白い作品であった。また最後間抜けな犯罪組織を追い詰めるラストシーンは結構面白く、西部警察並みの派手な爆破シーンもあり、これも映画としてはかなり見所のクライマックスとなっているので、いづみファンはぜひ一度は観賞してみて頂きたい映画である。

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