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ドラマ『十万分の一の偶然』との”偶然”の出会い

昨年12/15にテレビで放送していた松本清張のドラマ、
『十万分の一の偶然』を録画したものの
そのままなかなか見れずにいたが、
やっと先週見ることが出来た。



東名高速道路での悲惨な交通事故で、
結婚間近な最愛の娘を失ったフリーのルャ宴Cターの父親。
しかし、その交通事故の瞬間は偶然にも写真に納められており、
『ニュース写真年間最優秀賞』を受賞。そのシャッターチャンスは
”十万分の一の偶然”と称された。
しかし、本当に偶然だったのだろうか? 
娘が何故死ななければならなかったのか?
その真相が知りたい一心で、この不信な交通事故を
調べて行くうちに、その恐るべき真相を突き止めて行く、
というあらすじだ。

そもそも、娘を思う父親と言う構図の親子ものストーリーには
どうしても自分と娘をダブらせて感情移入してしまう為に、
めっぽう涙もろくなる僕だが、今回もこのあらすじを
聞いただけで見たいと思い、録画していたのだ。



所謂、父親による復讐劇なのだが、例えば、
リアリティーを追求した東野圭吾原作の『さまよう刃』
(ちなみに、これはこれでかなりエグイ話だが、寺尾聡、
茶m内豊出演の映画版も大変に優れた作品であった)
ほどの悲壮感、残酷感が無い点が救いだ。
それでいて、真相を突き止める過程がなかなか面白く、
推理小説的にも楽しめる。

ルャ宴Cターの父親役には田村正和。
家族を愛する男だが、仕事が忙しく海外への
長期取材などで家を空けることが多く、
最愛の妻も死を看取ることが出来なかったことを
今でも悔やんでいる。そんな不器用な男のことを
誰よりも良く理解していた娘も、この痛ましい交通事故で
失ってしまうという哀れな男を演じている。



田村正和の淡々としながらも、内に秘めた独特な演技が、
必要以上の悲壮感を抑え、とても見やすいドラマに
仕上げている点はさすがである。

娘役には中谷美紀。父親との回想シーンで頻繁に登場するが、
最後のシーンでも感動的に登場する。



共演陣には、交通事故の写真を捉えたアマチュア写真家に高嶋政伸。
私生活でのゴタゴタも肥やしにしながら、
悪役が似合う良い役者になった。

そして写真評論家でニュース写真年間最優秀賞の
審査委員長を務めるのが伊東四朗。善人も悪役もマルチにこなすが、
今回は憎らしい演技が強面とマッチしてこれまた絶妙であった。

他には娘の婚約者に小泉孝太郎、内山里名、
若村麻由美、岸本加奈子、松下由紀、内藤剛志など
バラエティーに富んだ新旧演技派揃いで
見応え十分のドラマとなっている。



どうやら松本清張の原作では、父娘の物語にはなっておらず、
婚約者を事故で亡くすという設定で、どちらかと言えば、
報道写真の残酷な裏側に焦点を当てた社会派物語であったようだが、
今回ドラマ化に当たって、設定を父娘の設定に変更したようだ。
その結果、僕もすっかり興味を持ってしまい、
録画するに至ったのだからこれも一つの”偶然な巡り会わせ”であろう。
最初はテーマだけで録画してみたドラマではあったが、
見てみると予想以上に良いドラマですっかり感情移入してしまい、
不覚にも終盤泣きそうになってしまった。やっぱり、いつになっても
娘をテーマにした親子ものにはめっぽう弱いようである。
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