30年程前。

広島の『お好み村』がまだプレハブ二階建てだった頃に、

地元の人に初めて連れて行ってもらった。

プレハブの建物に何やら迫力があった。

目的のお店は二階らしい。

ちょっとドキドキしながら階段を上がった。

上がった直ぐの正面に【文ちゃん】はあった。

とても良い顔をしたおばちゃん(尾上文枝さん)が、見事なヘラ捌きで焼いていた。

初めて見る広島風お好み焼き。

直に鉄板からヘラで食べるのも初めてだった。

丁度良い大きさに切って、こぼさずに食べるのがちょっと難かったが、

食べてビックリ

「なんて美味しいんだ

衝撃だった。

具材夫々の美味しさが分かる。

しかもあっさりとしていて、いくらでも食べられる。

初めてで、肉玉そば入りを二枚食べた。

以来私は、広島風お好み焼きにハマった。

ヘラ捌きも慣れた。

でも

【文ちゃん】の様なお好み焼きには出会わなかった。

そして『お好み村』に行くチャンスも、なかなか巡って来なかった。

 

1992年から、『お好み村』は現在のビルになった。

あのプレハブが好きだった私は、ビルになった村に行く気がしなかった。

「きっと味は変わってしまっただろう…」

と思っていた。

 

そして

あれから約30年。

NHK広島局制作のドラマ『基町アパート』の撮影で、久々に広島に滞在。

「お好み村」の店も代替わりしている

という噂を聞いていた。

でも

「お好み村に行ってみたい」

という寿子の一言で、思い切って行ってみた。

ビルの階段を上がり、二階の扉を開けて入った。

三軒目

【文ちゃん】があった

目を疑った

「おばちゃんだ おばちゃんが焼いている…」

「え? 本当にあのおばちゃん? だって何歳だ? でも、あの顔は 間違いない」

もう、泣きそうだった(笑)

早速、「全部入り」を注文

「うまい

おばちゃんの味だ

「これだよ

嬉しい

堪らず、止まらず

「そば入り」

も注文

二枚食べてしまった(笑)

牛筋煮(スジコンだよ)も美味しい

文枝さんはなんと 84歳

張りといい艶といい、なんて若いんだろう

これからも元気に頑張って欲しい。

今年は11月に舞台『晩餐』公演でもう一度広島に来る

【文ちゃん】

絶対に来ます

 

 



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