1月9日
井上昭さんが
亡くなられました
93歳でした
監督としてももちろん
人間としても
本当に本当に素敵な方でした
大好きでした
あんな大きな優しさ
温かさを持った方と
出会ったことがありません
優しさの中の
静かな、深い洞察力
内に秘めた厳しさ
人間の心を
深い情念を
『愛』を
深く考えさせる作品を撮り続けてきた
監督としての
好奇心の力強さ
柔軟さ
いつも変わらぬ若々しさ
私のような遥か年下の人間にも
友達のように
同じレベルまで降りてきて
楽しく話してくださる
音楽はジャズが大好きで
車はミニが大好きで
食べることが大好きで
私との共通点がたくさんあって
一緒にいると本当に楽しかった
『剣客商売・道場破り』で初めてご一緒して
『鬼平外伝・夜兎の角右衛門』で初主演
以来
「井上監督なら通行人でもいいから出させてください」
と宣言して
『熊五郎の顔』
『正月四日の客』
『冬の日』(主演)
『小ぬか雨』(ナレーション)
『四度目の女房』(ナレーション)
『殺すな』(主演)
と、
8本の作品に参加しました
監督はいつも、多くは語らず
役者のやりたいようにやらせて
直すことがあれば
ほんの少し修正をする
あくまでも
役者の個性を生かしてくださる
スタッフもキャストも
特別な気持ちで集中する
独特な雰囲気の現場に
監督が
静かだけど心に染み入る声で
「よーい、 スタートゥ」
そして
「カットゥ」
と声が掛かる
痺れる空間でした
幸せな充実感を感じる時間でした
オフの時は
一緒にジャズのライブを観に行ったり
食事をしたり
メールで色々やりとりしたり
私の娘の成長をとても楽しみにされていました
監督のお宅のパソコンのそばには
私と妻と娘の写真が飾られていました
少しでもたくさん
監督のお仕事に関わりたい
このままお元気だったら
100歳近くまで作品を撮られるかも
と思っていました
最後の作品となった
『殺すな』(藤沢周平原作)
が
1月28日から
全国のイオンシネマで公開されます
2月1日には時代劇専門チャンネルで放送されます
5年ほど前に監督から『殺すな』の台本を渡され
撮影される日を待ちわびていましたが
様々な状況が阻んでなかなかチャンスは巡って来ませんでした
一昨年、行きつけの日本料理店で
偶然に、原作者・藤沢周平さんのお嬢様と遭遇
『殺すな』と井上監督の話になりました
それを切っ掛けとして
様々な状況が動き出し
プロジェクトが実現することになりました
奇跡的な出会いと、その後の展開は
神様が仕掛けたのだ
と思いました
だから
渾身の思いで挑みました
共演者の皆さんも
スタッフの皆さんも
同じ思いだったと感じていました
どのシーンもどのカットも
隅々まで情感がこもった
堪らなく素敵な作品になりました
これが
大好きな井上昭監督との
最後の仕事になってしまいました
どうか
たくさんの人たちに
井上昭監督の世界を味わっていただきたいです
監督
愛の大切さ
柔軟な心の大切さを
たくさん教えていただきました
ありがとうございます
これからも
柔軟に学び続けていこうと思います
これからも
見守っていてください
梅雀さんのお父様、梅之助さんの『そば屋梅吉捕物帳』も、何本かお撮りですね。
梅雀さんとのハグのお写真、お二人とも満面の笑顔で、お親しい間柄が伝わってきます。
寂しくなりますね。
哀悼の意を表します
「太秦の一番暑い日」、拝見します。、
テレビ欄で梅雀さんのお名前を拝見しますと、必ず観ます。
例え再放送であったとしても、梅雀さんのセリフまで分かっていても、それでも必ず観ます。
梅雀さんが尊敬なさり、公私共に親しくなさっていた井上監督との最初の出会いが「剣客商売」でらしたのですね。
剣客商売は大好きなドラマですが、中でも【剣客商売 道場破り】のお話は本当に良かったです。
大好きな梅雀さんがメインとなる放送回だったこともありますが、愛する妻子を残してまで、自分の剣術の腕を確かめたいと道場を回って旅を続ける、信念を曲げない剣術士。
でも、妻子への想いとの狭間に揺れる悲哀を、梅雀さんがものすごく好演なさっていて、「さすが梅雀さん!」と、唸りました。
あの時の監督さんが井上氏でいらっしゃるのですね。
あんな素晴らしい作品を撮られる監督さんなら、さぞや人間性も高い御方なんだろうと、私も思います。
監督がご逝去なさったことで御心を痛められてらっしゃると思いますが、どうかこれからも梅雀さんらしい素晴らしい演技で、益々ご活躍なさいますこと、心よりお祈りするばかりです。