14歳でフランス王太子妃となったマリー・アンワネット(キルスティン・ダンスト)。
彼女の美しい容姿はフランス中の評判となるが、夫とは長い間打ち解けないままだった。
何をするにも衆人環視の環境と、いつまでも世継ぎを産めないプレッシャーから、
彼女は贅沢と享楽に安らぎを求めていく。
豪奢な衣装の数々。
キュートな靴。
食べるのがもったいないほどの美しいお菓子たち。
そして、まばゆく輝く宮殿のインテリア。
スクリーンの中は、まるで美しい色の洪水のようです。
贅沢というのはこういうものなんだ。と思い切り見せ付けてくれます。
でも、何かが足りない。
それは何なのか。
豪華なスクリーンを見詰めながら、ずっと考えてしまいました。
14歳の甘やかされて育ったハプスブルク家の末娘が、故国のために見知らぬ国に嫁いできます。
周囲の目は好奇心に満ちています。
その中で彼女が求められたのは「世継ぎ」を産むこと。
自分ひとりの力ではどうにもならないことをあからさまに期待され、彼女は傷ついていきます。
傷つき、贅沢に癒しを求め
18歳でフランス王妃になり、念願の子供を産みます。
子供を産んでからは夜遊びよりも、田舎暮らしに癒しを求めます
その田舎はかなりお金をかけて作られた田舎、プチトリアノンは彼女の夢を形にしたものだったのです。
彼女の夢はフランス国民を痛めつけ
国民の怒りが頂点に達した時、彼女は夫と運命を共にすることを決めるのです。
私が足りない、と感じたのはここだったのかも知れません。
マリーアントワネットが傷ついた一人の普通の女性だったことは良く分かるのですが、
夫以外の男性と恋に落ちた彼女が、
あの革命の火が燃え上がったときに
夫と運命を共にする決意をするのが唐突すぎる気がしたのです。
そのあたりが急展開すぎました。
マリー・アントワネットというひとりの女性を描くなら、
その心の変化がヤマになるのではないかと思うのです。
傷つき、葛藤しながらも、最後は自分の立場を自覚したのか。
あるいは夫との間に強い信頼関係があったのか。
そんな心の変化や成長をちゃんと見せて欲しかったような気がしました。
ベルバラ世代ですから、ちょっと辛口は仕方ないですね(苦笑)
いないのは分かってるのですが、どこか頭の隅でオスカルとアンドレを探していましたもの(苦笑)
映像の美しさと使われた音楽の斬新な感じは、かなり楽しめました。