ビター☆チョコ

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ダージリン急行

2008-03-13 | 洋画【た】行

父親が急死してから疎遠になってしまった3兄弟が
長男のフランシス(オーウェン・ウィルソン)の強引な仕切りで、兄弟の絆を取り戻すべくインドの旅に出ることになる。
3人が乗ったダージリン急行は、ゆるゆるとインドの大地を走っていく。
レールの上を走ってる列車が、どういうわけか迷子になってしまうという、「なんでもアリ」のインドで
3人の心の旅、スピリチュアル・ジャーニーも、ときに迷走しつつも続いていく。

兄弟って同じ親から生まれて、同じ環境で育ったのに、成長するにつれて見事に個性が分かれていく。
もともと別の人間なんだから、それがあたり前といえばあたり前なんだけど
その個性があまりにも強すぎると、兄弟なだけに分かり合うための努力というか、きっかけのようなものが必要になるらしいのだ。
少なくとも、バイクの事故から奇跡の生還を遂げた長男はそう考えたらしい。

父親の葬儀にも訪れず、インドの山奥でシスターをしている母親に会いに行く、という名目で
次男のピーター(エイドリアン・ブロディ)と三男のジャック(ジェイソン・シュワルツマン)を旅に誘い出すのだが、久しぶりに顔を合わせた3人は当然のことながらしっくりといかない。
列車の中の共同生活を維持するために、協定を結んだりするのだが
三人が三人ともマイワールドで生きているので、リアルな世界には適応しにくいらしいのだ。

その三人が、「なんでもアリ」の空気で充満しているインドを旅していく。

しかし。。「なんでもアリ」のはずのインドでも、三人の問題行動は波紋を起し、ついに列車から放り出されてしまう。
いつでもどこでもマイワールドを生きるために、旅に持ちこんだたくさんのスーツケースとともに
インドの荒野に置き去りにされる三人。
この光景は、やっぱり「サン・ジャックへの道」を思い出させるんだなぁ。

旅に出たからって、人はそう変わるものでもないのかもしれない。
この兄弟だって、それぞれが抱えた問題を旅で解決したわけでもない。
でも、少し、風通しは良くなったんじゃないかな。
自分が普段暮らしている世界は、自分の匂いが染み付いていて
なにか、自分で自分に縛られてるようなところがある。
それが、顔立ちも生活も価値観も文化も違う世界に触れると
一気に窓が全開したような感じがするんじゃないだろうか。

全開した窓からは遠慮なく熱風が吹き込んでくるかもしれないし
あるいは、ここちよいそよ風が吹いてくるかもしれない。
吹き込んでくるのがどんな風であれ、今までの淀んでいた空気を間違いなくかき回してくれる。
ぐるぐると風が吹く中で、余分なものは飛ばされて
重い確かなものだけが残るのだろうね。

傷があろうとなんだろうと、人はいろんなものを抱えて生きていかなきゃいけない。
レールの上を走ってるはずが迷子になることだって、あるかもしれない。
それでも、明るくオー・シャンゼリゼ~♪と歌っていけたら
アクシデント続きの旅でも、楽しくなるんじゃないだろうか。

このきびしい世の中で
スピリチュアル・ジャーニーなんて言い出すってのが
そもそもお気楽な証拠なんだけど(笑)
3人を乗せた列車は、なんだかとっても楽しそうにインドの荒野を走っていく。

それほど大感動!!ってわけでもないけど
ちょっと淀んだ今のワタシに、とってもツボなゆる~い映画でした。

色使いもとっても美しい。
列車のインテリアやインドの猥雑な街中の極彩色と
荒野の小さな村に暮らす人々のナチュラルなたたずまいのコントラストが素晴しい。
つい、インドに行ってみたくなったりする(笑)けど
柔なワタシじゃ、きっとインドに弾き飛ばされちゃいそうだなぁ。。と思ったりもしたのでした。

本編が始まる前に
「ホテル・シュバリエ」という短編の作品がついていて
これもまたパリのホテルの雰囲気がとっても素敵。
コチラには、ナタリー・ポートマンが3男のジャックの元カノ役で登場。
3男のジャック。。見かけによらず(笑)もてるらしいのだ。なんで。。。?

もうひとつ
ビル・マーレイのカメオ(?)出演という豪華なおまけがついている。
列車を走って追いかけるビル・マーレイ扮する紳士。
急いでるはずなのに、どことなく脱力系で、この映画にぴったりとくる。

 

 

















 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ビル・マーレー (satic)
2008-03-15 00:38:50
はじめまして。
TBありがとうございました。
最初と最後にちょこっと登場する、ビル・マーレーを観た瞬間
ウェス・アンダーソンの映画だなぁって実感して
より一層この映画の脱力度が増すきがしますね。
ホント、どの場面も色使いが良かったです。
返信する
脱力系なんですね。 (チョコ)
2008-03-15 15:03:49
saticさん

こんにちは。

ウェス・アンダーソンの映画って
たぶん。。観たことがないと思いますが
こういう雰囲気の映画なんですね。
他の作品も、観てみたい気になりました。

色、きれいでしたね。
街中に、たぶん「野良牛」の姿があったのも
すごくインドっぽかったです(行ったことないのに)


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こんばんわ (睦月)
2008-03-16 17:35:47
ビル・マーレイが出てきた瞬間に、
私は『ブロークン・フラワーズ』の
ユルユルロードムービーを思い出してしまって、
一気にスクリーンに食いついてしまいました。
スローの使い方とか、色彩感とか、全てがとっても
ファッショナブルな作品で・・・こういうのは
個人的にすっごく好物好物♪

インドに行きたくなったー。
『シャンタラム』公開前には必ずインドに行くぞー
と決心しましたです(笑)
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インドか!! (チョコ)
2008-03-17 16:32:12
睦月さん

そうそう
インドを捨てて(笑)ニューヨークに飛んだんでしたっけね。
インドを捨てたおかげで
素晴しい体験をしたわけですけど
やっぱ、捨てっぱなしはよくないですよね(笑)

いや~
睦月さんのインド旅行記、楽しみにしてますから。
インドに行って「人格変わった」みたいな話をよく聞きますけど。。。そのままの睦月さんで帰ってきてね。

なんの話でしたっけ?
ああ、映画よ映画!
このゆるさは素敵でしたね(それだけかいっっ)

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