ビター☆チョコ

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アンジェラの灰

2007-09-04 | 洋画【あ】行



ピューリッツァー賞を受賞した、フランク・マッコートの自伝的小説を映画化した作品です。

1930年代、アイルランドから移民してきたマラキ(ロバート・カーライル)とアンジェラ(エミリー・ワトソン)夫婦は5人の子供に恵まれます。
しかし、極貧の生活は、生まれたばかりの末娘の命を奪ってしまいます。
憔悴しきった夫婦は、アイルランドに帰ることにしました。

一家が向かったのは、アンジェラの故郷、アイルランド中西部のリムリックという町です。
信心深いカトリック教徒が暮らす街で
街はいつも深い霧と、気がめいるような湿気に包まれています。
この小さな町で
アンジェラの夫、マラキは職を探すのですが
マラキの「プライドだけは高いのに役立たずの大酒飲み」の性格が災いして
なかなか職にありつけません。
でも、マラキが職にありつけない理由は、実はマラキの性格だけではないようです。

この時代のアイルランド共和国とイギリス、北アイルランドの関係は最悪で、
北アイルランド出身でプロテスタント教徒のマラキは
その出身だけで、リムリックの街では浮いた存在になってしまっていたようです。

当然、アンジェラの実家でもマラキに冷たい。
マラキの血を引く子供達にも、なにか良くない行いがあると「北部の子供だから」とか
単なる髪の毛の寝癖さえも「プロテスタントの髪だから」と決め付ける有様です。

アメリカから戻ってきても
一家の暮らしは良くなるどころか、悪くなるばかりです。
小さい子供から次々に死んでいって
ひとり死んでは、またひとり生まれる。。という状態です。

次から次へと襲ってくる不幸と
思わず胸がむかむかしそうになる不潔な環境。
。。それでも、なぜか途中で観るのをやめなかったのは
どういうわけなんでしょうね。

子供というのは、たくましいものですね。
どんな環境でも
丈夫でさえあれば、ちゃんと苦しい中から楽しみを見つけて成長していくのですね。

けんかしたり
親に反発したり
許したり
怒ったり
恋をしたり
そうして、ちゃんと自分の道を探っているのですね。

フランクは
アメリカという国に「豊かさ」を求めて旅立つのですが

。。。さて
なんで、この映画は「アンジェラの灰」という題名なのだろう。。と
考えてしまいました。

何年か後
アメリカに渡ったフランクが、弟や母のアンジェラをアメリカに呼び寄せて暮らし
アメリカで亡くなったアンジェラの遺灰を持ってアイルランドに帰った。。という後日談があるのだそうです。

映画では、フランクが旅立ったところで終わってしまいます。
その後が。。その先が。。とても気になる映画でした。






 




 


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