ビター☆チョコ

店じまい後も変わらずご訪問ありがとう。
新居をかまえましたので
お近くにお越しの際はお寄りくださいませ。

青いパパイヤの香り (ビデオ鑑賞)

2008-04-20 | 洋画【あ】行

1951年、サイゴン。
10歳の少女ムイが、生地屋を営む家に奉公に来た。
その家には、末娘を亡くして以来抜け殻のようになってしまった主人と3人の息子、一日中念仏をとなえているおばあさん。そして、ひとりで家業を支える女主人が暮らしていた。
心優しい女主人は、ムイに亡くなった娘の面影を重ね、優しい目でムイを見守るのだった。
先輩女中から家事の手ほどきを受けながら、ムイは懸命に働く。
ある日、長男の親友のクェンが一家を訪れる。
ムイはひそかにクェンに憧れを抱くようになる。
ムイの初恋、だった。

おととしだったか、週に1度、塾のお迎え待ちの時間をつぶしていたアジア料理屋さんの壁に
この映画のポスターが張ってあった。
アジア料理屋さんらしい明かりを押えた店内で、この少女のまっすぐな瞳は強い光を放っていた。
この少女をながめながら、肉みそご飯を食べたり、ベトナムコーヒーを飲んだりしているうちに
時間つぶしということも忘れて、しばし、まったりとした時間を過ごしたものだった。

塾通いも終わり、この少女のことも忘れていたのだが、
ふと思い出して、やっと観てみることになった。

ベトナム戦争の戦火を逃れて、子供の頃にフランスに渡ったという監督が描くサイゴンは
私たちが「ベトナム」から受ける強い戦争の影を感じさせないものになっている。
パリの郊外で、オールセットで撮影されたという映画は
セットにも係わらず、アジアの湿度を感じさせる。

湿度のある寝苦しい夜の虫の声。
外と家の中の境界があいまいな土間の台所。
手早く調理される、おいしそうなお惣菜。
蚊帳。
ガラスのはまっていない窓から流れてくる雨の匂い。

そういうものが
ベトナムという遠い異国のことながら
まるで自分がかつて過ごした、子供の頃の夏の日を思い出させて
どこか懐かしい気持ちになる。

成長したムイは
初恋の相手であるクェンの家に奉公に出ることになる。
そのクェンの家は、大金持ちで
クェンはパリに留学していた新進作曲家ということで
フランス風の調度に、東洋の壷が飾ってあったりして
こういうのをシノワズリって言うんだろうか。
とっても素敵なのだ。

何か起こりそうで何も起こらない
ゆるゆるとした展開の話を追っていくだけだと
たぶん、楽しめないと思う。

ゆるい流れの中で
雨の匂いを感じたり
青い葉っぱのむせるような匂いを感じたり
そんなふうに楽しむ映画なのだと思った。










最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おお、みましたね (tomozo)
2008-04-20 23:20:37
これは何年前の作品だったかしら?
見た覚えはあるのだけど、なんだか淡々としてたよね~。
あの地べたで料理するのがなんだかおいしそうで、
青菜炒めが食べたくなった覚えがあります。

ベトナムものといえば、「ラ・マン」は見た?
映画はまぁまぁだったけど、
そのあと原作読んでデュラスにはまってしまった。
湿気のあるベトナムに中国の喧噪、フランスの香り…。
少しはそんな雰囲気が残ってるのかなぁ。
返信する
エロス (チョコ)
2008-04-21 08:03:57
tomozoさん

非常に淡々としてましたね。
15年ぐらい前の映画です。確か。
ベトナム映画史上初のアカデミー賞がらみだったかで
けっこう評判になったんでしたよね。
さすが。。観てましたか。
青菜炒めの記憶が、いちばん鮮烈だったようね(笑)

「ラ・マン」♪
ワタシ、これ原作しか読んでないんですけど
はまりました。
禁断の香りがなんとも良かったです。
湿気が。。エロいんだよねぇ。。
エロスに湿気は欠かせないみたいですね(笑)

DVDは、これから観ますよん。
DVDに書かれてある「無修正」の文字が気になって
家族の留守を狙って(笑)観ます。
けっこう苦労してんのよー。
返信する