ビター☆チョコ

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硫黄島からの手紙

2006-12-11 | 洋画【あ】行

1944年6月。本土防衛の最後の砦となる硫黄島に、栗林中将(渡辺謙)が着任した。
頼みの連合艦隊も壊滅的な打撃を受け、孤立無援の中、日本軍は戦いに挑む。

第2次世界大戦でもっとも悲惨な戦いと伝えられた「硫黄島」での戦いを、
アメリカと日本。それぞれの視点から捉えたクリント・イーストウッド監督の2部作。
アメリカ側から描いた「父親たちの星条旗」は、おもに戦争と政治のゆがんだ関係に焦点を当てているが、
日本側から描いた「硫黄島からの手紙」は、極限状態の中で戦った日本人の姿を描いている。

ほとんど明度も色彩も感じられない、グレーがかった映像が続く。
草も木もなく荒涼とした風景を、雨のように容赦なく降り注ぐ弾丸の恐ろしさを、
兵士達の目を借りてみているような錯覚を起してしまう。

アメリカへの留学経験があり、アメリカの軍事力を充分に知っている栗林中将は、
ほとんど精神論ばかりで、なんの効果も挙げられない作戦を合理的なものに変えていく。
当然反発もあるのだが、彼はひるむことなく作戦を変えていく。
死を覚悟して。
本土に残してきた自分たちの子供が家族が1日でも長く安泰に暮らせるために。

そして、現代に生きている私たちは今、映画で当時の戦争を知る。
昨日の夜、家族4人で観にいったのだが、
娘と息子が号泣する隣で、私は涙も流せずに固まってしまった。
生きる時代が少し違えば、あの地獄のような戦場を這いずり回ってるのは息子だったかもしれない。
勝つ見込みのない決戦に備えて穴を掘ってるのは、夫だったかもしれない。
戦争について思うとき、いつもそこに思いは行き着いてしまう。

普段、戦争を描いた映画を、特に邦画を観ることはない。
なぜなら、感動を強要されてるような気がするから。
戦争を少し美化してるような気もするから。
今回はまるでドキュメンタリーのように、日米どちらにも傾くことなく戦争そのものが描かれていたと思う。
極限の中の人間の卑しさや、哀しさ。
そして極限の中にあっても失うことのない品性が。

本土に残してきた兵士の家族の姿は、ほとんど画面には出ないけれども
兵士達一人ひとりの後ろに息子の無事を祈る家族の姿が良く見えた。
その気持ちには国境はなく、兵士達一人ひとりは、みんな誰かの大切な子供なのだ。


9月以降、なぜか戦争やテロを題材にした映画が多く公開された。
それとは少しスタンスが違うかもしれないけれども「太陽」という映画で
昭和天皇の苦悩も垣間見ることが出来た。
そのたびに思うのは、「知ること」の大切さだ。
何も出来ないかもしれないけど、過去に何が起きたのかちゃんと知って、
もう2度と同じ方向に進まないように、ちゃんと見張ってなくちゃいけない。と思う。

もし少しでも興味があったら、ぜひ観てもらいたい映画だと思う。
特に若い人に。







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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは♪ (Pamy)
2006-12-12 15:10:50
こんにちは、チョコさん♪

実は今日は、バトンのお願いに上がりました。
時間のあるときにお願いできませんでしょうか。
詳細は私のブログまで。
イメージカラーバトンです♪
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どーもです (チョコ)
2006-12-12 16:08:08
Pamyさん

さっそく受け取りに行きますね。
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息子と観たいです! (ぼふふわ)
2006-12-13 14:31:54
チョコさん、こんにちは!
上のコートの話題にもつきたかったのですが、こちらに~♪
息子がかねがね観たがっていた映画で、推薦で決着が付けば見にいけたのに~というところです^_^;
チョコさんのレビュー拝見して、息子と是非観たいと思いました。
かつて、「プライベートライアン」を夫と息子とで見に行き、あのときも、兵士の目線でのリアルな戦闘シーンが30分以上も続き、目をそむけたくなり、実際にそうだった(それ以上)ことを思うと、いたたまれない思いでした。
夫や息子は、政治的、軍事的な視点からの感想を持つのですが、私は、やはり、家族が、息子がもし、戦争にとられたら、と家族の思いに気持ちがいきました。
何人もの兵士あるいは一般市民が犠牲になり、そのひとりひとりに家族がいるのですよね・・・・。
チョコさんの書かれてるように、「知る」ことをまず始めなければと思います。目線の偏らない真実を知りたいですよね。

コート、結構手軽に買えるお値段のものもあり、毎年、ほしくなります~~

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ぜひ! (チョコ)
2006-12-13 18:34:43
ぼふふわさん

ぜひ観てください。
出来れば「父親たちの星条旗」も。

二宮君演じる西郷たちが逃げ惑う向こう側では、
ジョンやアイラ(父親たちの星条旗の主人公)も
必死で弾を避けてるんだろうな。。と思うと、
敵を憎むというよりは、戦争そのものを憎む気持になります。

どちらかというと、日本人ですから、やっぱり「硫黄島~」に感情移入してしまうのですが、両方観るとちゃんと相互補完している、2本でひとつの映画なのだということが分かります。

二宮君(西郷)はこれはどちらかというと私たち現代人に近い考えの、その当時にしては覚めた目で戦争を見ています。
だから二宮君(西郷)の痛みが、そのまま私たちに伝わってきたような気がします。
二宮君はアイドルより役者が向いてるんじゃないでしょうか(笑)

コート。。。実は2着お買い上げになりました(苦)
来年の分も買っちゃったということで。。。
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こんばんわ (睦月)
2006-12-17 22:28:03
TB&コメントありがとうございました。

日本人ではないイーストウッド監督だからこそ、こういった視点でこの戦争について描けたのかなあなんてそんなことを思いました。

私は父親たち~の方をまだ観ていません。
でもこの作品を観たら、そちらも絶対に観ねば・・・と強く思わせられました。
表裏一体・・・これは2作品あって初めて成り立つ、一つの戦争を
描いた映画だと思います。

ビビりますが。
覚悟がいりますが・・・観なければ。

たぶん・・・
今の私達に出来ることって、こういった作品に向き合って、
そこから汲み取ったことを伝えていくことだと思うので。
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戦争。。。 (チョコ)
2006-12-18 00:58:02
睦月さん

TBありがとうございます。
私も睦月さんと同じで、戦争映画は駄目なんですよ。
お金払って観たのは初めてだと思います。

クリント・イーストウッドがわざわざ2本の映画を撮ったというのも頷ける話です。
戦争って相手があってするものだし
言い分はそれぞれなのだから、片方だけではどうしても描ききれないものがあるのでしょうね。

戦後60年。。ですか。
こんなに長い間、戦争がなかったことって最近ではなかったのじゃないでしょうか。
平和な国があたり前と思っていましたが
近頃のニュースを見ると「戦争をしたがってる」人もいるような気配すら感じます。
恐いことです。。。。

返信する
さっむいですね~っ!! (こべに)
2006-12-18 23:40:07
こんばんは!チョコさん♪
血管まで凍りつくよな寒さですね~

夫が・・・ではなく(汗)息子がもし・・・なんて考えてしまいます。行き着くところはやはり家族なんですよね?!
この作品は公平に描いているから観たけれど普段は戦争映画はスルー。理由はチョコさんと同じです。
実はワタシも「太陽」を思い出しました。
だからかな?知るということの大切さを学んだ一年だったなぁ~ってしみじみ思いました。
この映画も色々な意味で知ることの大切さを感じる作品でした。
長くてごめんなさい(ToT)
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涙も凍った (チョコ)
2006-12-19 00:46:16
こべにさん、
TBありがとうございます。

戦争を始めるのは絶対に戦地には行きそうもない年寄りで(爆)戦争に真っ先に行かされるのは、フツーの庶民の子供達なんですよね。
西郷を演じた二宮君の若さや頼りなさがそのまま息子と重なって、思わず凍りついてしまいました。

私も今年は映画で自分の無知を思い知らされた年でした。
偶然なのか。
それとも世界が何か危機感を抱いているのか。
ちゃんとメッセージを受け止めなきゃいけないですね。

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見ました! (ぼふふわ)
2007-06-11 11:07:36
いやぁ~、チョコさんの感想も、また改めてうなづいてしまいます。
そして、昔書き込んだ自分のコメントも感慨深いです。

息子とは一緒には見れませんでしたが、それぞれの感慨を持ったようです。
自分のレビューを読むと、男目線で、チョコさんは、女性らしい優しい視点でごらんになったという気がしてきます。
私は、どうも、夫や息子の影響があるようです。
チョコさんの子供さん達は、とても感受性が豊かで、優しいのですねぇ(涙)。息子は、戦争映画にうるさいです・・・。

アメリカ人にも愚行をする兵士(日本人捕虜を射殺)がいるってあたりを、ちゃんと描いたイーストウッドも、すごいと思いました。
楽しい映画の一方、目をそむけられない現実の映画もありますよね。

伊原さんも、よかったですよね。
ほんと、二宮君は、いい俳優になりそうですよね!

こうして、後からでも振り返って語れて嬉しいです。
TB、させていただきました~♪
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男目線 (チョコ)
2007-06-11 16:24:08
ぼふふわさん

私も久しぶりに
自分の書いた感想やら頂いたコメントやら
なつかしい気持ちで読みました。
ぼふふわさんは、この時期、大変だったんですよね。
わずか数ヵ月前の事なのに
まるで大昔のことのようですね。
特に、ぼふふわさんはそう思えるんじゃないでしょうか。

わずか、数ヶ月前のことなのに
記憶というのは薄れたり微妙に変わったりするものなんですよね。
だからどんなつらい事があっても
生きていけるのかもしれないけど
忘れてはいけないこともあるという事を
改めて思います。

井原さんも二宮君も良かったですよね。
わたし、あの井原さん演じるバロン。。(失念)が実在の人物とは知りませんでした。
ちょっと子供らにもダンナにもあきれられたような気配でした

それでは男目線の(笑)
ぼふふわさんのレビューを読ませていただきます。

TBありがとう~♪
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