ビター☆チョコ

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電話

2008-06-19 | 日々のこと

観劇のこと、泊まったホテルが素敵だったこと、
そんなことをいろいろと話す義母の声はとても明るかった。

電話なのに、楽しそうな顔が見えるような・・そんなテンションの高さだった。

東京で遊んできただけでこんなに楽しいんだから
チョコさんみたいに外国で遊んできたら、どれだけ楽しいんだろう。

まるで嫌味のない調子で義母が言うので

楽しかったですよぉ~。
また行きたいですねぇ~
おかあさんも、一緒に行きますか?

・・と、答えた。

わたしなんか、もう無理だわ。
足も弱ってるし、人に迷惑かけるだけだから。。。

そう言う義母に

いやいや、とっても元気そうな声だし
外国どころか、月にだって行けそうな勢いだよ。

元気づけるつもりで、そう言った。

ワタシのつもりでは
ここで、間髪入れずに軽く笑って流してもらえば、それで済むはずだった。

でも、電話の向こうは、少しの間、沈黙だった。
気を悪くした。。とかじゃなくて
義母には、うまく、ワタシの下手なジョークが通じなかったみたいなのだ。

少し間をおいて

え?なんて言ったの?

そう訊き返す義母に
月にだって~の部分を省いて
ゆっくりと大きな声で言いなおした。
。。。ジョークを、ゆっくりと大きな声で言い直すのは、なんだか哀しかったから。

まだまだ、しっかりとした義母だけど
電話で話してると
時々、こういうことが起こるようになった。
直球の会話は受け取れるけど、ちょっと変化球を投げると
受け損ねてしまうのだ。

義母が受け損ねた球は
ワタシが気づかれないように拾いに行って
投げなかったことにしてしまう。
哀しいけど、老いていくというのは、こういうことなのだろう。

電話を切ったあと
居間は、テレビがついてざわざわして
明かりも煌煌とついていたのだけど
妙に、静かで、暗くなったような気がした。



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