ビター☆チョコ

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エディット・ピアフ ~愛の讃歌~

2007-10-04 | 洋画【あ】行

1915年、エディット・ジョヴァンナ・ガションは大道芸人の父と流しの歌手の母の間に生まれた。
父の出征中に母に捨てられたエディットは、父の実家である娼館で育てられ
やがて父が帰還してからは、父と共にドサ回りの旅に出た。
20歳になったエディット(マリオン・コティヤール)は、いつものように街角に立って歌い、日銭を稼いでいた。
ある日、そんなエディットの歌声に、パリの名門キャバレーのオーナー、ルイ・ルプレが足を止めた。
歌姫、エディット・ピアフ誕生の瞬間だった。

映画ってすごいなぁと思うのは、時に全く興味のなかった世界を見せてくれることだ。
ファッションだったり、あるいは映画の舞台になった土地だったり、食べ物だったり、スポーツだったり
今回のように全く聴いたことのないジャンルの音楽だったりすることもある。

エディット・ピアフ。
さすがに名前は知っていた。
歌声も聴いたことがある。(さわりだけ。。)
愛の讃歌、ラ・ビアン・ローズ
メロディを聴けば、ああ。。あの歌だとすぐに思いついて、鼻歌ぐらい歌える曲だ。
それでも、、愛の讃歌といえば、一番に思い浮かぶのは越地吹雪だし
照れくさくなるほど愛であふれた歌詞は、なんだかとても遠い世界のものだった。
シャンソンという歌のジャンルが、私にとって遠い遠い世界だったのだ。

エディット・ピアフは、ルイ・ルプレに見出され、キャバレーのスターになる。
それもつかの間、ルプレがエディットと係わりのあったやくざに惨殺される事件が起こって
エディットの人気は地に落ちる。
失意の日々にエディットは、初めて本格的な歌のレッスンを受けて見事に復活をとげる。

降り注ぐ賛辞。
そして成功とは反対に深まる孤独。
そんなときエディットは、プロボクサーのマルセル・セルダンと激しい恋に落ちる。

愛に恵まれてたとは言えない子供時代のこと。
いつも天国と地獄が紙一重だったスターになってからのこと。
その全てがマルセルとの恋で昇華され、愛の讃歌という名曲を生むことになる。

越地吹雪が歌う、ムードのある甘い歌詞ではなく
原曲はもっと破滅的な「あなたがいれば、世界がどうなってもかまわない」というような歌詞らしいのだけど、その激しい恋は突然のマルセルの死で終わってしまう。

絶頂の時に迎える絶望。
狂ったようにマルセルを捜し求めるエディットの姿に重ねて流れる「愛の讃歌」は
おそろしく残酷な歌に聴こえた。

歌い手の不幸が、歌に深みを与え
観客はいっそうエディットの歌に酔うようになる。
しかし、エディットはいつまでも癒えない傷を
酒とクスリに溺れることでごまかし
47歳の若さで、まるで老婆のような姿になって生涯を閉じてしまう。

小柄な前かがみの体に厚化粧。
周囲を傷つけるほど傲慢かと思えば、急に怯えた目をみせる大スターの生涯を知って
一度、ちゃんとエディット・ピアフの歌を聴いてみたくなった。

力強い声と
それとうらはらな弱さと
明るさと哀しさと。
エディット・ピアフの歌声を最初に聴いた時に抱いた印象は
こんなエディットの激しい生涯に裏打ちされたものだったのだと、思い至った。



















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6 コメント

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Unknown (えみりん)
2007-10-04 23:02:34
チョコさん♪

ハスキー師匠のはじめての体験レッスン、「愛の賛歌」を歌わせられました。
日本語の歌は、この歌しか知りませんでしたので。

ピアフの生涯、知ってましたので、怖かったです。
真冬だったのに大汗かいて、帰りました。
もう二度と、行くものかと決心したものの。
しかし、思いなおして5ヶ月後に弟子に。
シャンソンを唄われるかたには、あこがれます。

ところで、土曜日よろしくね
たのしみにしてまーす


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シャンソン (チョコ)
2007-10-05 21:28:34
えみりんさん

愛の讃歌は思い出の曲なんですね。
そのうち、セッションで歌ったらどうでしょう。
シャンソンを歌う方はそんなにいないし
えみりんさんに合うんじゃないでしょうか。
ぜひ、そのうち♪

で、そのセッション。。
はぁぁ。。もう、明日なんですねぇ。。。
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ピアフ (Rei)
2007-10-05 22:47:35
チョコさん、こんばんは。
ご覧になったのですね。
残念ながらこちらでは上映していないんですよ(涙)

ピアフとか、マリア・カラスとか、好きです。
歌というよりも人物に興味があるのかもしれませんが…。
“後世に名を残した波乱万丈の人生を送った人物”が好きなんですね、きっと(笑)

かなりノイズたっぷりの古い録音のCDを持ってますが、
そのレトロ感もなかなか味わい深いです(爆)
魂の熱唱、そういうものを感じますよね。
圧倒的な訴える力とか。
早く上映してくれるのを待つばかりです。
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波乱の人生 (チョコ)
2007-10-06 21:05:08
Reiさん

全国で大々的に公開されてるわけではないんですね。

。。実は私、それほどエディット・ピアフの歌声が好きだったわけじゃないんです。
好きか嫌いか、ちゃんと判断がつくほど聴いたこともなかったのですが、きちんと聴いてみようとわざわざ思うほどでもなかったから
「好き」とは言えないですよね(笑)

でも、映画を観て
これは一度ちゃんと聴いてみようと思った。。ということは
私もReiさんと同じで
後世に名を残した波瀾万丈の人生を送った人物が好きなのかもしれません(笑)

きっかけはなんでもいいんですよね。
きっかけを得ることが大事なんだと思います。

Reiさんのテリトリーで早く公開されることを祈ります。
ぜひ、観てください♪
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恥ずかしながら (ri)
2007-10-17 23:44:06
チョコさん、こんばんは。

観てきましたよ。
私、シャンソンというジャンルにも、ほとんど興味なかったし、
恥ずかしながらエディット・ピアフという名前すら、
ほとんど知りませんでした。

いい歳になったからかもしれませんが、
私も一度、エディット・ピアフを聴いてみようかと思いました。

「愛の讃歌」
これから聴くときは、違った曲に聞こえるかもしれません。。。

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シャンソン (チョコ)
2007-10-18 20:24:24
riさん

TBありがとうございます。

ピアフの歌声は知ってましたけど
シャンソンって
なんかすごく敷居が高いような気がして
聴こうと思ったことがなかったんです。

歌を習い始めてから
少し聴く曲のジャンルが広がりました。
とても私には歌えないジャンルですけど
同じ生徒さんの中には、シャンソンをとても素敵に歌う方もいて、その方が歌ってる時はちゃんとその「世界」が出来上がっているようです。
まるでドラマでも見てるみたい。

秋にシャンソンは似合いますね。
「愛の讃歌」を聴く時は、きっと哀しい歌に聴こえそうです。




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