安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

アン・バートン MISTY BURTON

2018-01-10 20:00:42 | ヴォーカル(A~D)

昨年末に御茶ノ水のディスクユニオンジャズ東京に寄ったら、『 Casa BRUTUS特別編集 音のいい部屋 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS)』という雑誌が積んであり、面白そうだったので、購入しました。作家の村上春樹さんへのインタビュー記事とともに、部屋やオーディオ装置の写真が掲載されていて、興味を惹きました。ジャズとクラシックの再生で使用する機器は異なるようですが、どちらも上質で穏やかな音が出てきそうな部屋の様子でした。来日時のクラブにおける穏やかな歌を。

ANN BURTON (アン・バートン)
MISTY BURTON (Epic 1973年録音)

   

先日、ある中古レコード店の店員さんと四方山話をしたのですが、その中でアン・バートン(1933~89年)のレコードを欲しかる人が多いけれど、なかなか出てこないという話をしていました。新しい歌手が続々と出てくるので、サラ・ヴォーンやヘレン・メリルといった人気歌手は格別、アルバムが聴き続けられている人はそう多くないかもしれませんが、オランダのアン・バートンは、現在でも根強い人気があるようです。好きなアルバムなので、レコードとCDと両方持っています。

メンバーは、アン・バートン(vo)、ケン・マッカーシー(p)、稲葉国光(b)、村上寛(ds)。アン・バートンは4回来日していますが、初来日時の1973年3月16日に六本木にあったクラブ「ミスティ」で録音されたもので、それがタイトルの由来です。ケン・マッカーシーは、バートンの歌に合わせ、行き届いたピアノを弾いています。

曲目はバリー・マンやキャロル・キング、ローラ・二―ロなどの当時ヒットしたポップス曲を含んでいて、スタンダード一辺倒ではなく彼女の選曲には特徴があります。「Juat a Little Lovin'」、「「Oh! Babe, What Would You Say?」、「Blue Turning Grey Over You」、「Don't Give Up On Me」、「When a Woman Loves a Man」、「You've Got A Friend」(君の友達)、「Flim Flan Man」、「It's Too Late」、「Ain't Misbehaving」(浮気はやめた)、「Simple Song」、「My Man」、「It's A Pity to Say Goodbye」の12曲。キャロル・キング作の「You've Got A Friend」や「It's Too Late」もアン・バートン流のジャズになっています。

歌のレパートリーに当時のヒット曲を取り入れ、それをジャズ化して歌うなど、アン・バートンの個性が溢れているアルバム。バラードもありますが、4ビートでスイングする曲が多く、親しみを覚えます。バリー・マンの「Just a Little Lovin'」やキャロル・キングの「You've Got A Friend」、「It's Too Late」などが伸びやかにスイングして歌われています。ベースとのデュオで歌いだす「Ain't Misbehaving」も古いスタンダードですが、新鮮に聴こえます。「Don't Give Up On Me」や「My Man」などバラードでは、伴奏は控えめで、歌詞をかみしめるようにして大事に歌っています。

 【Casa BRUTUS特別編集 音のいい部屋 (マガジンハウスムック CASA BRUTUS)

   

2017年11月15日発行です。

   

   

村上春樹さん

   

ジャズはJBL、クラシックはタンノイのスピーカーで聴いているとこのことです。

   

   

   

音のいい店に、札幌のジャズ喫茶「BOSSA」が取り上げられていました。札幌へ行った時には必ず寄るお店です。


高木裕著「調律師、至高の音をつくる」(朝日選書)

2018-01-09 20:02:07 | 読書

年末年始休暇用に本を数冊借りてきました。あまり読めませんでしたが、中の一冊が面白かったのでブログに掲載します。著者の高木 裕(たかぎ ゆう)さんは、ピアノの調律師で、タカギクラヴィア株式会社代表取締役社長。自社のスタインウェイをコンサート会場に持ち込むことによって、一流ピアニストのコンサートをサポートしている方です。そういった仕事に関する興味深い話が書かれています。

   

目次は次のとおりです。

第1章 名器・スタインウェイ誕生の秘密
第2章 ピアノに命を吹き込む
第3章 コンサートチューナーの仕事
第4章 調律師の舞台裏
第5章 調律師は見た!ピアニストのほんとの腕前
第6章 日本のピアノ界事情

(感想など)

第1章では、導入も兼ねてピアノの構造の話から、なぜスタインウェイが有名なメーカーになったかが明らかにされます。著者は、29歳で渡米し、スタインウェイの工房で修業を積んでいますが、それらの経験から、自分で調整したスタインウェイを、自分自身でコンサートホールなどへ運ぶというスタイルを確立します。よりよい楽器で演奏会が行えるようにした画期的なスタイルで、このことにまず驚かされ、感心しました。

第2章の「ジャズとクラシックのピアノの世界の違い」では、『クラシックに行き詰ったからジャズの世界に入ろうという人がいますが、そんな簡単なものではありません。ジャズ、クラシックとそれぞれ別の才能に恵まれた人たちの世界です。どちらの世界もトップクラスのピアニストの演奏は同じように素晴らしく、感動します。』と書いてあり、その通りだと共感しました。

第5章の「天才ヴァイオリニストから学んだ小さい音」という箇所では、ギル・シャハムのサントリーホールにおけるコンサートのリハーサルで、ヴァイオリンのピアニシモがどんどん小さい音になっていき、それに合わせるピアノをどうしたらよいのだという場面が登場し、タッチの調整と、それを乗りこなすピアニストの江口玲さんの超絶技巧のことが手に汗握るように描かれていました。

自宅で調律師による調律を見ていても、仕事の中身はよくわかりません。そういう仕事の一端や、コンサートをサポートする調律師の世界が垣間見れて、ジャンルを問わず音楽や楽器に関心のある方なら面白く読める本です。


DUG (ジャズ喫茶 東京都新宿区)

2018-01-08 20:01:31 | ジャズ喫茶

ジャズ喫茶・バーの「DUG」は、中平穂積さん経営の有名店で、僕も新宿で休憩する場合によく使います。小さなスピーカーを使っていますが、レンガ造りがいい方に作用しているようで、疲れにくいふくよかな音がしていて寛げます。昼間から営業をしていますが、喫茶というよりバーといった雰囲気なので、僕もビールをいただきました。 

   

入口

お店は地下にあります。

スピーカー。エロール・ガーナ―(p)の「Concert By The Sea」などがかかっていました。

お客様がたいへん多く、賑わっています。

お酒の種類も多く、おつまみも揃っています。

ギネスビール

スペイン風オムレツもいただきました。

【DUG】

住所:東京都新宿区新宿3-15-12
電話:03-3354-7776
ホームページ:dug.co.jp


ハリー・アレン DAY DREAM

2018-01-07 10:00:01 | テナー・サックス

安曇野市の自宅で使っている石油ファン・ヒーターが壊れてしまったので、新年に入り新しいものを買いました。DAINICHIブルーヒーターのFE-2517Sという製品で、ホームセンターで一万円以下でした。エアコンと石油ストーブの組み合わせがいいと思うのですが、今のところエアコンが設置されていない部屋なので、当面ファンヒーターで暖まります。暖まりそうなアルバムを。

HARRY ALLEN (ハリー・アレン)
DAY DREAM (Novus-J 1998年録音)

   

ハリー・アレン(ts,1966年生まれ)は、日本のレーベルからの依頼で、スタンダードやボッサのアルバムを連発しているのに加え、一度だけオールスターズの中での実演を聴いたのですが、ピンとこなかったので、彼のアルバムを購入したことはありませんでした。昨年、伴奏のトミー・フラナガン(p)の名前に釣られて、このCDを購入したところ、ハリー・アレン自身の演奏も結構いい線をいっていて、彼に対する認識を改めました。

メンバーは、ハリー・アレン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ピーター・ワシントン(b)、ルイス・ナッシュ(ds)。ハリー・アレンは、ベン・ウェブスター、スタン・ゲッツ、スコット・ハミルトンらの系譜を継ぐスイングする演奏を行っているので、一度じっくりとライブを聴いてみたいミュージシャンです。なお、アレンとフラナガンによるデュオが6曲で、カルテットによるものが5曲です。

選曲がよく考えられています。スタンダードや比較的知られたジャズオリジナルが取り上げられています。「A Sleepin' Bee」、「Maybe September」、「I'm Checking Out, Goombye」、「A Child is Born」、「Shibuya After Dark」、「The Midnight Sun Will Never Sets」、「Three and one」、「Day Dream」、「Love Life」、「They Say It's Spring」、「The Christmas Song」の11曲。サド・ジョーンズ作の2曲「A Child is Born」と「Three and One」はともかく、ストレイホーン作の「I'm Checking Out, Goombye」とジョニー・マンデル作「Love Life」は珍しい。アレンは自作「Shibuya After Dark」も書き、意欲的です。

カルテットとデュオによりハリー・アレン(ts)とトミー・フラナガン(p)の味わい深い演奏を聴くことができます。デュオにより演奏されるスローテンポの「Maybe September」や「A Child is Born」、「The Christmas Song」は、アレンのベン・ウェブスターばりのサウンドとフラナガンの気品があってチャーミングなソロ、バッキングがあわさり素晴らしい聴きものとなっています。 カルテットのものでは、スローで出てインテンポになりアレンがぐいぐいとスイングしていく「A Sleepin' Bee」やルイス・ナッシュ(ds)のはじけるようなドラムスが聴け、ピーター・ワシントンのソロも入る「Three and One」あたりが心地よい。

【安曇野市自宅のファンヒーターなど】

持ち運びに便利なので、小ぶりなファンヒーター(木造だと9畳まで)にしました。

取り扱い説明書。換気が大事だそうです。

部屋が暖まったので、CDを聴いています。年末に長野市においてあった小型のオーディオ装置を安曇野市へ持ってきました。後方には、サンスイ(山水)社製の古い三点式のステレオがありますが、壊れているので、片づける予定です。

このスピーカーは、小さい割にはよく鳴ってくれます。

本棚には長野市から運んだジャズ本などを暫定で並べてあります。安曇野市で過ごす時間が増えているので、春までには古いステレオや不要な本などを整理して、快適に寛いで過ごせるようにしたいと考えています。


rompercicci(ロンパーチッチ) (ジャズ喫茶 東京都中野区)

2018-01-05 20:25:00 | ジャズ喫茶

rompercicci(ロンパーチッチ)は、ジャズやオーディオ系の雑誌で名前を見かけるので、機会があれば訪れたかったのですが、昨年の年末にようやく実現できました。営業時間が午前11時からなので、遠方からも訪れやすいお店です。スピーカーが1956年に作られたJBL「C38 Baron」というもので、全く見たことがないものでした。レコードも珍しいものが次々にかかり、特にインストのジャズファンに面白いジャズ喫茶です。 

中野駅から約10分ほど歩いた住宅街の近くにあります。わかりやすい場所です。

看板

店内の様子。カウンターが高くて、ラーメン屋さんのようです。

カウンターの中にレコード棚やオーディオセットがあります。

スピーカー。初めて見ました。

JBL C38Baron。アンプは、アメリカ製の「The FISHER」という古いものだそうです。

ひよこ豆と挽肉のドライカレー。

セットの珈琲。ビスケットもついてきました。

1970年代、80年代あたりのものを中心にかかります。アーマッド・ジャマル「Freeflight」

ケニー・クラ―ク=フランシー・ボラン ビッグバンド

ランチはリーズナブルです。「会話は小声で控えめに」という注意書きがジャズ喫茶らしくてよいです。

【rompercicci(ロンパーチッチ)】

住所:東京都中野区新井1-30-6 第一三富ビル102
電話:03-6454-0283
ホームページ:rompercicci