海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

日米安保体制下の天皇在位30年式典と琉球国の沖縄併合140年、そして県民投票

2019-02-24 23:59:17 | 米軍・自衛隊・基地問題

 この数日間は海上行動を休んで県民投票の活動に力を注いだ。昨日から今日にかけてもチラシ配りその他で駆けずり回ったのだが、印刷、配布、車の運転など協力してくれる人がいて助かった。感謝!

 午後10時半頃、名護市の開票所の様子を見に行った。すでに最終点検に入っていた。写真で分かるように反対が圧倒的に多かった。開票所の係りの話では、名護市の投票率はぎりぎりで50パーセントを超えたようだ。低投票率を狙って自民党・公明党が「静観」を決め込むなか、自ら投票所に出向いて意思表示した市民が、これだけいたということだ。

 ただ、県民投票の期間も辺野古の埋め立て工事は止まっていないし、明日以降も工事は続く。私にとって県民投票が成功したかどうかは、これから工事を止めるためにどれだけ役立つかにかかっている。問われているのは意思表示ではなく行動だ。1票を投じて終わりではなく、沖縄県民一人ひとりが現場で行動して工事を止めなければ、辺野古側の埋め立ては進んでいく。誰が辺野古の海の破壊を止めるのか。

 アキヒトの天皇在位30年式典とやらでテレビはくり返し映像を流している。沖縄への深い思いがことさら強調されているが、異族としての琉球・沖縄人を同族としての日本人に組み込んでいくために、明治以降の天皇の役割をアキヒトも忠実に果たしてきたわけだ。

 日本の南西領土防衛のために、辺野古新基地建設と並行して、先島地域への自衛隊配備が進められている。日本人としての自覚をもってそれを支える沖縄県民を作ること。昭和天皇の戦争責任を問わない「慰霊の旅」を重ね、琉歌を作って沖縄文化への理解を示し、平和憲法の体現者という幻想を作り出しながら、アキヒトは自らの役割を担ってきた

 天皇としてのアキヒトの最後の沖縄訪問は、琉球併合の日に合わせ、先島に配備された自衛隊が歓迎する中で行われた。今年は1879年の琉球併合から140年の節目だが、琉球国として日本とは別の歴史を持つ沖縄の民が、天皇を崇め奉るなど馬鹿げた話だ。それを知っているからこそ、天皇にとって沖縄は特別な場所となる。

 日本「本土」防衛のためにいざとなれば沖縄を捨て石にする。その構図は今も変わっていない。日米安保体制下で天皇もその役割を担っているのであり、辺野古新基地建設や先島地域への自衛隊配備は、中国に対抗する前線として、沖縄が現在も捨て石の立場に置かれていることを端的に示している。それを拒否しなければ、沖縄人は痛い目にあい続けるだけ。 


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