小松格の『日本史の謎』に迫る

日本史驚天動地の新事実を発表

日本語の諸問題(49) またまた文化庁の日本語教師国家資格構想

2023年01月18日 | Weblog

 3年前、この件について書いたが、昨年末、また文化庁が日本語教師国家資格構想を発表した。その新聞記事を読んでも、今一つその主旨がハッキリしない。おそらく、フランスのフランス語教師国家資格制度を真似た結果だと思うが、この文化庁の担当者は現在、日本語が抱えている根本的な問題についての知識が全くないと言わざるをえない。私は以前、たまたま旅行先の民宿でフランス人の若者と一緒になり、英語で話をしたことがある。その人は今、日本の外国語専門学校でフランス語の講師をしているとのことで、自分はフランス政府公認のフランス語教師の国家資格を持っていると言っていた。フランスでは外国人にフランス語を教える国家資格取得には難しい試験があるとのことだった。

 ー文化庁は日本語教師国家資格取得のための試験をどこに委嘱するつもりなのかー

 日本語(国語)の最高研究機関である「国立国語研究所」なのか、多分、断られるであろう。当研究所は外国人を対象にはしていないと。では、留学生に日本語を教えている大学の教授先生方なのか。この場合も、日本語文法理論は様々であり、統一された日本語文法書はない。前に書いたが、ヘボン式ローマ字考案者として有名なヘボン博士の本名は Hepburn (ヘップバーン)であるが、当時の日本人はその名を憶えるどころか発音さえ出来なかった。そこで日本式に「ヘボン」との3音節にしたらすぐ憶えてくれたようである。つまり、ある「日本語教育書」に出ている「読む」の子音語幹  yom  などの設定は日本語の音声構造上あり得ないのである。日本語国家資格者は日本語の文法と音声構造をきちんと外国人学習者に説明出来なくてはならない。勿論、それには文部科学省認定の正式の日本語文法書があっての話ではあるが。(文法抜きの「ホステス日本語」を教えるだけなら何も国家資格など必要ない)

 <追記>

 今回の文化庁の日本語教師国家資格構想もそのうちウヤムヤになって消えてしまうであろう。日本語の正式の文法書すらないのに土台無理な話なのである。大方の国語学者も日本語学者もおそらく、私同様そう思っているであろう。「捨て猫」を例にとれば、国語学者は「捨てる」の連用形「捨て」を使って「捨て猫」と言うと説明する(語幹は「す」)。一方、日本語学者は「捨てる」の語幹「捨て」を使って「捨て猫」と言うと教える。国文法と日本語文法ではこれ程違うのである(まず、世界中にこんな例はない)。文化庁は一体どちらを正式の日本語文法として認定するつもりなのか。日本語教師国家資格制度が正式に発足したら、私も挑戦したいと思っているので早くどちらかに決めてほしい・・。-皮肉を込めて-

 

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