1961~62年に掛けてドーハムとマクリーンの双頭コンボの3作品を。
左から録音順に
① ”INTA SOMETHING”(PACIFIC JAZZ PJ-4, 1961.11.13)
② ”MATADOR”(UNITED ARTIST UAJ14007, 1962.4.15)
③ ”JACKIE McLEAN”(BLUE NOTE 84116, 1962.6.14)
①はヴィネガー(b)を除き、E・コースト派がW・コースト・レーベルにシスコの”Jazz Workshop”でライブ録音したもの。ダブル・ネームにしては6曲中、ドーハム(1曲)、マクリーン(2曲)が単独にフューチュアーされる構成にやや散漫感、違和感を覚えるが、切り貼りが得意のR・ボック(プロデューサー)にはなんてことはないだろう。ただ、マクリーンがBNと契約している手前、カヴァではドーハム一人となり、マクリーンのフューチャアーが2曲はそれなりの配慮がされたのかもしれない。 正統派ドーハム(tp)と濁声のマクリーン(as)の好ブレンドが背後に迫るハード・バップの凋落を暫し忘れさせる。”No Two People”ではW・ビショップ(p)が人気盤”SPEAK LOW”を連想させるソロを弾いている。
②はドーハムがリーダーでプロデューサーが異才、アラン・ダグラス、録音エンジニアが数奇な運命を辿ったビル・シュワルトウ、彼はエヴァンスの「アンダーカレント」を録音したエンジニアで「ジャズの秘境」(著・嶋 護)で大きく取り上げられている。とにかく音が鋭い、ドーハムのtpなんかカミソリのようで、代名詞となっている「くすんだ鉛色した音色」なんて噓っぱちです。だから過小評価されるのだろう。”Melanie‐Part 1”のカッコよい吹きっぷりはサイコーですよ。この曲はマクリーンの”LET FREEDOM RING”(1963. 3.19)で取り上げられた”Melody For Melonae”と同曲で、推測ですが、恐らくダグラスはマクリーンのフラジオ奏法による大胆なパフォーマンスの情報(リリース前だが)を得て、本アルバムに採用したのではないか? 但し、マクリーンはサイドなのでフラジオを吹かせず、その代わり、ドーハム、ティモンズに”Melody For Melonae”に匹敵する熱量を期待したのだろう。結果は勝るとも劣らぬ出来栄えになった。ティモンズの端正ながら小節が利いたプレイも聴きもの。
③はマクリーンがリーダー名義ですが、リアルタイムではお蔵入りとなり、後年(1976年?)、日本で初めて特典盤(非売品)として日の目を見たもの。巷ではお蔵入りの理由として”LET FREEDOM RING”と”ONE STEP BEYOND”の間に吹き込まれた割に、保守的、と言われる。でも、これは結果論であって、”LET FREEDOM RING”が低評価であった場合の予備対策としてライオンは録音したのではないか。”LET FREEDOM RING”の成功によりマクリーンは初めて評論家達から一端のas奏者と認められたと言われる。それまではただのパーカー派の一人だったそうで、日本での評価、人気と大きく異なります。それはそれとして、BNらしく事前の打ち合わせが充分に施され、レコードとしての完成度は三枚の内で一番かな。確かに新鮮味は薄いけれど、50年代の残り火と60年代の空気が絶妙に交錯する魅力があり、S・クラークの最晩年期のプレイも価値があります。
それにしてもプロデュサー、三者三様の違いをこれほどまでに楽しめる作品は他にそうありませんね。
この三連荘、モダン・ジャズ・ファンにはマスト・アイテムです。
この3枚とも大好きです。三連荘という形容をされていますが、なるほどで、うまい表現ですね。新しいCDも購入して聴くには聴きますが、ほっとして楽しめるのは、この三連荘あたりです。取り上げていただきありがとうございます。
もう60年前のレコードですが、改めて聴いてもそんな前とは思えません。やはり実力者揃いで満貫です。
それと時代も良く、モダンジャズ黄金時代を語る上で欠かせませんね。
素人にはとてもありがたい情報ありがとうございます
いつも参考にさせていただいております
出張から帰ったら早速聞きます
マストアイテムならCD買いですかね
海外出張、お疲れ様です。今回のチューリッヒも楽しく拝見しました。ラーメンも美味しそうですが、ビールもうまそうですね。
まず、CDで聴き、気に入ればレコードで。
2WAYもよろしいかと思います。