春の長雨が続く。昨日来の、終日の雨。
昔、この春雨を悲しんで、美しい女性が詠んだ有名な歌。
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせし間に
小野小町
この僅かな詠唱のなかに、小町は、時間と人間と社会の間に必然的ともいえるほどに生まれるさまざまな情感を、一つに結晶させ、永遠性を獲得しようとしている。ことばと永遠性の問題を考えさせる。もちろん哲学はこの事実をより大規模に遂行しようとするのだけれども。
西行も過ぎ行く時間と美の移ろいを惜しみ、たとえようもなき切ない心を歌う。
雨中落花
梢うつ 雨にしをれて 散る花の 惜しき心を 何にたとへえん
西行
理念の、イデーの実現に捧げられた生涯。多くの偉人が過去にも、その事跡を記録している。西行もそうした一人だった。彼は生涯を歌の美しさのために捧げた。
先の日曜日は、幸いにも良く晴れて絶好のお花見日和だった。高瀬川沿いの桜も満開で、夜にはライトアップされて誇らしげだった。四条通や木屋町に人出も多く、携帯で写真に収める人も多かった。その華やかな満開の花の盛りは、人々の心にも深く刻まれたことだろう。
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