冬枯れの山畑。春夏の色彩に満ちた光景とはすっかり様変わりしている。ここ二三日の暖かさのために雪や霜の名残も消えてない。これまで果樹への人工的な手入れは放棄して、剪定も寒肥もほどこしたことはなかったけれど、今日はじめて15キログラムある鶏糞を二袋、中腹にある畑まで運びあげて、果樹と茶畑にそれぞれに施した。作業中も小鳥のさえずりも聞こえてこない。
夕闇の訪れも早い。六時も回るとすっかりあたりは闇に閉ざされる。山畑でみる星々は街中とは異なり、雲の流れの合間に見せる晴れた空に、オリオンと金星がくっきりと見える。
昨日、九州の叔母さんが亡くなられたという知らせを兄から聞いた。だから畑で作業しているときも、ずっとこの叔母さんとの記憶を思い出すようにしていた。子供の頃からよく世話にもなり、可愛がってもらったという実感がある。
叔母さん夫婦を京都などにもよく案内した。天龍寺で精進料理をいただいたことや京都タワーにのぼって市内を眺望したことも遠い昔のことになる。こうしてまた共に時間を過ごした記憶のある人が失われてゆく。
何となく あおぎ見られし 三つ星を
この夜限りに 思ひ留めむ
帰途、桓武天皇のお后、藤原乙牟漏様の御陵の近くから市内を眺める。
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