作雨作晴


日々の記憶..... 哲学研究者、赤尾秀一の日記。

 

万葉集 第10巻 1992番歌〜1995番歌

2024年08月20日 | 万葉集

万葉集

第10巻 1992番歌

隠りのみ恋ふれば苦しなでしこの花に咲き出よ朝な朝な見む


第10巻
歌番号
1992番歌
作者
作者不詳
題詞
(寄花)
原文
隠耳 戀者苦 瞿麦之 花尓開出与 朝旦将見
訓読
隠りのみ恋ふれば苦しなでしこの花に咲き出よ朝な朝な見む
かな
こもりのみ こふればくるし なでしこの はなにさきでよ あさなさなみむ
英語(ローマ字)
KOMORINOMI KOFUREBAKURUSHI NADESHIKONO HANANISAKIDEYO ASANASANAMIMU

ひとりひそかに恋続けるのはつらい。せめてなでしこの花になって我が庭に咲き出てきて下さい。そうすれば毎朝、毎朝眺められますのに。
左注

校異

用語
夏相聞、植物

 

第10巻 1993番歌

外のみに見つつ恋ひなむ紅の末摘花の色に出でずとも


第10巻
歌番号
1993番歌
作者
作者不詳
題詞
(寄花)
原文
外耳 見筒戀牟 紅乃 末採花之 色不出友
訓読
外のみに見つつ恋ひなむ紅の末摘花の色に出でずとも
かな
よそのみに みつつこひなむ くれなゐの すゑつむはなの いろにいでずとも
英語(ローマ字)
YOSONOMINI MITSUTSUKOHINAMU KURENAゐNO SUゑTSUMUHANANO IRONIIDEZUTOMO

遠目にでもお姿を見てお慕いしましょう。紅色の鮮やかなベニバナのように咲くことがなくても。
左注

校異

用語
夏相聞、植物                                                                                         

第10巻 1994番歌

夏草の露別け衣着けなくに我が衣手の干る時もなき


第10巻
歌番号
1994番歌
作者
作者不詳
題詞
寄露
原文
夏草乃 露別衣 不著尓 我衣手乃 干時毛名寸
訓読
夏草の露別け衣着けなくに我が衣手の干る時もなき
かな
なつくさの つゆわけごろも つけなくに わがころもでの ふるときもなき
英語(ローマ字)
NATSUKUSANO TSUYUWAKEGOROMO TSUKENAKUNI WAGAKOROMODENO FURUTOKIMONAKI

露にまみれた夏草を踏みしめてきた着物を着たわけでもないのに、ただ待っているだけの女の身なのに、私の着ている着物の袖は涙で乾く時がありません。
左注

校異

用語
夏相聞、植物

第10巻 1995番歌
六月の地さへ裂けて照る日にも我が袖干めや君に逢はずして


第10巻
歌番号
1995番歌
作者
作者不詳
題詞
寄日
原文
六月之 地副割而 照日尓毛 吾袖将乾哉 於君不相四手
訓読
六月の地さへ裂けて照る日にも我が袖干めや君に逢はずして
かな
みなづきの つちさへさけて てるひにも わがそでひめや きみにあはずして
英語(ローマ字)
MINADUKINO TSUCHISAHESAKETE TERUHINIMO WAGASODEHIMEYA KIMINIAHAZUSHITE

水無月(新暦では真夏の七月)、地面さえ裂けるかんかん照りの日でも私の着物の袖は涙で乾くことがありません。あなたにお逢いできないので。
左注

校異

用語
夏相聞、恋情

 

※出典
万葉集 第10巻 /作者・原文・時代・歌・訳 |
 万葉集ナビ https://tinyurl.com/27e2am3a

 


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