GHQが国家神道の聖典とした教育勅語。彼らはここに「世界征服」思想があるとした。井上哲次郎「勅語衍義」などにある曲解を鵜呑みにした結果である。明治神宮の教育勅語謹解もこれを踏襲している。残念ながら渡部昇一氏や石原慎太郎氏らも同じ曲解。平成20年に井上毅の史料が公開されたのに。
ドナルド・キーン『明治天皇』は『明治天皇紀』が基礎にある。「紀」では教育勅語にも当然触れているが『明治天皇』では肝心なところを外したままである。明治天皇は井上哲次郎「勅語衍義」の何がご不満だったのか。靖国問題の根本はここにあるといってもよい。
靖国神社には、敷地内に「遊就館」があるが、靖国神社に国家指導者が正式参拝すれば、「遊就館」の中身を全面肯定するメッセージとなってしまう。「遊就館」は敷地外に移転し、靖国神社と切り離し、靖国神社は純粋な鎮魂の場とする必要があるのではないか?
靖国問題。現在の米国政府(民主党の大統領)の発言を「米国」のすべてと考えては誤ることになる。ドーク教授のような歴史を重要視しない学者もあてにならない。客観的にGHQ日本占領を日米共同で検証することのできる米国の学者が必要だ。ただ我が国にもそのタイプが見当たらないという滑稽。
昭和戦前。大日本帝国憲法下ではあったが統帥権干犯論・5・15事件・天皇機関説排撃・国体明徴運動・2・26事件そして文部省「国体の本義」で憲法は蹂躙された。つまり昭和戦前は反帝国憲法の時代だった。ここを混同するから昭和史がわからなくなる。
靖国問題。戦後の我が国における政教裁判。歴史を枉げ最も大きな過ちを犯したのは「津地鎮祭訴訟」の藤川益三・最高裁裁判長である。彼の反対意見(違憲判断)は矢内原忠雄の史実に基づかないエッセイを引用したものである。「政教関係論を読む」
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