風のささやき 俳句のblog

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春の日に 【詩】

2022年04月07日 | 

「春の日に」

並木道に若葉が
繁るよりも少し早く
春は通りを歩き始めて
微笑むあなたの肩ごしから
心地よい風を送った

人の顔から険しさも抜けた
春の街いろどる花の名前を
あなたは指さし教えてくれた
暖かな陽光を浴びながら
それに似合った
ゆっくりとした歩調で

あなたが与える花の名前は
軽やかな蝶のように
舞い降りてくる
魔法のように
目の中の花の色を解き放ち

僕の心も
春のように笑うあなたに
花開く
むせかえる香りのかわりに
溢れ出す言葉を語り出していた

僕はこんなにも
お喋りだったかしら

春に誘われて
一斉に顔開く花々
あなたの周りは
まるで花が吹雪くよう

歩き疲れてベンチに休めば
小枝の網目から
透ける陽光 キラキラと
あなたの体にまとわりついて

まぶしくて どぎまぎとして
目を細めたりをする
僕だった


風吹けばただうれしくて笑ってる若葉よお前の楽しさをくれ 【短歌】

2022年04月05日 | 短歌

暖かな陽気に誘われて
木々の梢には
少しずつ萌黄の若葉が
芽吹きはじめています

道を歩いていても
街路樹のあどけない緑は
見上げて飽きることがありません

そんな若葉を春風はくすぐり
そのたびに若葉は楽しそうに笑い

そんなことで楽しくなれる
無邪気な笑いが
うらやましくなります

もうその仲間には
はいれないだろう自分を思うと
少し寂しくなった春です


居を移す部屋や家族と春陽のみ 【季語:春陽】

2022年04月02日 | 俳句:春 天文

仙台に移り住んだ日のこと
荷物は午後から入ってくる予定だったので
何もない部屋で過ごしました

荷物がないと
部屋は随分と広く感じるもの
話し声も響いて聞こえるので
思わずひそひそ話になってしまいます

荷物が来るまでの間は
まだ4カ月の子供たちをジャンパーの上で寝かし
手持ちぶさたで過ごしていました

僕らの他には
春の陽射しのみが部屋に
何もない寂しさを
和らげてくれました