風のささやき 俳句のblog

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雨音、あるいは叫び 【詩】

2024年01月25日 | 

「雨音、あるいは叫び」

ねえ、窓に雨がぶつかって、砕けている
雨音は、一粒一粒の、雨だれの悲鳴のようで
聞いていられない 
一つ一つが、潰れて行く(あるいは潰されて)
心の様だ、と、その鈍痛

さっきから君は、ガラス越しに降る雨を眺めている
雨の一つ一つ、忘れられて、姿をなくし
屋根にぶつかり、傘にぶつかり、地面に落ちて水たまり
どれだけの雨が今日一日で、地に落ちたろう
君は加速して、落ちてくる、時間の一方向を眺めている
もう、戻らない、戻れない、空には

僕の聞かない、聞こえない
悲痛な叫びを沢山、君はこの世界に聞く
それは、往々にして救われないもので
僕は少なくとも、答えを持っていない
だから、ごめん、黙ってしまうだけで
だから、君には、こんなにも暮らしにくい場所だ

放置される、その叫び声にすべて
耳を傾けられる者がいるとしたら
それを神とでも呼びたいと思う

一つ一つの悲鳴を、和らげてくれるものがいるとしても
その手元から、悲痛は瀑布のようにこぼれ
サラサラの砂を手のひらに、注ぎ込むように
世界はあまりにも脆く
叫びをあげて崩れて行くばかりだ
君も、僕も、この世のもの
逃れる術もない、寂しさにいる

それを土台にして、ここのところ
暮らす心持の僕がいる

窓の外を眺めたままの君
冷たい雨だ、君の体にも、その冷たさ沁み込んでしまう前に
こっちにおいで、少しで良いから
一緒に笑おう