風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

子を背負う温さ嬉しき冬初め 【季語:冬初め】

2020年11月13日 | 俳句:冬 時候
外出するにも
乳母車を使わずに
歩いて行くことも多くなり

ただ二人とも直ぐに疲れてしまい
抱っこやらおんぶやらをせがんで来るので
それなりに疲れるのですが

先日も道を歩いていたら
おんぶしろとしつこく迫るので
仕方なくおんぶをしました

その時の自分は薄着で寒かったせいもあり
子供を背負うとその部分が暖かく
ちょっとした暖房器具のようでした

その日はいつもよりも長いことおんぶをし
子供もご機嫌でいました

我侭を叱る甲斐なく暮早し 【季語:暮早し】

2019年12月21日 | 俳句:冬 時候
一人の子供が
自分の好きなものしか食べようとしません
嫌いなものは口からこっそり吐き出したり
手にとっては床に投げつけたりします

その見事な投げっぷりには
笑いがこみ上げてくるときもあるのですが
毎回の食事がそれということで
注意をするのですが
一向に聞くそぶりもありません

食事が終わったら終わったらで
ニヤニヤしながら悪戯をしています

たしなめたりするのですが
すべてが徒労

結局こちらだけが疲れて
冬の短い日が暮れていきました

子の頬の赤らみ告げる冬初め 【季語:冬初め】

2019年11月09日 | 俳句:冬 時候
寒さのせいでしょう
散歩から帰ってきた子供の頬が
真っ赤になっていました

今まではこんなに
赤くなることは無かったのですが
まるで赤い林檎のよう

ちょうど風邪をひいていたので
垂れたままの鼻が
古い記憶の中の田舎の子供のようです

そういえば暦の上では立冬で
もう冬が来ていたのだなと
あらためて実感させられました

まずは子供のモチモチとした
感触の良い頬っぺたを
冬が触りに来たのかなと
そんなことを思っていました

はや冬はすすけて襟の汚れかな【季語:冬】

2019年03月02日 | 俳句:冬 時候

ここのところコートが邪魔に思えます

穏やかな陽気のその日も
コートを手に歩きました
すると気がついたコートの襟汚れ

覇気をなくして煤けた冬の日々が
いつの間にかこびりついたようです

冬将軍の寒い日々を思い出しながら
季節の移ろいを感じました

コートを手放す春になれば
その汚れをクリーニングで
綺麗にするつもりです


年暮る安らかさに謝し募金する 【季語:年暮る】

2018年12月29日 | 俳句:冬 時候
今年も残すところ後わずか
色々とあった一年ですが
無事に終わってくれると
ありがたいなと思え
安らかな気分も感じられます

そんな一年の終わりに感謝をして
今年もわずかながらの金額ですが
ユニセフに募金をしました

ここ数年
この時分に募金をしているのですが
今年は自分にも子供ができたせいかなおさら
小さな子供たちの苦しみが
少しでも取り除かれたらいいなと
思っていました

肩の凝り癒す暇なき師走かな 【季語:師走】

2018年12月15日 | 俳句:冬 時候
年が押し迫って来たせいか
ここのところ色々と忙しい毎日が続いています

もともと目が疲れやすい自分なのですが
随分と長い時間パソコンに向き合っていることもあって
目から来る肩の凝りが激しくなるばかりです

正月に少しは休められるだろうという気持ちもあるのですが
一年の終わりに際し
積み残したものが後から後から出てきて
今頃になって慌てている自分です

配達の手の赤らみや冬の朝 【季語:冬の朝】

2018年12月08日 | 俳句:冬 時候
朝早くいつもの道を歩いていました
肌に当たる風が冷たく
寒さが身にしみるように感じられました

つい最近まではこんなに寒くなかったのにと
ぼやきともつかない独り言が口を衝きます

道の傍らに小さなトラックが
停まっていました

近くの飲食店に届けるのでしょうか
食材のダンボールが積んであります

荷物をおろしている人の手を
ちらりと見たら
力が入っているせいもあるのでしょうが
随分と赤らんでいます

その瞬間に
寒さが一層身に染みるように
感じられました

ビー玉の冴える青さや金魚鉢 【季語:冴える】

2018年12月01日 | 俳句:冬 時候
寒い朝でした
布団から出るのも億劫に感じられて
しばらくグズグズとしていたのですが
出かけなければならない時間になり
意を決して起き上がりました

部屋の片隅に置かれている金魚鉢を眺めたら
その中の水も随分と冷たく見えて
中に入れられたビー玉が青白く冴えています

金魚鉢の中で泳いでいる赤い金魚さえも
青ざめて見えるような気がして
僕も心の底がうそ寒くなるのを覚えました

鴉さえ逃げることなし氷点下 【季語:氷点下】

2018年01月27日 | 俳句:冬 時候
その日は寒い朝でした
コートの隙間から冷たさが入り込んでくるので
思わず前かがみになってしまいます

歩いているとゴミ捨て場に
何やら黒いものが見えました
良く見ると一匹の鴉が
寒さに体をふくらませてじっとしています

僕が興味を持って鴉の方を眺めると
その鴉と目線が合いました

普段は一目散に逃げるはずの用心深いカラスも
逃げることもなく僕の視線を受けています

きっとあまりの寒さに
逃げることさえ億劫になってしまっているのでしょう

僕も普段だったらそんな鴉をからかいに行くのですが
その日はそんな気分にもならず
うつむいたまま先を急ぎました

仏壇の炎に智慧あり冬の朝 【季語:冬の朝】

2017年12月09日 | 俳句:冬 時候

寒い冬の朝
起きたばかりの家は
いつの間にか忍び込んだ外気の寒さ

早速ストーブをともし
部屋を暖め
仏壇の蝋燭にも炎を点し
線香を手向けました

それからお茶を飲もうと
薬缶を火にかけました

消し忘れた仏壇の蝋燭
その朝は炎が意味深い言葉を
ささやいているように見えて
その奥に潜む智慧を見たいと
しばらく炎に向かい合いました