夢と希望と

そして力と意志と覚悟があるなら、きっと何でも出来る。

お腹の弱い安倍総理では役者不足。

2014-05-15 | 中身

 何やら巷では美味しんぼの表現が問題視されているようです。私がもしも日本政界を牛耳る影の総理系の黒幕だったりしたら、軽々しく反応した閣僚共はまとめて首を挿げ替えるところ。たかだか漫画の一つや二つ、どんと構えて黙殺しておけば良いものを、慌てて遺憾の意なんて表明しては、痛い腹を突かれたと認めるようなもので、利敵行為に他なりません。直接相手をしたりせず、定石通り適当に作者のスキャンダルでも捏造して話題を逸らしておけば済む事。
 とはいえ幸か不幸か私は政界の黒幕でも何でもなく、野蛮な非国民に過ぎませんので……当然ながら事態への見解もまた異なります。

 まず、福島県への風評被害云々に関して。これには他ならぬ日本国内閣総理大臣が御自ら、「健康問題については今までも現在も将来もまったく問題ない」と国際的に宣言なさっています。忠勇無双たる日本国民としてはこの言を疑うなど、あってはならぬ事なのかもしれません。
 しかし歴代自民党政権というモノは、水俣病を筆頭とする公害病問題にしても、薬害エイズ問題にしても、アスベスト問題にしても、悉く当初このような答弁であった事を、私は忘れていません。
 どうして判で押したように毎回その場しのぎのゴミみたいな見解を発表するのか、その理由というのは至極単純な事で……とどのつまり自民党政権というモノは財界の走狗だからです。大抵の分野において、スポンサーには逆らえない、スポンサーの利益を優先するというのは古来よりの常識ではありますけれども、自民党は特にこれが顕著と言うか、隠そうともしない潔さ。大企業様が潤えば、しみったれた下民共も少しはお零れを恵んで貰えるだろうから文句を言うなというスタンスを貫いています。
 自民党というのはそういう政党ですから、福島県民が死に果てようと子孫に遺伝子障害を残そうと、東京電力を中心とした原発利権と比べれば取るに足らない瑣末な事だという程度の認識であろうと私は推察しています。そしてそうであるなら、福島の原発事故にどのような対策を選択するのか、これもまた明解な事。つまり、実際にそうしているように、放射能汚染されまくった大地であろうと何だろうと、安全安心だとひたすら宣伝を繰り返すのです。ついでに言えば、そこに暮らす人々は土地への思い入れもあるでしょうし、安心だと思い込まなくては住み続ける事は出来ません。もしくは所有する土地が二束三文になってしまっては困る、自分が住むのは御免被るが間抜けな誰かに売り抜けてしまいたいと考える人も存在するでしょう。こうして政府と地元の間には、ある種の利害の一致を見る事になります。臭いものに蓋をして、寝た子を起こすなという……とても日本的で、有り体に申し上げるなら反吐が出る、ずぶずぶに腐った唾臭い隠蔽同盟の結成とも言えるでしょう。この両者が振りかざす武器こそが「風評被害」という言葉であると、私は認識しています。
 福島県が本当に安全なら、首都でも移転してみれば宜しい。原子力発電所が絶対安全なら、辺鄙な田舎ではなく東京湾にでも建造すれば良いでしょう。或いは敷地内に国会議事堂を移してみるのも良いかも知れませんね。福島を応援したいと口になさる方々は、他人事としての口先だけではなく……たとえばあの土地で暮らし、あの土地の食物と水を摂取して、子を産み育てたい等と本気でお考えなのでしょうか。私なら、真っ平御免です。そんな事をするくらいなら、修羅の国にでも赴いて名もない仮面の修羅に殺された方が、まだ我が身一つで済むだけマシというもの。放射線というのは見えず聞こえず無味無臭、そういう物に対するリスクコントロールは、やってやり過ぎという事はないのです。ましてや生臭い利権の絡んだ政府やら地元の声など信じるなんて愚の骨頂、まず痛い目をみる事になるものではないかと。

 次に、作中で描写されている鼻血と放射能の因果関係云々に関しまして。明確な因果関係が証明されていない事柄を、真実であるかの如く描く事は好ましくない……成る程、それは確かにその通り。しかし創作物に対して誰が何をどう思おうと、それは個々の受け取り手の勝手というものです。政府が出張ってとやかくいう事ではありませんし、どうしても言いたいならMMR等に対しても同様にコメントするべきでしょうね。
 では何故、仮にも閣僚級の政治家が軽々しくコメントを出したのでしょうか。これも、実に簡単な理由が導き出せます。福島県民への風評被害を憂慮するという名目で、ぶっちゃけてしまえば言論封殺を行いたいからでしょう。法律による言論統制は反発も大きいですし、成立させるのも一苦労ですけれども、こうした「そういう空気の形成による同調圧力」を生じさせる事は比較的簡単で、しかも日本人の気質にも合っています。原発事故や放射能汚染について語る事そのものが、健気に生きる福島の人々を傷付ける人でなしの所業なのだと印象付けることが出来たなら……政府も東京電力も大喜びで責任の所在を有耶無耶にして、我が世の春を謳歌する事間違いなし。なにしろ蓋をした臭いものに関しては、その汚物を発生させた当人ではなく、空気を読まず蓋を開けた奴こそを責めるというのが我が国の伝統ですもの。

 それにしても、こうも薄っぺらい方便でもしも国民を本気で騙せると考えているのだとしたら……なめられたモノですよねぇ。美味しんぼと同様に雁屋哲が原作である男組より、神竜剛次の台詞を引用して〆とします。
 


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