夢と希望と

そして力と意志と覚悟があるなら、きっと何でも出来る。

制作日誌 その2

2007-07-31 | 中身
 思い切り間隔が開いてしまいましたけれど、製作日誌の2です。
 とは申し上げましても実際の所、「どうヤスリをかけるか」とか「エッジ出しとモールド維持の両立」なんて事を書き連ねても(私自身が)退屈極まりないですし、私のスタンスにつきまして少々綴ってみようと思います。

 模型と一口に申し上げてもそのカテゴリは膨大であり、今回は現在製作中のギャンにちなんでガンプラに対するスタンスという物に焦点を当てます。
 これもまぁ、人それぞれ十人十色、千差万別なモノでして。例えば私の兄などは、もう病気なんじゃないかと思う程に「ハッチフルオープン」に拘る人でした。これは、考え得る限りのアクセスハッチを開閉可能にしないと気が済まない、というヤツで……当然内部ディティールも相応に作り込む事になり、膨大な手間がかかります。見栄えは確かに凄いのかも知れませんけれど、完成品の強度は極めて低く取り扱いには細心の注意を要し、下手に弄るとあっさり砕け散るという繊細な代物でして、真似しようとは思えませんでした。
 対して弟などは「パッケージの完成見本と寸分違わず仕上げる」事に全力を注ぐタイプで、形状から色調までトレースする行程に夢中になるようです。レプリカを作成するという意味においては間違っていないのでしょうけれど、これまた私には窮屈に思えてしまい、眺めるだけで充分。
 そして私の場合。これはガンプラを作ろう!というよりも「ぬいぐるみを作る」感覚に近いスタンスだったりします。モビルスーツという戦闘兵器のミニチュアを作成するのではなく、手元に置いて嬉しいお部屋の仲間を作る、という感じでしょうか。我ながら解りにくい表現だとは思うのですけれど、「くまのぬいぐるみは熊のミニチュアでは無い」という事です。その為、基本的に作成するのは水陸両用が多くなります。ビームライフルとかバズーカとかシールドを持ったゴツゴツした機体よりも、ゴッグやアッガイのような機体のほうが可愛いですから。クロー先端は丸めてモノアイを大きくして、イノシシのぬいぐるみに跨らせた量産型ズゴックとか、もう堪らない程にキュートだったりするのですよ。

 そんな訳で、私は基本的に内部フレームなんて最低限しか手を入れませんし、色も大抵は設定を一顧だにせず好き勝手に塗ります。コクピットハッチは閉鎖してしまいますし、付属する兵装も廃棄・流用・新造がデフォルトです。
 ……まぁ流石に頼まれ物や贈り物の場合、ある程度の自制はしますけれど、ね。

制作日誌 その1

2007-07-19 | 中身
 ゴタついた家庭環境によりロールもゲームも侭ならぬ状況なのですけれど、夏のお祭りの原稿お手伝い+とある殿方との約束を果たす為、更にこれから二週間程はハードなスケジュールに突入します。
 まぁハードといっても自分の道楽を兼ねている訳ですから寧ろ楽しいくらい。まとまった時間が確保出来ないならブログの更新でもしてみるか、という極めてアレな理由により、暫く此処は修羅場における私のモチベーションを維持する為の雑記帳と化します。……雑記帳という事ならば以前と何も変わっていないという気もしますが。

 さてそんな訳で、原稿の方はあくまでも私はお手伝い。三橋が阿部にどんな事をしようが田島が花井に何をしようが基本的に知った事ではありません。ですからココはもう一つの用件、ぶっちゃけてしまえば模型製作について駄文を連ねましょう。
 模型製作といってもボトルシップ等の高尚なモノではなく、有り体に申し上げるなら今回はガンプラです。よもや現代日本に於いてガンプラの意味を解さぬ方はいらっしゃらないと思いますが、念の為に略さず記すならガンダムのプラモデル。この場合のガンダムとは「ガンダムシリーズ」の事であり、ザクだろうとビグ・ザムだろうとメタスだろうとガンプラに属します。……まぁガンプラを知らないという人にメタスとか言っても詮無きことではありますが。
 兎にも角にも目の前にある箱には「YMS-15 GYAN」と書かれています。一年戦争におけるジオン公国軍の試作型白兵戦用モビルスーツであり、搭乗者であるマ・クベ大佐のキャラクタと相まって一部に根強いファンを持つ期待ですね。マニュアルを捲れば、マスターグレードシリーズお得意のインチキ後付け嘘設定がずらずらと書き連ねられていて、これはコレで面白い読み物。
 次世代モビルスーツの座を賭けたコンペティションにおいてゲルググに破れた悲運の機体とか書いてありますが、宇宙空間が主戦場となりビーム兵器が幅をきかせる一年戦争後期の主力機体として普通に考えた場合、ツインビームソードとビームライフルを使用可能で空間戦闘能力にも優れるゲルググに対して、極太ビームサーベルと盾型ミサイルポッドで地上専用のギャンでは勝負になる筈もありません。私が担当者ならギャンの企画書を持ち込まれた時点でシュレッダーに放り込みリテイクの指示です。そもそも防御兵装である盾に火薬を使用した実弾兵器を仕込むという時点で、設計者の頭には蛆でも湧いていたのではないかと考えざるを得ませんし。
 と、まぁズタボロに言いましたけれども。あくまでもそれは兵器として見た場合の評価です。決闘用とも言えるその機体コンセプトは個人的には嫌いではありませんし、フォルムもゲルググより遙かに気品があります。盾ミサイルも盾としてではなく、「盾にも見える武装コンテナ」だとでも思えば許容範囲……かなぁ。ココ狙われたら一発で引火して爆死だと思うのですが、そのような極限状況に自らを追い込む事で発揮される力というモノも、もしかしたら有るのかも知れません。

 そんな事を考えながらマニュアルを二度程通読し、構成を頭に入れておきます。基本的にガンプラという物には一定の文法が存在していますから、それを踏まえて眺めれば特に難しい事はありません。タミヤの薄刃ニッパーを用いてパーツを切り出しつつ仮組を行い、今後のプランを構築する事に。ちなみにタミヤの薄刃ニッパーですが、お値段以上の働きは確実にしてくれる業物です。一度使うとこれ以外のニッパーは使えなくなる事は請け合いますので、是非一度お試しあれ。
 それにしても最近のガンプラは出来が良くて実に結構な事です。こうやって眺めながら「此処は塗装の際の便宜を考えて一体に」とか「ここのフレームと外装は接着してしまえば中身作らなくて良いから楽」とか「やっぱりモノアイは二回りくらい大きくして、もっと可愛く」とか気軽に考えている時が、模型製作において一番楽しい時間かも。実際に手を動かす段階になれば、結構地味な作業の積み重ねになりますから。
 ある程度プランがまとまった所で、今日はここまで。明日は仮組したコレをバラして、パーツ毎にゲートとパーティングラインの処理を行い、ついでに表面のヒケ修正も……やれたら素敵ですねぇ。


(続)