N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

堕落論

2017-12-16 | 

本を読んだ。

★堕落論 (新潮文庫)
著者:坂口安吾
出版社: 新潮社


久しぶりに坂口安吾を読んだ。
ほんとに好き勝手に思ったことをズバリズバリ痛快に書いている。
好き勝手と書いたが、彼自身は強い意志と明晰な分析力で、自分の思いを表明している。
大勢の反発を覚悟で書いていると思われる。
敗戦直後《半年後ではあるが》の時代の空気の中で書いているので、
堕落ではなく、ある意味上段の構えである。
《そこまで気張ることはないだろう》と気後れしてしまうが、
戦時中も命がけだが、戦後も命がけである。

《堕落論》と銘打っているが、今日的には《極めて健全》である。
《堕ちよ》のデカダンス言葉は、当時の人々にとって至極魅惑的言葉であり、意識が少し変わり始めた瞬間である。
21世紀の今読んでも、刺激的である。
ひょっとしたら、我々日本人の精神構造は、安吾の生きた時代とはあまり大きな変化がないのかもしれない。

人を発熱させるメッセージを発するのは、これアーチスト。
生きろ、生きろと喚いているようだ。

コメント
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