N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

クライマーズ・ハイ

2017-08-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★クライマーズ・ハイ
原作:横山 秀夫
監督:原田 眞人
出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、山崎努、滝藤賢一、他
2008/日本

映画を観ながら、あの1985年8月、ボクは何をしていたのだろうかと思いめぐらす。日航飛行機事故のニュースは衝撃であり、テレビの画面に釘付けになった。新聞を隈無く読んだ記憶がある。一報は、飛行機行方不明のこと、墜落現場は特定できていないこと。そして次第に明らかになる惨事。多くの犠牲者と助けられた人のこと。ボクの記憶は映画が記録する通りである。ひょっとしたら記憶操作をしているかもしれないが。

映画は地方新聞の現場での混乱と衝撃の一週間を描いている。大きな事件が飛び込んできた事の混乱と記者としてのチャンスの歓びも描いている。上映時間145分間のほとんどは、怒鳴り声と罵声の飛び交う新聞製作現場での濃密なやりとりに費やされているが、長く感じる事なく鑑賞した。携帯通信の時代の現代からみると、当時の通信事情は未発達である。コードのついた電話を手にして怒鳴っている姿をみていると、かすかなノスタルジーさえ感じてしまった。

実際の飛行機事故というテーマを扱いながらも、視点を変え、取材者側からみた新しい物語として創作され、映画スタッフの熱いボルテージは感じたが、登場人物が余りにも多く、また現代と過去の時間の行き来などがありすぎて、「描き過ぎ」の感じがした。何を描かないかの選択があってもよかったのではないか。

「クライマーズ・ハイ」という精神状態は初めて知った。山好きだったボクには少しだけだが解るような気がする。壁を上るのは絶対無理だが、なだらかな尾根歩きなら今でもできそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

八月の六日間

2017-08-14 | 

本を読んだ。

★八月の六日間
著者:北村薫
出版社: KADOKAWA/角川書店

「なんか読む本はないかな?」と探していると、
本屋でたまたま眼に止めた本。
以前、新聞書評欄で好評だったのを思い出した。
ページをめくると、
かって若いころ(だれでも若いころはある)、
登ったコースの地図が載っている。
おつ、これは!

神々しい山のことが書いてあるかと思ったが
こそばゆいくらいのファンタジーな山の小説だった。
ちょっと危なっかしい山の小説だった。
作者の北村さんは、実際に山に上った体験を書いているわけではない。
というか、まったく上らずに、山のことを描いている。
作者の取材力は凄い。
読みながら自分も山の気分を味わった。

いろいろ小ネタを散りばめて飽きさせず、
ラストまで気持よく読ませてもらった。

《あずさ2号》問題のウンチクは面白かった。
男は別れた女に思いを残したりする。だが女は、思い出を美化などしない
それはそれとして取っておこうーなんて考えない。

しかし、この本の主人公は、その思い出に囚われ、
忘れるために仕事をし、
時間をリセットするために、
一人山に上る。

かって若いころ(だれでも若いころはある)、
上った山の道や、眺めた山の姿を思い出した。
蝶、常念、燕コースがなかなかの臨場感溢れる文章。

久しぶりに屋へ行くか。
足腰と精神を鍛えないと。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする