需要は多いがスタンダードとなるものがないということだろうか。11年で3演出目(多分)。
今回の鵜山演出は実にオーソドックス。幕が開いた瞬間から終幕まで同じとわかる装置も一因。
読み返したわけではないがト書きをそのままといった印象。30年くらい前にやった演出と大きな違いはない?
前衛的な演出でなければならないとは思わないが、こんなに安心していいのか?
市民オペラの領域を犯さないでほしいもんだ。
音楽の方も実に安定して聴いた。前奏曲からしてこんなに平和でいいのか?
タンホイザーに続き今回もタイトルロールがキャンセル(ゼンパーを含め個人的には3公演続いてキャンセルされたことになる)。
元々キャスティングされていたドマシェンコがどんな歌手であるか知らないのだが、代役のモンティエルはドガの絵画から抜け出したような舞台姿を含めて◎。過去に聴いたカルメン(バルツァ、オッター)と比較するのはかわいそうだが、充分魅力的(それくらいでないと口煩い客は満足させらないのだろうが)。この人を観るだけに足を運ぶ価値がある…というのは言い過ぎだろうな。
全体的に低調な公演で一人舞台といったところか。
無理しても「こびと」(もしくは、「ばら」)しておくべきだった…かも。