『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記

こどもが二人とも小学生になったけど、「パパだ~いスキ!」と言われてる間は、タイトルを変えませんが。

「ミュンヘン」  アメリの恋人その理由は

2006年02月08日 | 映画
普段全く興味ないくせに、この時ばかりはスキーやスケート競技を深夜遅くまで見て(ニッポンが活躍してる時のみ)、思いきっリトリノオリンピックにうかれぽんちな気分に水をさすというスピルバーグの魂胆にハマろうかと思いましたが、実際「プライベート・ライアン」を見た後、「ナバロンの要塞」「大脱走」「大列車作戦」「脱走山脈」といった、戦争アクション映画を楽しく見ていた自分って・・・という気分が「スリーキングス」を見るまで解消されることはなかったので、やめにしてさっさと見てまいりました。
見終わって、前述した懸念はなかったのですが・・・。

テロはテロでやり返しても解決しないというのは、この映画にも出てる「アメリ」の思い人マチュー・カソヴィッツが監督した「憎しみ」で、憎しみはさらなる憎しみを生むだけという同様のメッセージがこめられてましたが、この映画ではさらに、家族人としての苦悩が描かれてました。
本来、育児中のお父さんというのは、赤ちゃんのオッパイくれーの3時間おきの泣き声や、夜泣き、オムツ交換で、夜眠らせてもらえないというもんなのですが、仕手人となった主人公は、自分のしてきたことを同じようにされてるんではないかと脅えて眠れません。昼間は部屋の中でこもりがちな育児に気分転換を求めて、赤ちゃんを抱っこして町に散歩出ても、自分が怪しいと思えば気になって気になって気分転換どころではありません。
自分だけならまだしも、その危害が自分の家族にまで及ぶとなると・・・。
何年か前「人を殺すのはいけないことなんですか?」と筑紫哲也のニュース23で問うた若者がいましたが、人を殺していい世界になると、この人みたいに夜ぐっすり眠れませんよ。散歩にいっても、いらん気をはらなあきませんよ。
当時、明確に答えをだしてくれなかった大人の代わりに、スピルバーグ爺がそんな世界はどういうものかイメージを与えてくれてます。
そして、世界のどこかでは、今もこんな世界なんです。

私はといえば、今日は頼むから夜泣きしないでくれよと願いながら起こされても、赤ちゃんとムスメの寝顔を見て、毎日ぐっすり眠れてます。


★★★